石破 茂です。

 天皇陛下のご譲位の件について、時間のある時に懸命に考えてはみるのですが、当然のことながらなかなか自分なりの解が見いだせないままに呻吟の日々が続いています。有識者会議の意見も一通り目を通していますが、本当にこの問題は難しいですね。

 この件で、ある方と議論をしていて、憲法学の泰斗・宮沢俊義東大教授の「天皇ロボット論」なるものが存在したことを初めて知りました。
 私たちが学生であった頃(1975年~)、スタンダードな憲法の教科書は「憲法Ⅱ新版」(法律学全集4巻 有斐閣 1971年)でしたが、そこにそのような記述はありませんでした。同教授がこの説を唱えたのは逝去する年、1976年の「全訂日本国憲法」(日本評論社)においてなので、知らなかったのも無理はないのですが、「(天皇は)なんらの実質的な権力を持たず、ただ内閣の指示に従って機械的に『めくら判』を押すだけのロボット的存在」