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「僕が辞めるって言った数日後、両親からも連絡がありました」



――『IGF 1』(4月5日、両国国技館)を終えて、翌日のスポーツ紙を含め、澤田敦士の「引退」の話が報じられはじめました。周りから心配する声がありましたか?

澤田 結構ありました。

――やっぱり!

澤田 僕はその時、思ったんですよ。一人で闘っているわけじゃないんだなって。

――それはそうですよ!

澤田 周りの支えがあって、みんなが応援してくれてね。だけど、それは試合が終わって、2、3日経ってからですよね。そしたら「引退」なんて何をおこがましいことを考えてたんだって、少し思うようにもなってきて……。

――なるほど、なるほど。

澤田 そしたら「このまま辞めたら一生後悔するだろうな……」とか、そうも思ったりね。いや、その前に俺は自分で「引退」なんてホントに言ったのかな、って(苦笑)。

――実は言ってないんじゃないかと(笑)。

澤田 いや、嘘じゃなく、それさえもよく覚えていないくらい。そんな感じだったんですよ。

――もう完全に投げやりになってたんでしょうね。「はいはい、引退引退……」みたいな。

澤田 そうなんでしょうかね。

――言える範囲でいいんですけど、誰から連絡があったりしたんですか?

澤田 一番心配っていうか、今までとは違う感じだったのは小川直也でしょうね。

――お、“暴走王”が!

澤田 あとは両親からも連絡があったし。

――「辞めるってホントか?」みたいに?

澤田 そうです、そうです。

――それは心配をかけてしまいましたね。

澤田 他には日頃から応援してくれている人たちからも(連絡があった)。だから、自分では言ったかどうかも覚えてないくらいなのに、軽はずみに口にした言動で、いろんな方に心配をかけてしまって。ただ、もし自分が本当に「引退」を口にしていたんだとすれば、それは今までの自分から「引退」することにした、というね。

――はい(笑)。

澤田 だってそうとしか言えないですよ(苦笑)。

――いいと思いますよ、それで。ただ、ズバリ言えば、人騒がせな方ですよね(笑)。

澤田 そうですね。やっぱり騒がせるのはよくないですよ(苦笑)。よくないですけど、逆に言うと、騒いでいただいてるんですよね。

――それは面白い見方ですね。

澤田 それだけ僕は一人でやっているわけじゃないっていう。だから、俺も捨てたもんじゃねーなっていう(笑)。いやいやいや、こんなこと絶対にやっちゃダメですよ。だけど、結果的には勇気をもらえましたよね。

――やっぱり人騒がせな人だ(笑)。

澤田 ええ(笑)。

――結果的に“売名王”が公に姿を現したのは、『パキスタン•ジャパン友情の祭典』(4月27日、上野公園)での青木真也選手とのMMAエキシビジョンマッチでした。あのオファーはいつあったんですか?

澤田 あれは試合の前日ですよ、確か。

――前日!

澤田 こんな言い方したらまたあれですけど、ああいうことがあって青木とできるっていうのは、俺は持ってるなって思いましたね。

――さすが“売名王”だ。前向きですね。

澤田 僕はIGFで産まれてIGFで育った人間ですけど、あの日は逆に青木からIGFを教わったんじゃないかってね。

【5月1日、IGF事務所にて収録/聞き手◎“Show”大谷泰顕】

※次回は“売名王”澤田敦士が、あの青木真也戦について語ります。お楽しみに!