オンナのウラガワ ~名器大作戦~
第96回 接点がないのに気になる人たちのウラガワ(3)
◆もくじ◆
・接点がないのに気になる人たちのウラガワ(3)
・最近の志麻子さん
4/23(土)バスツアー「岩井志麻子・徳光正行と行く【オメ☆コボシ】社会科見学」開催!
女子SPA!にインタビュー記事掲載
「韓流アフタヌーン~岩井志麻子のイイオトコ図鑑」次回は4/15(金)
「ひかりTV」4Kホラードラマ「伝染る物語 ~KADOKAWA 怪談実話~」に原作提供
カドカワ・ミニッツブック版「オンナのウラガワ」配信中
MXTV「5時に夢中!」レギュラー出演中
・著者プロフィール
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直接の接点がなく、どこかで会える可能性もなさそうなのに、なんだか気になってしまう人たち。
そんな人たちへの思いを今月は綴っていきます。
タクシーの運転手さんとの出会いは一期一会。
やっぱり聞いてしまうのは「何か怖い話ないですか」。
「三途の川」があると語るのは、タクシーの運転手さんが多いことに気が付いて……。
「妻の頭の中の川」の話も怖い! 岩井さん出演のTV「5時に夢中!」とも関わりのある話で……。
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2014年11月「「そんなプロもありか」な人達のウラガワ」
12月「「殺人者」たちから聞いたウラガワ」
2015年1月「「大人の冬休みの日記」なウラガワ」
2月「「大人の冬休みの日記のつづき」なウラガワ」
3月「ベトナム愛人との旧正月のウラガワ」
4月「春の喜怒哀楽のウラガワ」
5月「韓国人夫の失踪届けを出したら……のウラガワ」
6月「ホラー作家まわりの怪異のウラガワ」
7月「異国の夏休みのウラガワ」
8月「そろそろ怖い目に遭う予感のウラガワ」
9月「秋風に謎めく過去のウラガワ」
10月「人生の秋を生きる女達のウラガワ」
11月「「結婚」に振り回される女達のウラガワ」
12月「出版業界の仕打ちのウラガワ」ほか
2016年1月「会えなかったけど気になる女たちのウラガワ」
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2013年7月~12月 名器手術のウラガワ/エロ界の“あきらめの悪さ”のウラガワ/エロとホラーと風俗嬢のウラガワ/風俗店のパーティーで聞いたウラガワ/エロ話のつもりが怖い話なウラガワ/風俗店の決起集会のウラガワ
2014年1月~10月 ベトナムはホーチミンでのウラガワ/ベトナムの愛人のウラガワ/永遠のつかの間のウラガワ ~韓国の夫、ベトナムの愛人~/浮気夫を追いかけて行ったソウルでのウラガワ/韓国の絶倫男とのウラガワ/ソウルの新愛人のウラガワ/風俗嬢の順位競争のウラガワ/夏本番! 怪談エピソードの数々のウラガワ/「大人の夏休みの日記」なウラガワ/その道のプロな男たちのウラガワ
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すでに新年の雰囲気はなくなってしまっているけれど、まだ今年が始まって間がない感じはある。そして去年から、いや、もっと前から引きずっているものも多い。
別に、年が改まったら何が何でも新しくしたり発展させなきゃならないってことはないのだが。それに、現状維持の方が良しって場合も少なくはないのだし。
前月は、さほど関係もないし面識もないのにずっと心に引っかかり続けている人達について書いた。しかし彼らと私はどちらかが一方的に知っていたり、間接的にはつながっていたり、本人は無理でも知り合いには今からでも会える可能性を残している。
今月は、そんな淡いつながりさえない人達をとりあげている。ほとんど異世界や架空の世界に生きているような人達だ。もっとも、あちらからは私がそんな存在だろう。
……タクシーの運転手さんとの出会い、そして目的地まで過ごす時間というものは、本当に一期一会。
話だけは覚えていても、運転手さんその人の顔を覚えていることはない。名前の札も運転席にはあるけれど、まじまじ見たことはない。
話の続きを聞きたい、後日談を知りたいと思ってもどうにもならない。
特にそのタクシーに乗ったのが外国で、当然ながら運転手さんも外国人であれば、そこで聞いた話は事実、現実であっても次第にお伽噺のようになっていく。
さて。そんな私はタクシーに乗って話好きな運転手さんだと、やっぱり「何か怖い話ないですか」と必ず聞いてしまうのだが。
幽霊話になることは、ほとんどない。だいたい危ない客の話になる。もちろんそれはそれでおもしろいし、怖い。そういうヤバさは万国共通だなと感心したり、そのての話は国によって怖さが違うと感心したり。
女を乗せたら途中で消えて、シートがびっしょり濡れていたとか。到着したら葬式の最中で、遺影にはさっきまで乗っていたはずの客の顔があったとか。そんなタクシーの定番の怪談も、体験者に当たったことがない。
運転手さん達も、仲間内でもそんな経験者には会ったことがないという。しかし、
「三途の川っていうのは本当ですよ」
というのは、何人かに聞いた。事故だったり病気だったりと様々な事情で生死の境をさまよったとき、確かに川が流れているのを見たという。
最近乗ったタクシーの運転手さんも、若いときに事故で死にかけた話をしてくれた。
「本当に川が流れているんですよ。ザーザーという水音まで覚えてますが、もしかしたらそれは自分の血が流れる音だったのかもしれない。
事故で流れ出たときのじゃなく、心臓が止まりかけたけど血の流れが戻ってきた、その生命の復活の音じゃなかったのかなと今は思います」