第27回 あなたは正義を振りかざす野暮な時代に漂う紙風船?
つくづく人情紙風船な時代だと思う。
以前は、人様の言動の重箱の隅をつつくような真似を「野暮」といい、許容することで社会は成り立っていた。今はどうだろう? 皆が他者の過ちを許さず、各々の正義を各々の基準で振りかざす国民総正義。
たとえば駅の改札で引っかかっただけの人を、通勤の邪魔と詰り、罪人を見つめるような眼差しで睨み「ウザい」「死ねよ」と呟き「痛い人がいたよー」とネット上に晒すことが本当に正義だろうか。断じて違う。と思ったのは今朝改札に引っかかったのは他でもない私だから。改札にかかった私という結果だけを見て、原因が機械側にあるという可能性を考慮せず、短絡的に罵声を浴びせるのは世知辛すぎる。これでは誰もが正義の前に萎縮してしまう。結果、誰もが自分の言動に責任を持たなくなり、ふにゃふにゃ曖昧なことしか言わなくなる。