オンナのウラガワ ~名器大作戦~
第205回 胸に引っかかる人を思う春のウラガワ(1)
◆もくじ◆
・胸に引っかかる人を思う春のウラガワ(1)
・最近の志麻子さん
4/23(火)「平山夢明と岩井志麻子の大阪艶話」開催
5/12(日)「オメ★コボシ45」開催
TV「有吉反省会」にヒョウ姿でひきつづき出演中
「岩井志麻子のおんな欲」連載中
カドカワ・ミニッツブック版「オンナのウラガワ」配信中
MXTV「5時に夢中!」レギュラー出演中
・著者プロフィール
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またこの季節が来たなあ……としみじみしてしまう春。
どうしても取り返しのつかないエピソードを持つ人たちのことをあれこれ考えてしまうのです。
豊田社長(仮名)は、非の打ちどころのないエリートの坊ちゃん。
そして優しく真面目な性格だが、なぜかびっくりするほどモテない。
いや、その理由は明らかなのだ……。
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2018年1月「命や生きることについて考えたウラガワ」
2月「人はなかなか変わらないのウラガワ」
3月「きれいに卒業できない女たちのウラガワ」
4月「新たな出会いの不気味なウラガワ」
5月「良い季節でも人は病むウラガワ」
6月「『有名な男の女』だった二人のウラガワ」
7月「怪談の季節! ゾッとする実話なウラガワ」
8月「嘘と本当のあわいの怖い話のウラガワ」
9月「大人になりきれない人達のウラガワ」
10月「ベトナム旅行チン道中のウラガワ」
11月「しみじみしんみりな出来事のウラガワ」
12月「来年まで引きずりそうなアノ人のウラガワ」
2019年1月「去年に縁があったあれこれのウラガワ」
2月「台湾で初めて会った人たちのウラガワ」
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2013年7月~12月 名器手術のウラガワ/エロ界の“あきらめの悪さ”のウラガワ/エロとホラーと風俗嬢のウラガワ/風俗店のパーティーで聞いたウラガワ/エロ話のつもりが怖い話なウラガワ/風俗店の決起集会のウラガワ
2014年1月~10月 ベトナムはホーチミンでのウラガワ/ベトナムの愛人のウラガワ/永遠のつかの間のウラガワ ~韓国の夫、ベトナムの愛人~/浮気夫を追いかけて行ったソウルでのウラガワ/韓国の絶倫男とのウラガワ/ソウルの新愛人のウラガワ/風俗嬢の順位競争のウラガワ/夏本番! 怪談エピソードの数々のウラガワ/「大人の夏休みの日記」なウラガワ/その道のプロな男たちのウラガワ
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また春が廻ってきたなぁ……。そりゃ夏も秋も冬も、またこの季節が来たなぁとは思うけど、なぜこんなに春先は特別にしみじみさせるのか。
入学式に入社式、自分には直接の関係はなくなっても、人生の転機となることが多い時候だからか。凍てついた季節が終わり、いろいろと萌えるようになるからか。
木の芽時という言葉があるほどで、心身ともにバランスをくずしやすくなる時節でもある。そして新しいあれこれに期待し未来に希望を抱くより、過ぎ去った季節のもはやどうしようもないことを物悲しく思い出しもする。
希望の季節なのに、過ぎ去ったものを惜しむ。新しいことが始まる予感にときめく季節なのに、取り戻せない過去を悔やむ。それが今月、三月のテーマだ。例によって全編に渡り、登場人物はすべて仮名。背景にも多少の脚色を加えてある。
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豊田社長は家柄、経歴、資産、非の打ちどころのないエリートの坊っちゃんだ。特にイケメンではないが、誰からも好感と安心感を持たれる優しそうで真面目そうな雰囲気を醸し出し、実際にその通りの性格でもある。
だったらモテモテだろう、いや、すでに五十歳を過ぎているとのことなので、これまた美しく教養のある、絵に描いたような良妻賢母の奥様がいるのだろうと……スペックだけを聞けばみんなそう思う。
ところが豊田社長、びっくりするほどモテない。今まで一度も結婚どころか、ちゃんと交際した女性がいない。じゃあ男が好きなのか、それとも異性にも同性にもあまり性的な興味がない性向人なのか、というと、そうでもない。
気にいった女性はけっこう積極的に誘いもするし、結婚願望もあるといい、見合いもしている。ああいうのがタイプだと、女優の名前を挙げたりもする。
ちょっと変わっているかもしれない、というのは、金と地位があるのだから銀座の高級クラブで美人ホステスをはべらせるとか、いろんなコネも使えるので、ちょっとしたアイドルや女優と合コンなどもできるのに、まったくそれはしないことだ。
豊田社長が好み、それこそいろんなコネやツテを使って会いたがるのは作家、漫画家、編集者、イラストレーター、といった文化人といわれるジャンルの女性なのだった。