オンナのウラガワ ~名器大作戦~
第184回 嘘と本当のあわいの怖い話のウラガワ(1)
◆もくじ◆
・嘘と本当のあわいの怖い話のウラガワ(1)
・最近の志麻子さん
角川ホラー文庫より『現代百物語 終焉』発売
夏に某大型映画スピンオフドラマに出演予定
河崎実監督映画に出演予定
TV「有吉反省会」にヒョウ姿でひきつづき出演中
「岩井志麻子のおんな欲」連載中
カドカワ・ミニッツブック版「オンナのウラガワ」配信中
MXTV「5時に夢中!」レギュラー出演中
・著者プロフィール
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8月もまだまだ怪談の季節!
ホラー小説書きである岩井さんですが、今もって怪談の実体験には半信半疑だそう。でも、だから好き、というのもあるそうで。
嘘だか本当だかわからない、そのあいだに「怖さ」があることも。
岩井さんのエピソードにたびたび登場するL美。彼女にはじつは「元ネタ」が居るようで……。
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2014年11月~16年12月のバックナンバーは、「月別アーカイブ」の欄からご覧ください。
2017年1月「自分を重ねてしまう若者たちのウラガワ」
2月「冬に聞いた奇妙な怪談のウラガワ」
3月「春のさなかに聞いた怖い話のウラガワ」
4月「木の芽時な人達のウラガワ」
5月「五月だけどさわやかになれない人たちのウラガワ」
6月「面識なしでも喜怒哀楽を喚起する人々のウラガワ」
7月「ほんのり怖い人達のウラガワ」
8月「真夏なのに秋の予感な有名人たちのウラガワ」
9月「私が見たテレビの中の人のウラガワ」
10月「大人だけど枯れるには早い人たちのウラガワ」
11月「年下韓国人夫とのアジア旅のウラガワ」
12月「捨ててもいいじゃないかのウラガワ」
2018年1月「命や生きることについて考えたウラガワ」
2月「人はなかなか変わらないのウラガワ」
3月「きれいに卒業できない女たちのウラガワ」
4月「新たな出会いの不気味なウラガワ」
5月「良い季節でも人は病むウラガワ」
6月「『有名な男の女』だった二人のウラガワ」
7月「怪談の季節! ゾッとする実話なウラガワ」
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2013年7月~12月 名器手術のウラガワ/エロ界の“あきらめの悪さ”のウラガワ/エロとホラーと風俗嬢のウラガワ/風俗店のパーティーで聞いたウラガワ/エロ話のつもりが怖い話なウラガワ/風俗店の決起集会のウラガワ
2014年1月~10月 ベトナムはホーチミンでのウラガワ/ベトナムの愛人のウラガワ/永遠のつかの間のウラガワ ~韓国の夫、ベトナムの愛人~/浮気夫を追いかけて行ったソウルでのウラガワ/韓国の絶倫男とのウラガワ/ソウルの新愛人のウラガワ/風俗嬢の順位競争のウラガワ/夏本番! 怪談エピソードの数々のウラガワ/「大人の夏休みの日記」なウラガワ/その道のプロな男たちのウラガワ
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だから好き、というのもある。そんな今月はちょっと怖い話と絡めつつ、嘘だか本当だかわからない、嘘ではないけど本当でもない、という話を書いてみる。
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しょっちゅうこの連載に登場させている、ホリプロに所属するまで雇っていた押しかけマネージャーL美。金銭的なことも含め、仕事も人間関係も大いに損害を被ったが。
それを補ってなお余りある笑いどころ、おもしろさ、憎めないところもあった。
そんな彼女から、「嘘ではないけど本当でもないというものがある」のを学んだ。
これも以前に書いたと思うが、ある週刊誌の仕事で高名な建築家と対談したとき、彼がまったくの社交辞令でそこにいた全員に、
「新しい別荘を建てたので、近くに来たら寄ってください」
といってくれた。もちろん我々は真に受けず、社交辞令には社交辞令を返しておいた。
ところが後日、L美がこんな話をいいふらしていたのだ。
「あの先生に熱烈に口説かれて、別荘に連れこまれそうになったの~」
嘘なんだけど、まったくの嘘でもない。先生に話しかけられたのも、別荘においでといわれたのも事実。でも口説かれた、連れこまれそうになった、というのは事実ではない。
先生と会ったこともないとなれば、L美は堂々たる嘘つきになるが、会ってるんだもの。
会っている事実がある以上、そこから思いきり話を膨らませても完全な嘘つきにはならない。L美はまったくの無からホラを吹くことも多々あったが、無からではなく相当ちっぽけな、しかし確たる実在するものから紡ぎあげることにかけては才能があった。
こんなふうに虚実を巧みに混ぜ合わせられると、L美を信じるようになる人もいた。そういう私だって、信じ込んだ時期もあったわけだ。
もう三十年くらい昔のことになるが、世間的には叶姉妹の元祖、といわれる女性ミスM子が彗星のごとく?現れた。平成生まれは知らないだろう。
日本人離れしまくったゴージャスないで立ちに、舞台みたいな厚化粧。ヨーロッパの社交界では知られた名前です、といった浮世離れしまくりの言動。
当時はネットが普及してなかったので、イギリスの大学卒、イタリアの大学卒といっても、一般人には調べようがなかった。というか、あの迫力ある顔と態度で自信満々にいわれると、信じるしかなかったわ。
ところがこの頃から文春砲はあり、