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第266回 まだ猶予があるのかもという気分のウラガワ(2)
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第266回 まだ猶予があるのかもという気分のウラガワ(2)

2020-11-30 21:45

    オンナのウラガワ ~名器大作戦~
    第266回 まだ猶予があるのかもという気分のウラガワ(2)

    ◆もくじ◆

    ・まだ猶予があるのかもという気分のウラガワ(2)

    ・最近の志麻子さん 
     【配信版】月刊オメ★コボシ 12/8(火)開催
     配信イベント「志麻子の部屋 R18+」12/18(金)開催
     TV「有吉反省会」にヒョウ姿でひきつづき出演中

     「岩井志麻子のおんな欲」連載中
     カドカワ・ミニッツブック版「オンナのウラガワ」配信中
     MXTV「5時に夢中!」レギュラー出演中

    ・著者プロフィール

    ===

    うまくいっていない物事についても、来年こそ、と、まだやり直せる猶予があるのかもという気分になる十一月。
    あきらめと開き直りの中に、希望とやる気は残している。

    以前にスタッフとして雇っていたL美のことはさんざん書いてきたが、彼女と何かが重なる女性にあってしまった。
    ユミとする彼女は、風俗の仕事で得たほとんどを美容整形につぎこんでいて……。

    バックナンバーはこちらから↓
    http://ch.nicovideo.jp/iwaishimako/blomaga

    2014年11月~19年12月のバックナンバーは、「月別アーカイブ」の欄からご覧ください。
    2020年1月「愛しい南国の怖い話のウラガワ
    2月「ひきつづき東南アジアの怖い話のウラガワ
    3月「どこか心残りの別れのウラガワ
    4月「未経験な世の中のあれこれのウラガワ
    5月「「あの人実は」「あの人やっぱり」のウラガワ
    6月「アマビエ的なものや人のウラガワ
    7月「怖い話をエンタメとして楽しみたいウラガワ
    8月「どこか楽しめる怖い話のウラガワ
    9月「エンタメとして味わいたい人の怖さのウラガワ
    10月「いい大人なのに未経験のウラガワ


    ※2014年10月以前のバックナンバーをご購入希望の方は、本メルマガ下部記載の担当者までお知らせください。リストは下記です。

    2013年7月~12月 名器手術のウラガワ/エロ界の“あきらめの悪さ”のウラガワ/エロとホラーと風俗嬢のウラガワ/風俗店のパーティーで聞いたウラガワ/エロ話のつもりが怖い話なウラガワ/風俗店の決起集会のウラガワ
    2014年1月~10月 ベトナムはホーチミンでのウラガワ/ベトナムの愛人のウラガワ/永遠のつかの間のウラガワ ~韓国の夫、ベトナムの愛人~/浮気夫を追いかけて行ったソウルでのウラガワ/韓国の絶倫男とのウラガワ​/ソウルの新愛人のウラガワ​/風俗嬢の順位競争のウラガワ​/夏本番! 怪談エピソードの数々のウラガワ​/「大人の夏休みの日記」なウラガワ​/その道のプロな男たちのウラガワ​

    ===


     気がつけば子どもの頃から今に至るまで、十二月より十一月に「来年こそがんばろう」といったあきらめ、開き直りをしていた。十二月になるともう、「今年もだめだったけど、まぁいいじゃない」と受け入れられる。なんだかんだで、十二月は現実的に忙しいし。

     という私にとって恒例の雰囲気を、今月はテーマにしている。いやしかし、それでもあきらめと開き直りの中に、希望とやる気は残しているのよ。

                        ※

     こんないい歳になっても、知らないことのほうが多いし。わかったつもり、知ってるつもりでいたのに、実はわかってなかった、あるいは古い固定観念に縛られていた、偏った思い込みに支配されていた、ということもよくある。

     まずそれを痛感させられたのが、かなり昔にスタッフとして雇っていたL美だ。しつこくネタにしているが、それは憎しみではなくある種の愛だと解釈してほしい。L美本人にも、読者様にも。私は、どうでもいい人はどうしてもネタにできない。

     それでも、華麗なる経歴などがすべて嘘で、それ以外にもあまりにも虚言が多く、仕事もまったくできず、というよりやろうとせず、結果として決別してしまったのだが。
     彼女にはなんともいえない悲しみとおもしろさもあり、憎み切れないところがある。

     だから幸せになってほしいなといったら、友達の何人かに冷静に突っ込まれた。

    「どういうふうになってほしいの。L美がどんな生き方をしたら、幸せだといえるの」
    「えーと。故郷に帰って、真面目な優しい男と地道に暮らしてほしい」
    「あのね、L美はそれをしたくないから出てきたの」
    「そうそう。L美にとっては田舎で冴えない男と地味な暮らしなんか、絶対したくないどころか生き地獄だった」

     猛烈に納得させられ、私が描く幸福の凡庸さにも驚いた。そういう自分自身が、そのような生活を私にとっては幸せと思えないからこそ、今の人生、生活があるのにだ。

    「L美は華麗な嘘に包まれているときが最高に幸せで、いつまでも嘘をついていたいから、リアルな自分に向き合わなきゃならない故郷には戻らない」
    「L美に限らず、特に目的もなく、っていうか、都会にいること自体が目的になってる人は多いよ。志麻子さんが先日見た、ものすごく下手な歌手も、歌手であり続けることが目的になってんじゃないの」

     というわけで。先日も仕事で、嘘つきではないがL美と何かが重なる女性に会ってしまった。年齢はL美の娘くらいだ。仮にユミとしておく。

     本人が語るユミは、こんなふうだ。田舎町で、何もかもが平凡な子として生まれ育った。特に自分の容姿について悩んだこともなく、髪も短くしてTシャツに短パン、男の子に混じって外で転がって遊んでいた。

     強い意志や夢ではなく、ただ漠然と都会に憧れ、上京した。最初は地道なバイトをしていたが、華やかな世界を見たいしお金も欲しいしで、ガールズバーに勤めてみた。

     そこでユミは初めて、きっぱりと容姿を査定された。容赦なく美人と容姿で差をつけられ、可愛くない子として扱われ、下に見られた。

    「自分の何もかもを、全否定された気になりました」
     当時の写真を見せてもらったが、容姿を理由にいじめられるとか笑われることはないにしても、ん~確かに美人とはいわれないかなぁ、とは思った。とにかく、普通なのだ。

    「可愛い子は指名がいっぱい入って、ツーショット撮影の注文もたくさん。だけど私はほとんどそれらがなくて、ぽつーんとしてました」

     ユミは思い切って、風俗の仕事も始める。得たお金はほとんど、美容整形につぎ込んだ。総額、一千万近いそうだ。

     私が会ったユミは、お人形さんみたいな顔だった。確かに今のユミは、美人といわれる。私は歌舞伎町に住んでいるので、典型的なキャバ嬢の顔だとも思った。

     そしてユミは今も風俗店に勤めているだけでなく、もうすぐAVにも出るという。
     
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