お世話になっております。
7月からIn the looop頑張れと言われ、暗中模索しています。
ブログ運営の舵取りを任され気ままに好き勝手なことをやっているのですが、しばらくするとその反動で不安になるのが人間です。不安になったら効果測定しましょう。
余談ですが、効果測定をはじめるタイミングは「不安になったら」がおすすめです。要するに「それなりに気合を入れてやっている割には、効果が上がってないんじゃないか」と思い始めたタイミングです。この瞬間が、効果測定というコスト作業をはじめることに対してそれなりのモチベーションが生まれ、なおかつ手遅れにならない適切なタイミングだと、半ば本気で信じています。
というわけで、今回はブログ記事のソーシャルフィードバック集計と、独自指標作成について In the looop のケースを元に書いてみますね。
In the looop に対するフィードバックの概要
ブログのアクセス解析はGoogle Analyticsで毎回見ているのですが、今回は記事の「質」に着目してその変化を追ってみたいと思います。
通常のサイトであれば、「質」は離脱率や目的に対するコンバージョンなどで見ていくのでしょうが、In the looopは情報系サイトなので発信した内容がどれだけ評価されたかが非常に気になるわけであります。
2011年11月〜2012年9月4日までの期間に、だいたい以下のようなソーシャルフィードバックをいただきました。
■In the looopのソーシャルフィードバック数(2011年11月〜2012年8月)
ブログ記事本数 170本 記事に対する総「いいね!」数 62,958件 記事に関する総ツイート数 16,316件 記事に対する総はてなブックマーク数 7,368件
改めて集計してみるとすごい数ですね。ありがたいことです。月毎の推移を見る前に、Facebookいいね、ツイート、はてブ数の平均を見てみましょう。
■In the looopのソーシャルフィードバック平均/中央/合計(2011年11月〜2012年8月)
平均 中央値 合計 平均いいね 370.34 180.50 62958 平均ツイート数 95.97 52.50 16316 平均はてブ 43.34 17.00 7368
中央値(メディアン)というのは、その値でソートした場合真ん中にくる値です。ブログ記事に対するソーシャルフィードバックの数は、一部の人気記事がその大部分を占めるため平均にしてしまうと高めに出てしまうため併記しています。例えば、Facebookの「いいね数」に関しては、上位10%の人気記事が全いいね数の50%を占めるという超ショートヘッドな構成になっています。ちなみに、フィードバック数1位の記事はいいね数5,139件でした。
蛇足 : インバウンドマーケティングの難しさ
最近業界でも禁忌話題になっている「インバウンドマーケティング」という単語、これはコンテンツマーケティングとソーシャルメディアマーケティングを要素として内包します。なのでこの文脈ではインバウンドでもコンテンツでもソーシャルでもなんでもいいんですが、そのKSFであり、難しい点は、自分たちのビジネスにつながる文脈で「突き抜けたコンテンツ」を生み出すという点にあります。
そのひとつの証左が、上記の「上位10%のコンテンツで全いいね!の50%を占める」という事実です。確かに、インターネットの普及で有用な情報は短時間で広範囲に拡散するようになりましたが、(その他の条件が同じであれば) 本当にその短期目標を達成できるのは限られたごく一部のコンテンツだけだということになります。
ソーシャルメディアマーケティングの観点では、「認知獲得」と「ロングエンゲージメント」という短期と長期の施策がありますが、コンテンツのみで前者の目的を達成することがいかに難しいかを想像する、ひとつの根拠となるのではないでしょうか。一方、逆に一般受けしない、地味で真面目なコンテンツがロング・エンゲージメントに大きく影響しているのではないかという個人的な仮説もあるのですが、まだまだデータが不足しているのでいつか傾向がつかめたらご紹介させていただこうと思います。
参考記事:インバウンドマーケティングとアウトバウンドの違い
月毎の推移
前述の数字をもう少しブレークダウンして、フィードバック量の月毎の推移を見てみます。
月毎の平均を、さらにならすと「Facebook : Twitter : はてブ = 10 : 3 : 1」くらいになります。はてブが一番貴重ですが、短期間に40〜50集めないとトラフィックには貢献しません。はてブを集めるためにFacebook+Twitterで初期の認知を補完します。
参考記事 : 無印良品の記事がなぜか3日で2.5万PVも出たので流入経路を分析してみた
■ソーシャルフィードバックの月次推移
記事本数 総いいね 総ツイート 総はてブ 一記事あたりFB 2011年11月 27 12458 2695 1111 602.37 2011年12月 15 5064 1153 454 444.73 2012年1月 13 4629 2364 1124 624.38 2012年2月 16 4301 1916 996 450.81 2012年3月 10 6463 1337 635 843.50 2012年4月 10 5910 717 281 690.80 2012年5月 8 4822 719 365 738.25 2012年6月 9 5919 1014 414 816.33 2012年7月 17 4219 1300 446 350.88 2012年8月 39 8751 2778 1179 325.85※「一記事あたりFB数」は、記事一本あたりのフィードバック数平均値。フィードバックはFB、TW、はてブのみを合算。
私が In the looop に関わるようになってから、外部寄稿者の方に寄稿をお願いしてきたため7月〜8月から記事本数が増えていますね。それに伴って「総いいね数」「総ツイート数」も増えてきているのですが、記事1本あたりのフィードバック数(「一記事あたりFB数」)は下がっています。
これは記事の質が下がってきたということを指すのでしょうか。
独自指標の必要性
先ほど申し上げました通り、ソーシャルフィードバックは一部の人気コンテンツが全体の大部分を占める傾向にあります。もちろん、ブログメディアとして一定の認知を得るためにある程度のスマッシュヒットは必要ですが、話題性だけを狙いすぎると本来の目的を見失ってしまいます。もう少し現実的な指標が必要です。
そこで作ったのが、In the looop ヒットの基準です。
【In the looopヒット記事の基準】
以下の基準のいずれかを満たしたものを「ヒット記事」としてカウントする。
・Facebookの「いいね」が300件を超える
・Twitterで100件以上ツイートされる
・40件以上はてブをもらう
これは、私が In the looop の記事に対するユーザーのフィードバック推移を把握したいから作ったものなので、これによってブロガーにご褒美をあげたり、お金を渡したり(渡せるお金があったらなぁ、とは思いますが・・・)、叱咤するためのものではありません。
数字の根拠としては、はてなブックマークのホッテントリに入るかどうかぎりぎりの「はてブ40件」をベースに、前述のレートと直感を参考にFacebookやTwitterの数字を決めていきました。指標は In the looop 固有のものなので、どこのサイトでもこれにすべき、ということは全くありません。半分は直感ですしね。
蛇足 : 話題性だけを狙って記事を書くことの危険性
ユーザーにウケる記事の傾向は、例えばFBRankの「話題にしている人ランキング」を見るとよくわかります。Facebookページでは、「動物」「名言」「おもしろ画像」ズバリこの3点を押さえておけばだれでも話題になるページが運用できるでしょう。
ただ、このように単に話題性だけを考えてコンテンツ配信を行うと、暗黙的セグメンテーションとでも言うべき、インバウンドの良さが失われてしまいます。例えば、ソーシャルメディアマーケティングについてマニアックなブログを書いていると、そのリードである読者はソーシャルメディアマーケティングでセグメントしたのと同様関心の高いクラスタになるはずですが、「おもしろ画像」ではそのようになりません。戦略顧客 (言い方悪いですが、いわゆる「ターゲット顧客」というやつです) 以外の顧客は問い合わせ対応を始めとする諸々のコストを上昇させるので(これも伝統的な言い方をすると「歩留まりが悪い」)、ビジネスにはマイナスの影響を与えます。
一昔前のソーシャルメディアマーケティングならイノベーター層、現在ならもうちょっと広い層、というように、戦略顧客を想定し、その関心と提供コンテンツのマッチングを基本として、要素として「シェアしやすさ」「話題にしやすさ」を付加する、というのが王道かと思います。まあ、わかっていてもネタに走りたくなることがしょっちゅうあるんですけどね・・・(笑) 裸になったらどうだろう、とか。
独自指標に従った分析
独自に指標を定義すると、また違った世界が見えてきます。
ヒット記事本数 ヒット率 2011年11月 9本 33% 2011年12月 5本 33% 2012年1月 7本 54% 2012年2月 6本 38% 2012年3月 5本 50% 2012年4月 8本 80% 2012年5月 6本 75% 2012年6月 5本 56% 2012年7月 7本 41% 2012年8月 18本 46%
こうして見ると、記事の本数は増えているけどそれなりに読者から支持を得ている記事が多く、一定の質は維持できているのではないかと思われます。
寄稿してくださっている方への貢献
上記だけ見ると、「In the looopはブログ記事の寄稿だけもらっていいことづくめだな」ということになります。 運営という意味では全くその通りで、寄稿してくださっている方には言い尽くせない感謝の気持ちでいっぱいです。
In the looopができる貢献としては、「寄稿者のブランド向上」と「寄稿者サイトへのトラフィック創出」を掲げ、目下努力しております。
例えば、ループスには社員合計で累計5,000人以上のFacebookフレンド(友人数を公開している社員のみ。重複有り。)、累計2.6万人のFacebookフィード購読者(同じく公開している社員のもの)、累計4.6万人のTwitterフォロワー、ファン数2.3万人のIn the looop FBページがあります。In the looopに対する寄稿は、社員が任意で自身のソーシャルグラフ上で告知します。強制はなく、あくまで社員がその記事の価値を認めた時のみになりますので安定しませんが、認知獲得の着火点にはなっているのではないかと思います。
ちなみに、ブロガーのプロフィール欄には、ブロガー所属企業のバナー掲載が可能となっており、トラフィック創出は2.5〜3.5%程度のようです。簡単に申しますと、In the looopへの寄稿で1000人が閲覧する30人くらいがブロガーの所属企業サイトへ閲覧するということになります。
また、現在企画中のブロガーミーティングや勉強会といった活動を通して、ブログ寄稿以上のメリットを感じていただけるよう頑張っています。
というわけで、In the looop にブログ記事を寄稿したい!という奇特な方がいらっしゃいましたら、ぜひとも itl@looops.net (looopsの”o”は3つです!)までご連絡ください!
ところで、ソーシャルフィードバックって誰が得するの?
今回はブログ運営という観点からソーシャルフィードバック集計、独自指標作成のお話をさせていただきましたが、マーケティングの観点からはサイト流入増などの数字が気になると思います。
最近はあてになりませんが、Facebookの「WEBサイトのインサイト」などを見ると、いいね1件につき約1.1UU、シェア1件につき約4UU程度が流入するようです。
また、Facebook、Twitter、はてブの各メディアでシェアされやすいコンテンツの傾向が違ったりもします。そのあたりについては、また機会があれば書いてみたいと思い混ます。
それでは、よろしくお願い致します。
by 許 直人