田舎暮らしを始めて失敗した人の理由のほとんどが人間づきあいの失敗
山口 今日は、岩佐さんがとんでもない嘘つきだということがわかりました。
岩佐 どうしてですか?
山口 岩佐さんの本を読んだら、東京と南魚沼は意外と行き来も思ったより不便じゃないとあって、たしかに近いといえば近いんですけど。
やっぱり異国ですよ、ここ(笑)。雪国にあまり来たことのない僕らからするとフィンランドに来たような感じがしますね。
岩佐さんはこの風景を見ても、もうなんとも思わないんですか?
岩佐 これが日常ですからね。
柳沢 ここらへんは日本有数の豪雪地帯なんですか?
岩佐 そうですね、間違いないです。その日本有数の豪雪地帯の中でも、僕らのオフィスがある大月地区というのは雪がいちばん少なくて、住みやすい場所と言われてます。
山口 こんなに積もっててもそうなんですか。東京とここ南魚沼ではどっちが住みやすいですか?
岩佐 僕が東京で最後に住んでたのは中央区佃島の高層マンションだったんですが。そこといまとどっちが住みやすいかというのは何とも言えないですね。
東京には東京の良さがあるし、ここにはここの良さがあるから、優劣というのはつかなくて。明日、東京に戻れと言われれば東京に戻ってもいいかなという感じもあるし。
地方から東京に出て来た人が、故郷に帰るとホッとしたりする感覚があると思うんだけど。
僕も最近、東京に帰るとホッとするようになったんですね。僕は子供の頃、自分は故郷がない人間だと思ってた。
山口 東京生まれはそう思いがちですよね。
岩佐 みんなが夏休みや冬休みになると親の故郷に帰るというのを聞いて、「なんで僕には故郷がないんだろう」「いいなあ、故郷がある人はしょっちゅう旅行に行けて」ぐらいに思ってたんですよ。
自分は故郷がなくて損をしてると。こちらに引っ越して来た当初も東京が故郷だという意識はなかったんです。
それがここ数年で、「ああ、東京って故郷なんだなあ」と感じるようになりました。なぜ最近そう感じるようになったかというと、それはいま言ったように帰るとホッとする感じがするんですよ。
ここはここでホッとするんだけれども、東京は東京でホッとする何かがあって。
柳沢 こちらに住むようになって、東京の良さが見えるようになったというのはあるんですかね?
岩佐 そうですね。それは絶対にありますね。いまは東京というのはすごくいい町だと思いますよ。
東京というのは住む場所じゃないんじゃないかなと思ってた時期もありましたけど。