第6回 K-1誕生の年
今から20年前の1993年4月30日にK-1が誕生した。他にも同じ年にパンクラスが誕生し、アルティメット大会も誕生した。日本とアメリカを股にかけて格闘技の新しい何かが生まれた。日本とアメリカで生まれたということは、世界中にチャンスが生まれたということにもなる。当時のGNP世界一位と二位の国で行われる格闘技興行には、世界中の選手へ出場のチャンスが巡ってくる。実力さえあれば異国で夢を掴むことが出来るのだ。
1993年を境に世界中に新しい流れが生まれた。あの日僕はK-1の会場にいた。総合格闘技がまだ未知の競技だった時代。そしてキックボクシングも空手もマイナーだった時代。そんな中、東京の代々木競技場第一体育館で行われたビッグイベント。そのイベントはワンデートーナメントで優勝者を決める。さらにトーナメントの優勝者には10万ドルが優勝賞金として与えられる。それまでの青息吐息状態だった格闘技界のことを考えたら、とてつもなくあり得ないほどの規模の大会が行われたのだ。
今でこそ当たり前となったワンデートーナメントだが、そのシステムはこの日から始まった。初めて何かをやるには勇気が必要になる。大胆な勇気と行動力、そして繊細過ぎるほどの気配り。
世界初のワンデートーナメントに向けて、ドクターも含めた検証をやっていた。それまでのキックボクシングの試合は最長でも5ラウンド。K-1の場合、3分3ラウンドだから、トーナメント決勝戦までをフルラウンドで闘ったとしたら3試合分で合計9ラウンドになる。そうなった場合、一体どんなダメージが蓄積されるのか? 実際、それはやってみない限り誰にも分かりはしない。だけど、出来る限りの状況をドクターも含めて検証をしていた。僕はその会話を傍で聞いたこともある。とにかくみんなが真剣な顔つきで考え抜いていた。
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