今から16年前の話。夜勤明けに麻雀最強戦決勝の会場にいた。
対局者としてではなく、採譜者(麻雀の記録をする係)としてだ。

最強戦の採譜者は、決勝進出者が自由に選んで良い
との決め事になっていた。決勝進出者の名前は「園田賢」という。

当時部下だった男の、麻雀プロとして初めて立つ晴れ舞台。
無下にするわけにもいくまいて、彼の依頼を快く承諾したのだ。

残念ながら園田プロは最終半荘、南2局の親番を落とすと
逆転優勝の可能性は完全に無くなってしまった。

トータルトップは二階堂瑠美プロ。2位以下を10万点以上も
突き放す独壇場、会場にいた誰もが二階堂プロの優勝を確信していた。

オーラス、園田プロともう1人のプロは、優勝の可能性が無いなら
極力鳴かせず、極力振り込まずの黒子役に徹する構えだった。

大逆転の可能性がわずかに残る親番のプロは
副露、リーチ、形式テンパイ、ありとあらゆる手段を使って連荘した。

積み棒が5本、6本と増える。