赤3枚持ちとはいえ、VS親リーチの9巡目リャンシャンテン。
安全牌も2枚持ちとあらばここはオリ有利――
麻雀の参考書ならばこのように解説すると思うのです。
この説明文、ある意味では正しくて、ある意味では間違っています。
ある意味正しいところとは――
「見合わない勝負を避けるようにしましょう!」ということを明確な基準を示すことによって、麻雀の初心者にもわかりやすく伝える手法です。
その基準が「リャンシャンテン」というわけです。なるほど、確かに親リーチにリャンシャンテンでプッシュする局面は圧倒的に少ないですね。
ある意味間違っているところとは――
押し引きの判断はシャンテン数で決めるものではないということ。
みなさんはもう初心者ではありませんので
押し引きの判断について本当の事を教えましょう。押し引きとは――
アガリ確率+打点+点数状況+押す牌の危険度 によって決めるものです。
一番大事なアガリ確率。そのチェック項目の一つに「シャンテン数」があるということ。
アガリが目的、シャンテン数を上げるのは手段、履き違えてはいけませんよ。
アガリ確率のチェック項目には
・シャンテン数
・巡目
・役の有無
・有効牌の出現頻度
などがあります。9巡目のリャンシャンテン、これは本来×です。
しかしこのケース、他のチェック項目もよく調べてみてください。
役の有無はタンヤオまたは三色。仕掛けてもシャンテン数を上げられる手牌で◎
有効牌の出現頻度は3mと6pが現物、かつ脇の2人がオリ気味で◎
とあらばこの手牌は、9巡目リャンシャンテンながらアガリ打点も加味しますと、放銃するリスクに見合う程度にはリターンを見込んで良い。という判断になるかと思います。
では同じ牌姿で、ベタオリ有利となる手牌の価値の判断材料は――
>欲しい牌がリーチの非現物では、有効牌の出現頻度が下がるのでマイナス評価
>脇がリーチに対して押しているなら、有効牌の出現頻度が下がるのでマイナス評価。
>役が無く門前限定ならば、また巡目がもう少し深くなってからでは
テンパイしてからアガリの抽選を受けるまでが難しくなってくるのでマイナス評価。
ということであればベタオリ有利。という判断になりますね。「マンガンあるから全ツや~!」と何でもかんでも押してしまう人もどうかと思いますが
場況も加味せず「非テンパイ即ベタオリ」のような
反射的にマニュアル通りの打ち方をしてしまう人もそれはそれでどうかと思います。
歌舞伎町などのフリー雀荘には、手順はデタラメでも
アガリに対する執着、嗅覚だけは優れているような猛者共がたくさんいます。
そこで喰われてしまうような天鳳高段者は
後者のような反射的マニュアル厳守タイプに多いのではないかと思います。
細かい判断が苦手なら無難にオリたほうが良いでしょう。
特上卓を抜け、鳳凰卓に辿りついただけで十分満足ならばオリても構いません。
でもみなさんが目指すところは、そんなところではないでしょう?
南2局以降は点数状況
現在着順と相手との点差によって押し引きを決めるようにしましょう。
例えばこの7sです。チーして無筋1p勝負はリスクが高い選択です。リターンは着順を維持したまま南3局を迎えること。実はこのリターン、順位戦ではかなり大きいです。
つまりここでの選択は――
ラス目北家と2900点差以内の3着目だとチーして勝負をする。
ラス目北家と4100点差以上の3着目だとチーせず勝負をしない。
ということです。順位戦において南2局以降は特に
1着順上がるか1着順下がるか、ということに重きを置いて判断するようにしましょう。
打2m、いいんじゃないでしょうか?全く問題ない普通の選択です(牌図A)
しかし東場フルスインガーとしては、マックス3900点では物足りないっすね。
ということで打東です。当然上家から出る4pも HU・KA・SE・!
仕上がりましたよ~。って遅いけどね・・
これを曲げたとしても期待ポイントは十分にプラスです。(牌図B)
十分にプラスならばリーチでも問題ないかといえばそうではありません。
この問題はリーチをしたときと、テンパイを外した時の比較で
どちらが期待ポイントが高いのか?ということです。満足度の話ではありません。
(牌図A)の選択で打2m。(牌図B)の選択で即リーチ。
全く悪くないですよ。そのような選択傾向のある強者も多いとは思います。
僕はあの巡目なら、最低マンガン~を狙います。
打点狙いの戦略が巧を奏するケースだって、天鳳でも決して少なくはないはずです。
そう、麻雀に正着打がたった1つとは限らないということ。
南3局です。2着目との点差は5000点差でした。この局の第一志望はマンガンツモ圏外に追いやる10000点差以上をつけるアガリだと思います。
第一志望が難しそうなら第二志望
それはマンガン横移動でも耐えられる8000点差以上です。
上家が9sチー、7sが2枚見えたこの瞬間
第一志望が難しくなったこの瞬間に取るべき選択は、第二志望へ向けて5sチーです。
お――
やりましたー!とこのように
第一志望を追いつつも、無理だと思ったら素早く第二志望に切り替える。
自分の手牌の身の丈を知ることも
それを悟ったら早めに見切りを付けることも大事ですよね。
01/09 | 牌譜 | 鳳南喰赤 |
http://tenhou.net/0/?log=2015010911gm-00a9-0000-d075e8d5&tw=3
2位 D:【罪歌】(+8.0) A:NISHI(+63.0) B:平井銀二(-19.0) C:juan(-52.0)
01/09 | 牌譜 | 鳳南喰赤 |
http://tenhou.net/0/?log=2015010911gm-00a9-0000-43de1f79&tw=2
2位 C:【罪歌】(+2.0) D:平井銀二(-19.0) A:天野遠子(-38.0) B:けん1970(+55.0)
01/09 | 牌譜 | 鳳南喰赤 |
http://tenhou.net/0/?log=2015010913gm-00a9-0000-aa9a6db7&tw=3
2位 D:【罪歌】(+11.0) A:ラッキードッグ(+55.0) B:jyanpei4(-45.0) C:Journey(-21.0)
01/09 | 牌譜 | 鳳南喰赤 |
http://tenhou.net/0/?log=2015010915gm-00a9-0000-f4549b9c&tw=1
1位 B:【罪歌】(+48.0) C:確認事項(+11.0) D:影虎(-42.0) A:doumokun(-17.0)
コメント
コメントを書く有効牌の出現頻度に入っているかもしれませんが、「アガリ確率」のチェック項目には最終形(好形か愚形か)も含まれると思います。基本めくりあいになるので99西西など他が埋まってもシャボかペンチャンにしかならない場合やチートイなどタンキにしかならない場合はアガリ確率は下がります。
7sチーの場面でおっしゃっている4100点差というのは聴牌料のことをおっしゃっていると思うのですが、仮に役なしの状態でも7sをチーしますか?
最初の親リーチにリャンシャンテンから突っ込む場面ですが、確かに真っ直ぐにいった方がトップ率は上がると思いますが、同時にラス率も上がる選択だと思います。個人的な感覚で恐縮ですが、トップ率が3%上がるけど、ラス率が2%上がるかなと思います。フリーや協会ルールのようにトップがえらいルールでは見合う選択だと思いますが、天鳳のラスのマイナスが大きいルールだと見合わないのでは?と思ってしまいます。トップ率の上昇がラス率の上昇の倍以上ないと見合わないと思うのです。木原さんの考えではこの場面で押す選択は、トップ率の上昇がラス率の上昇よりも大幅にあがるというお考えなのでしょうか?
やはり、全てがハイリスクハイリターン型の選択ですね!このような打ち方は分散が大きくなるので確変を引いたときの上ブレは凄くなりますが、地獄の時とか上手くないひとがやると下ブレも大きくなりますね 。嗅覚に優れた木原さんほどの鉄板強者ならいいんでしょうけど。。。
みなさまいつもありがとうございます
>土井垣雀吾さん 鳴ける牌姿かつ鳴ける牌の出現頻度によってアガリ確率が変動するという話でしたので、好形か愚形かの説明は省きました。シャンポンやペンチャン受けが残っても仕掛けられる可能性が高い場況であるならアガリ確率が高まるケースもあると思います。
>yanmingさん 一人テンパイで捲られない4100点差なら無難にオリるという話です。形式テンパイも辞さずの構えです。
>ルーさん 間違いなくラス率は上がりますね。失点が順位に影響しやすい南2局、南3局。順位を決定付けるオーラスは押さない方が有利かと思います。それに比べると東2局はまだ失点が順位に影響しにくく、押し引きの自由度も高い局面といえるでしょう。何でも真っ先にオリを考えてしまう人に向けての提案みたいなものです。
>ya27817さん アガれそうな手牌をオリてしまうリスクもあると思います。ローリスクノンリータンよりも、リスクに見合ったリターンがありそうな局面は素直に押すことも大事かと思います。
>木原さん
ご返信ありがとうございます。東2で押し引きの自由度が高いのはわかるのですが、鳳凰卓の9段のポイント配分では、見合わない押しに思えて仕方ないのです。ベタオリする麻雀ってやっていても、見ていてもつまらないものですが、押す麻雀って応援したくなるので、木原さんのそのスタイルで天鳳位になって、この打ち方でもなれるということを是非証明してほしいです。
天鳳位には「なる」ものではなく「来る」ものだと思っています。それが「来る」まで打ち続けるように頑張ります!