いくら田舎の人たちに、日本の危機感とか、グローバル化とか説いても実感はないと思います
柳沢 先生、ご無沙汰してます! K-1のときは色々とお世話になりました。
田村 ご無沙汰してます。いやー、いまこういうメディアをやられてるんですか。
柳沢 そうなんです。先生も議員活動はいま一回休みみたいですけど(笑)。ボクも谷川もネットメディアで勉強中です。
田村 いやあ、お元気そうでなによりです。
柳沢 さっそくですけど、『かみぷろ』では地方分権とグローバルについて考えていこうと思ってるんです。まず田村さんは地方分権というものをどう考えてますか?
田村 避けて通れないものですね。国から地方にお金を持っていくということがこれからなかなか難しくなってきます。
これまで地方選出の国会議員の役目というのは、打ち出の小槌のように国からお金を引っ張って来て、道路を作ったり、補助金を引っ張ってきたりするのが仕事みたいなところがあったんですが、もう国にお金がないですから。
地方は地方で稼いでいかなきゃいけない。これが地方分権なんで、ある面では厳しいことですけど。でも、権利と義務はワンセットですから。
柳沢 はいはい。
田村 かつて地方に自由がなかったのは、その代りに国が財政を支えていたからですね。国がお金をあげるかわりに地方は黙ってなさいと。
でもこれからは、自由にしてあげるからそのかわり自分で稼いで下さいと。いわゆるノマドみたいなもんですよ。
柳沢 なるほど。自己責任ってことですね。
田村 これから地方は自由に住民たちの発想でいろんな産業を作ったりすればいい。ただ、これからは自分たちが稼げる範囲でしかお金を使えませんよ。
これが地方分権だと思います。まあ、事業をやってる人から言わせれば当たり前のことですけどね。
国から言わせれば、「じゃあ、お好きにどうぞ。そのかわり自分たちで稼いで下さい。それが筋でしょ」と。その筋論に戻るのが地方分権でしょうね。
柳沢 もうその流れは止められないと。
田村 そうですね。国にお金がないわけですから。地方に行けば行くほど、人口あたりの病院の数とか、人口あたりの学校の数が多くて、稼働率が高くない文化ホールがあったりするわけじゃないですか。
これからそういうものを自分たちで工面しなきゃいけませんよと。ただ、知恵の出し方はあるんですよ。
佐賀県武雄市の市長さんがTSUTAYAと一緒になって図書館を運営したり。そういう知恵の使い方は、地域に根を張った人が手がけた方がいいものが出るかもしれない。
いくら頭が良くてもその土地に行ったことがない霞が関の官僚が、勝手に活性化策とかいって考えて押しつけるよりも。
柳沢 そういうことを大きく捉える中で、インターネットや流通がこれだけ発達したいま、地方発都会、地方発世界という発想があまり見えないというか、なかなか火がつかずに燻ってますよね。
田村 残念ながら一般論で言えば、東京と地方ではだいぶ感覚が違うと思うんですね。東京の人の方が背水の陣というか危機感がある。
それは情報がものすごくあるから。この前、講演に行って驚いたんですけど、京都大学や大阪大学の学生だって地元だけでは就活の情報が入ってこないと言うんですね。
だから、深夜バスに乗って東京に来て、東京のセミナーに出て、それでも情報が足りなくて、普段からサークル活動とか飲み会を通じて東京にいるOBと仲良くしないとダメだと。
京都大学や大阪大学の大都市の学生でもそうですからね。ということは、福岡とか名古屋とか、もっと地方の広島とか鳥取になったらもっともっと情報がないわけですよ。
柳沢 へえ。