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11月1日より公開されるファンタジーアクション映画『リンカーン / 秘密の書』。以前、リンカーンセンターの所蔵物を見ることで「リンカーンはヴァンパイハンターだった!」説に信ぴょう性が増した(?)という記事を紹介しましたが、リンカーンにはまだまだ秘密が隠されているようです。 先日行なわれた「『リンカーン / 秘密の書』ムー読者試写会トークショー」にて、『リンカーン / 秘密の書』の原作『ヴァンパイアハンター・リンカーン』の解説を執筆した慶応大学文学部の教授であり、アメリカ都市伝説の権威としても知られる巽孝之氏(トップ画像右)と、日本からアメリカまで幅広い都市伝説を史実から裏付けして語る、『ムー』の常連ライターである宇佐和通氏(トップ画像左)が、リンカーンにまつわる驚きの都市伝説の数々を語りました。 「リンカーンはヴァンパイハンターだった!」に匹敵する、驚愕の説が次々と飛び出したトークショーのハイライトは以下より。
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■原作、原作者に関して 巽氏は、まず映画の原作である『ヴァンパイアハンター・リンカーン』に関して、「良く調べていて関心した」と賞賛。さらに、リンカーンが丸太小屋の育ちの斧の達人だったのは事実なので、今作はそれほどおかしい話ではない、と「ヴァンパイアハンター」説にもやや同意(?)していました。これについては宇佐氏も「木を切るのに6時間与えられれば、私は4時間を斧を研ぐのに費やす」というリンカーンの名言は吸血鬼狩りのため、と受け取れなくもないと加勢しています。 巽氏によると、今作に妙に納得させられてしまうのは、映画の脚本を担当したセス・グレアム=スミスが巧みだからとのこと。『ヴァンパイアハンター・リンカーン』の原作者でもあるセス・グレアム=スミスは映画産業に長く関わっているものの、まだ30代の若い作家で、『高慢と偏見とゾンビ』で世に出た作家なのだとか。『高慢と偏見とゾンビ』もジェーン・オースティン作の英文学の聖典をいじり倒した小説のようで、どうやら「そういう作風の人」だというのは間違いなさそうです。今後の作品にも期待してしまいますね。
■リンカーンの幽霊 巽氏によると、リンカーンが亡くなった際、リンカーンの遺体を乗せた霊柩列車はワシントンDCからあちこちを回って故郷のスプリングフィールドに向かい、各地でリンカーンの死を悼む人々が列をなしたとのこと。そして、それが霊柩列車自体の幽霊が出るという都市伝説につながっているそうです。特に、リンカーンの命日である4月14日には目撃者が多発し、その車内では服を着た骸骨の楽団がジャズを演奏しているのだとか...。
■リンカーン記念館 宇佐氏によると、リンカーン記念館前の階段は58段で、これはリンカーンが亡くなった時の年齢である56+大統領の任期2年(再選したものの、すぐに暗殺されている)を足した数だと言われているそうです。 そして、さまざまな都市伝説が語られているのが、記念館にあるリンカーン坐像。この坐像はティム・バートン版の『猿の惑星』にも登場しています。リンカーンは一部の人々から「エイブ」(エイブラハムの短縮)と呼ばれており(猿=エイプに響きが似ている)、『猿の惑星』がリンカーンで終わることを考えると、『リンカーン / 秘密の書』は続編なのかも...と巽氏は推測していました。 リンカーン坐像には人体模型にまつわる学校の怪談のような、「動き回る」噂が多いようなのですが、これは「スターシップ」というバンドの『シスコはロックシティ』のミュージックビデオが元ネタなのだとか(以下動画の1:29あたり参照)。これを見るとあまり怖くはないですね...。
■リンカーン暗殺 リンカーンといえば最も語られることが多いのが「暗殺」に関しての都市伝説。巽氏によると、暗殺されたアメリカ合衆国大統領は、1860のリンカーン、1880年のジェームズ・ガーフィールド、1900年のウィリアム・マッキンリー、1960年のジョン・F・ケネディと全員0のつく年に大統領に選ばれています。 さらに、1980年のロナルド・レーガンも命は助かったものの、暗殺未遂で負傷。ただし、2000年のジョージ・W・ブッシュは暗殺されそう...になったかどうかは定かではありません。プレッツェルは...違いますかね...? 暗殺された大統領の中でも共通点が不気味なほど多いのが、リンカーンとケネディ。まず上記の通り、彼らが大統領に選ばれた年はちょうど100年違い。宇佐氏によると、二人とも人種問題と戦い(リンカーンは南北戦争、ケネディはベトナム戦争)、衆人環境下で殺された大統領で、さらに彼らを暗殺した犯人は二人とも逮捕前に殺害されています。そして驚くべきことに、リンカーンの秘書の名前はケネディ、ケネディの秘書の名前はリンカーンと、偶然とは思えないような「つながり」が多いです。 少しリンカーンとは離れますが、巽氏、宇佐氏の両名によると、世界を揺るがした暗殺犯にはJ・D・サリンジャーのファンが多いとのこと。レーガンを撃ったジョン・ヒンクリー、ジョン・レノンを撃ったマーク・チャップマンがそうで、『ライ麦畑でつかまえて』には衝動的な行動を引き起こす特殊なコードが隠されているという都市伝説もあるそうです。ちなみに『ライ麦畑でつかまえて』はリチャード・ドナー監督、メル・ギブソン主演映画『陰謀のセオリー』でも、ある衝動を引き起こす用途に使われています。
いかがでしたか? 巽氏と宇佐氏が今回語ってくれたものだけでなく、エイブラハム・リンカーンには多種多様の都市伝説が存在します。インターネットの発展により、情報の広がりが爆発的になった現代では事実や誤った情報だけではなく、虚実が同時に存在する都市伝説も広がりやすい状況です。今後もさまざまなリンカーン伝説が増加するかもしれません。
[映画『リンカーン / 秘密の書』オフィシャルサイト]
[学研ムー] (スタナー松井)
RSSブログ情報:http://www.kotaku.jp/2012/10/lincoln_urban_legends.html