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第227回 なぜか惹かれる未解決事件のウラガワ(2)
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第227回 なぜか惹かれる未解決事件のウラガワ(2)

2019-10-31 23:50

    オンナのウラガワ ~名器大作戦~
    第227回 なぜか惹かれる未解決事件のウラガワ(2)

    ◆もくじ◆

    ・なぜか惹かれる未解決事件のウラガワ(2)

    ・最近の志麻子さん 
     江平洋巳さんとコラボした『怖ろし譚』発売
     11/3(日)「オメ★コボシ47」開催
     『小説 エコエコアザラク』が発売中
     角川ホラー文庫より『忌まわ昔』発売中
     TV「有吉反省会」にヒョウ姿でひきつづき出演中
     「岩井志麻子のおんな欲」連載中
     カドカワ・ミニッツブック版「オンナのウラガワ」配信中
     MXTV「5時に夢中!」レギュラー出演中

    ・著者プロフィール

    ===

    なぜか惹かれてしまう未解決事件について、もしこの出来事を題材に物語を書くなら……という観点から、想像の翼を羽ばたかせる岩井さん。
    彼女が行方知れずになったとき、なぜか6年前と7年前の日記帳だけがなくなっていた。
    そして彼女の遺体は意外なところから発見されたのだが……。

    バックナンバーはこちらから↓
    http://ch.nicovideo.jp/iwaishimako/blomaga

    2014年11月~17年12月のバックナンバーは、「月別アーカイブ」の欄からご覧ください。
    2018年1月「命や生きることについて考えたウラガワ
    2月「人はなかなか変わらないのウラガワ
    3月「きれいに卒業できない女たちのウラガワ
    4月「新たな出会いの不気味なウラガワ
    5月「良い季節でも人は病むウラガワ
    6月「『有名な男の女』だった二人のウラガワ
    7月「怪談の季節! ゾッとする実話なウラガワ
    8月「嘘と本当のあわいの怖い話のウラガワ
    9月「大人になりきれない人達のウラガワ
    10月「ベトナム旅行チン道中のウラガワ
    11月「しみじみしんみりな出来事のウラガワ
    12月「来年まで引きずりそうなアノ人のウラガワ
    2019年1月「去年に縁があったあれこれのウラガワ
    2月「台湾で初めて会った人たちのウラガワ
    3月「胸に引っかかる人を思う春のウラガワ
    4月「こういう人いるよねという出会いのウラガワ
    5月「働くということについて考えたウラガワ
    6月「私なりのプロファイリングをしてみたウラガワ
    7月「芸事業界の人たちの願いごとのウラガワ
    8月「怖さひかえめな怖い話のウラガワ
    9月「まだ挽回できるかどうか気になるウラガワ


    ※2014年10月以前のバックナンバーをご購入希望の方は、本メルマガ下部記載の担当者までお知らせください。リストは下記です。

    2013年7月~12月 名器手術のウラガワ/エロ界の“あきらめの悪さ”のウラガワ/エロとホラーと風俗嬢のウラガワ/風俗店のパーティーで聞いたウラガワ/エロ話のつもりが怖い話なウラガワ/風俗店の決起集会のウラガワ
    2014年1月~10月 ベトナムはホーチミンでのウラガワ/ベトナムの愛人のウラガワ/永遠のつかの間のウラガワ ~韓国の夫、ベトナムの愛人~/浮気夫を追いかけて行ったソウルでのウラガワ/韓国の絶倫男とのウラガワ​/ソウルの新愛人のウラガワ​/風俗嬢の順位競争のウラガワ​/夏本番! 怪談エピソードの数々のウラガワ​/「大人の夏休みの日記」なウラガワ​/その道のプロな男たちのウラガワ​

    ===

     スポーツの祭典、行楽シーズン、十月はそんな季節だけれど、読書の秋、芸術の秋、物思いにふける秋だったりもする。

    『今昔物語』の話を現代の物語にアレンジする試みの第一弾が、角川ホラー文庫から出ている。今も、いつか書きたいと思っていた昭和から平成にかけての未解決事件を調べているところだ。書くかもしれない、書かないかもしれない話を今月は紹介する。

                        ※

     公務員の彼女は、生活も仕事ぶりも真面目できちんとしていると評判だった。地元の女子大を出て上京し、同じ職場にこつこつと勤め続けた。
     清楚な雰囲気の美人だったが、三十過ぎても四十が近くなっても独身のままだった。本人は、理想が高いのよと冗談めかしていたが、実際はかなり結婚を焦ってもいたという。お見合いは、地元で何度かしていたらしい。

     そんな彼女が、ふっといなくなった。無断欠勤などただの一度もないし、遅刻すらしたことがない彼女だったから、一日来なかっただけで上司は地元の親に連絡した

     親も、何も知らないし、わからないといった。当時はもう携帯電話もパソコンもあったが、ワープロとポケベル全盛期だ。親も友達も同僚も、そんな毎日メールやラインをしていた時代ではない。

     翌日も彼女は職場に現れないし、自宅に電話しても出ないし、訪ねていっても留守だ。
     親が上京してきて、合い鍵で部屋に入った。彼女らしく整頓された部屋は、別に荒らされた様子もない。
     ただ、財布や通帳など大事な物を入れていつも持ち歩いているバッグがなかった。本人が持って出たのか、何者かが持ち去ったのかはわからない。

     それと、もう一つ。彼女は上京してから日記をつけていたが、本棚に並べた日記帳の中から、六年前と七年前のがなくなっていた。

     いなくなる前日の夕方、勤め先からの帰りに近くのスーパーに立ち寄っていたのが、テーブルに置かれたレシートや冷蔵庫の中のものでわかった。
     親は警察にも届け出たが、そのまま一年が過ぎた。家出人という扱いなので、警察が捜査はしない。親は彼女の帰りを信じ、部屋もそのままにしていた。

     そうして、思いがけない形で彼女は見つかる。

     
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