第46回 あなたは薄いマグロに透ける商売人の矜持を見たか?
消費税増税。五%から八%へのアップである。来年あたりには更に十%に上がるらしい。苦しすぎる。私が息苦しい詰め襟学生服を着ていた頃に消費税なるものが導入されたときは三%であったのに…というと若手から露骨に老害扱いされる世知辛い世の中。なので私は沈黙し、苦虫を潰すような思いで消費税増税を見つめている。
給料は上がらずの増税である。たちまちのうちに庶民の暮らしは困窮する。中間管理職にある私とて例外ではなく、このままでは造花作成の内職をしなければならない状況なのである。
という愚痴を馴染みの飲み屋でこぼしたら、店のオヤジは「ウチは庶民の店だから。庶民の味方だからよ」といい、高らかに値段据え置きを宣言したのはまだ肌寒い3月末の宵であった。私はオヤジの心意気に自分の心に火がついたことを昨日のことのように覚えている。
「値上げしねえよ。値下げもしねえけど」