自殺を真剣に考えている人があなたに話しかけてきたとします。あなたなら、この人と会話することで自殺を止めることが出来るでしょうか? 会話選択式のゲーム『Inner Vision』は、まさにそういった状況を描いたゲームです。
このゲームには、3人のキャラクターがおり、それぞれに別々の問題を抱えています。自分の性と自分の周囲がそれを受け入れてくれないことへの葛藤を持つ者、自分をダメな人間だと思い詰めている者、そしてヘロイン中毒のキャラクター。
プレイヤーはそれぞれのキャラクターと話をし、会話を通じて自殺を食い止めます。しかし、間違った選択を2度行うとゲームオーバー。彼らは自殺の計画を実行に移してしまうのです。
きわどい話題を扱った、奇妙で居心地の悪さを感じさせるゲームだと思われるかもしれません。正しい選択を選べば彼らは助かり、間違った選択をすれば......。でもこのゲームでのプレイヤーの役回りは、現実世界でも経験する役回りかもしれないのです。時に人は誰か話す相手を求め、場合によっては会話の内容はとても深刻なものだったりします。
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米Kotakuパトリシア・ヘルナンデス記者はこのゲームをプレイした感想をこう語っています。
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プレイしていて、奇妙なゲームだと感じる箇所もありました。ゲームの中に4人目のキャラクターが登場して、ゲームの進行状況を教えてくれます。このキャラクターは皮肉なことに、プレイヤーの仕事は自殺を食い止めることで、自殺志願者たちを本当に心配する必要はない、なんて発言したりするんです。ある所では「楽しんでいるか?」なんて聞いてきます。
このゲームを「楽しい」ゲームだと形容しようとは思いませんが、興味深いゲームであることは確かです(時にちょっと単純化しすぎている面も見られますが)。
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このゲームの開発者、スニール・ラオさんは「これは自分のために作った作品で、これまでの数ヶ月間自分の持っていた、死に対する考えを表現したものなんだ」とブログで語っています。
この『Inner Vision』、人生に絶望している人の話し相手となり、相手の話を聞くことの大切さを説いた作品にも感じられます。同時に、自殺をを止めようとするプレイヤーに対して「死なせればいいのに」、「自殺を止めて何が楽しい」などとネガティブな言葉を吐く4人目のキャラクターも、自殺に関する無関心への風刺のようだったりと、深刻な話題をかなり単純化して扱ってはいるものの、なかなか考えさせられる作品となっています。
全編英語のゲームですが、短い文章で構成されている選択式のゲームなので、そこまで難しいことはありません。興味のある方は是非こちらのリンクからプレイしてみて下さい。
[via Kotaku]
(abcxyz)
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