Vol.141 結城浩/フロー・ライティング - 最も《痛かった》ことを書け/Web連載100回/長距離走と貝殻/

結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2014年12月9日 Vol.141

はじめに

おはようございます。 いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。

結城は、Twitterでやさしい数学の問題をときどき出題します。 たとえばこんな問題。

 中学生向けの問題。
 1000以下の素数をすべて掛け、その結果を十進法で表記したとき、
 末尾に何個の0が並ぶか。

答えは後ほど。

 * * *

『数学文章作法 推敲編』がいよいよ発売です! 筑摩書房さんのツイートによりますと、結城のサイン本は、

 書泉グランデ
 三省堂書店神保町本店
 丸善津田沼店及び丸の内本店
 紀伊國屋書店新宿本店

の各書店さんに、12月10日(水)午後から12月11日(木)にかけて 並ぶとのことです。よろしくお願いいたします。

 ◆『数学文章作法 推敲編』
 http://mw2.textfile.org/

数学文章作法を題材に、 倉下忠憲さん(@rashita2)がブログエントリを書いてくださいました。

 ◆『数学文章作法 基礎編』から良質の自問をインストールする
 http://cyblog.jp/modules/weblogs/16493

結城がずっと注目している「自問自答」に関して書かれており、 とってもうれしくなりました。 ありがとうございます。

 * * *

久しぶりにCodeIQでプログラミング(アルゴリズム)の問題を出しています。 今回は「サルベジオン問題」というタイトル。 Web APIを使って、データを救出(サルベージ)するという問題。

現在142名が挑戦してくださっています。いつもたくさんの解答者がいて、 ほんとうにうれしいです。例によって難易度の設定が難しかったのですが、 まずまずちょうどいい感じに収まったかな……と思っています。

来週月曜日、2014年12月15日が〆切です。 最高得点者には抽選で『数学文章作法 推敲編』がプレゼントされますので、 ぜひ挑戦してください!

 ◆サルベジオン社で宇宙船のデータを救え!
 https://codeiq.jp/ace/yuki_hiroshi/q1215

結城はCodeIQへの出題を《お仕事》として行っています。 つまり、出題と採点に対して報酬をいただくということです。 解答者の人数が変わっても報酬は変わりません。

でも、こういうネットでのお仕事は、 単純にお金だけに換算できるものではありません。 おもしろい問題で盛り上がることは、 私自身がとても楽しいし、学ぶことも多い。

それに、CodeIQの出題を通じて、 ふだんなら結城と出会う接点のない人にも、 私のことを認知していただける。 それは個人で活動する身としては大事なことです。

結城ががんばっておもしろい問題を作り、 技術者さんがそれを見つけて楽しみつつ答える。 その盛り上がりはもちろんCodeIQさんもうれしい。 だって、技術者に認知されることは、 CodeIQさんのビジネスで重要だから。

いつも結城は、 自分に関わる人の多くが楽しんでくれたらいいな、と思う。 確かにお仕事はお仕事なのだけれど、 毎日が楽しくなり、喜びがある活動につなげたいな、 とよく思うのです。

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さて、先日も紹介しましたが、 プレジデントファミリー「算数が得意になる」特集号に記事を書きました。 発売になったので改めてご紹介します。

 ◆プレジデントファミリー2015年1月号
 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00PUSTBX4/hyam-22/

それほど長い記事ではありませんが、 小学生向けに、お手紙形式で書いた文章です。

編集部からの依頼は、 「本は好きだけれど算数はちょっと……という小学生向け」 というものでした。プレジデントファミリー誌では、

 「読む算数」

というコーナーになっています。 結城以外には、清水義範さんと、榊邦彦さんが書いておられます。

 ◆榊邦彦さんのブログ
 http://s-kunihiko.at.webry.info/201412/article_1.html

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次の話題。

結城はnote(ノート)で「古今和歌集を読む」というマガジンを更新しています。 少しずつ読んで、現在は「恋の歌」を中心に三十首を越しています。

 ◆古今和歌集を読む(結城浩)
 https://note.mu/hyuki/m/mfa4fe40c022b

古今和歌集の原文を読むのはもちろんのこと、 参考書を見たり、古語辞典を調べたりしていると、 いつもとはちょっと違う時間を過ごしている気分になりますね。

まあ「言葉を扱う」という意味では、 いつもの仕事と同じなのですが、コンピュータのプログラムを扱ったり、 数学の問題を解くのとはまた違う味わいがあります。

そこで、「古今和歌集を読む」のキャッチフレーズとして、

 古今和歌集(こきんわかしゅう)から親しみやすい歌を読みます。
 やさしい解説付き。ちょっぴり優雅な言葉の時間をあなたに。

と、マガジンの表紙に書いています。 「ちょっぴり優雅な言葉の時間」て大事ですよね。

待てよ。「優雅な言葉の時間」はいささか曖昧な表現だな。

 「優雅な言葉」の時間なのか?
 優雅な「言葉の時間」なのか?

ま、まあ、それはともかく、このマガジンは、 現在62人の方がフォローしてくださっています。 あなたもぜひどうぞ。

 ◆古今和歌集を読む(結城浩)
 https://note.mu/hyuki/m/mfa4fe40c022b

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コスプレの話題。

以下のリンクは、 数学ガールの「痛車」で有名なしょいんさん(@shoin39)さんが、 神奈川県庁で痛車展示をなさっているところのツイートです。 今回はちゃっぴぃさん(@chappy_0411)が、 ミルカさんのコスプレをなさっています。

 https://twitter.com/shoin39/status/536712875515973632/photo/1
 https://twitter.com/chappy_0411/status/536713322632994817/photo/1
 https://twitter.com/shoin39/status/539043361349328896/photo/1

しょいんさん、ちゃっぴぃさん、ありがとうございます!

以下のサイトにも記事がありました。

 ◆痛車とコスプレイヤーが入り乱れる!『2.5じげんネ申祭り』
 http://www.rbbtoday.com/article/2014/11/25/125812.html

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さて、それでは今週の結城メルマガを始めましょう。

今回は「フロー・ライティング」のコーナーで、 「最も《痛かった》ことを書け」というお話をお送りします。

その他には、Web連載の第100回を迎えて思うこと。 それに「文章を書く心がけ」をお読みください。

あ、そうだそうだ。さっきのクイズの答え!

 中学生向けの問題。
 1000以下の素数をすべて掛け、その結果を十進法で表記したとき、
 末尾に何個の0が並ぶか。

すべて掛けた結果は416桁の数になりますが、 末尾に並ぶ0の数は「1個」です。

 195903406449990834...080581207891125910

たった1個なんですね!

「末尾に並ぶ0の個数」は「10で何回割れるか」を意味します。 「10で割れる」というのは「2と5で割れる」ということです。 ところが素数には2と5は一つずつしかありません。 ですから、末尾に並ぶ0の数は「1個」だけなんですね。

もちろん、1000以下だろうが1000億以下だろうが、 素数を掛けたとき、末尾に並ぶ0は「1個」です。

ではあらためて、結城メルマガをどうぞ!

目次

  • はじめに
  • フロー・ライティング - 最も《痛かった》ことを書け
  • Web連載「数学ガールの秘密ノート」第100回を迎えて
  • 長距離走と貝殻 - 文章を書く心がけ
  • おわりに