ゾンビvsエイリアン、生き残るのはどっち?


2013年に発売された『エイリアン』と『ウォーキング・デッド』のゲーム。両方ともあんまり評判が良くないようですが、ガチンコバトルさせたら生き残るのはどっちだ!?

米Kotakuハミルトン記者に「今年遊んだゲームの中で最悪のもの」と言わせたアクションサバイバルゲーム『The Walking Dead: Survival Instinct』(ゾンビものテレビドラマ『ウォーキング・デッド』をベースにした作品)。そしてヘルナンデス記者に「遊ぶのに身体的苦痛」を与えたという『Aliens: Colonial Marines』(映画『エイリアン』をベースにエイリアンと海兵隊の戦いを描いたゲーム)。人気作品の看板と、ファンの期待を背負って登場した作品でしたがどちらも評判は最悪。その2作品を比較してどっちが生き残るかを見ようという、ゾンビとエイリアンの名誉をかけた(?)この戦い。審判を務めるのは米Kotakuのパトリシア・フェルナンデス記者です。
 


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試合開始前に、まずは両作品がどうしてダメゲーなのか、箇条書きで見てみましょう。

まずは『Aliens: Colonial Marines』の方から:

  • 張り詰めた緊張感と雰囲気を軽視していて「本当の」『エイリアン』ものとして失格。
  • 『エイリアン』映画シリーズのどの作品のテーマにも触れていない。
  • 女性。『エイリアン』映画シリーズでヒーローとなっているのは女性なのに、この作品ではほとんど出てきすらしない。
  • シューターゲームとしても出来がよくない。何も考えずに大量の馬鹿な敵を殺しまくらなければいけない状況に多く出くわす。
  • まるで「このキャラクターを入れて、あの印象的な武器や場所を入れれば『エイリアン』ファンが食いつくだろう」と考えられているかのような侮辱感。
  • すべての人に当てはまるわけではないが、数時間プレイしていたら、銃のサウンドエフェクトが耳に響いて頭痛が...

そして今度は『The Walking Dead: Survival Instinct』:

  • Xbox 360のローンチタイトルかと思わせるような醜いゲーム。
  • ゾンビをパンチしたり、ゾンビにグループハグされたりする悲惨な戦闘。
  • このゲームをしてるとプレイヤーキャラクターが汗かいてきて気持ち悪い。
  • レベルデザインのせいで、袋小路に追い詰められて死ぬことが多く、達成すべき目標も変な場所に設定されていることが多い。

まだまだ駄目な点はありますが、それはこのフェルナンデス記者の審判による対決記事でご紹介しましょう。

私が『Aliens: Colonial Marines』に手を出した時には、このゲームにある程度期待していたということは記しておくべきことでしょう。でも『The Walking Dead: Survival Instinct』の方はハミルトン記者が彼の記事でこき下ろしていたことから、期待はそもそもしておらず、不快なゲームであろうと思っていました。


というのも、最初に作品に抱いていた期待が、ゲームから実際に感じる印象に影響を与えるんじゃないかと考えてしまうからです。ただ、間違ってほしくないのは、『The Walking Dead: Survival Instinct』は他のゲームと争えるほどのゲームではなく、バグだらけで醜く、遊ぶべきではない作品だということです。とはいっても、この作品も時には「うんざりする」と「最悪すぎてなんか面白いかも」の間を行ったり来たりします。

『The Walking Dead: Survival Instinct』では、まずゾンビに最終的に殺されてしまうチュートリアルからゲームが始まります。馬鹿げているようにも思えますが、ゾンビに対する恐怖を植え付けるためのものです。私の場合は銃を使ったため、その音を聞きつけたゾンビたちに群がられてしまいました。自分を守る最強の武器が、自分にとって一番危険な武器となるのです。そのおかげで、この作品をプレイしていてか弱く感じる事がありました。これは、「射撃」ボタンから指を離さずバンバン撃ちまくれるゲームとも、一切「射撃」することのないゲームと比較しても(ちなみにどちらも『Aliens: Colonial Marines』のことです!)面白い点です。

でもそう感じるのは本当に時々。それ以外の時は、特にゾンビと一対一で戦っているときはこんなかんじでした:


ゾンビvsエイリアン、生き残るのはどっち?2


「もうやめてくれー」

最初は、これが恐怖するべき敵を倒す方法だとは信じたくありませんでした。ゾンビたちは文明を滅ぼすほどの力を持っているにも関わらずこれですよ。でも最終的にはこうやってゾンビを殺していくのが笑えてくるようになりました。これがゾンビと戦う方法?信じられない!ハンマーやナイフを手にしたプレイキャラクターの手が、まるで巨大な魚を握ってゾンビがいなくなるまでペチペチ叩いているかのように見えてきたのです。もうちょっとでドタバタ喜劇になりそうな感じです。

一方の『Aliens: Colonial Marines』の方では、序盤こそエイリアンに恐怖したものの、結局は頭を使わないシューターでした。『The Walking Dead: Survival Instinct』には、バカで脅威にすらならない敵が、重要な目標を達成した途端大量に現れて脅威となるという、なんだか変な緊張感が漂っていました。時にはグループハグしてくるゾンビの大群と出くわし、ひとりづつ辛抱強く自分の頭を叩かれる順番を待っているゾンビをやっつけていくという、とてもいいデザインとは言いがたいものでしたが。

おかしく聞こえるかもしれませんが、私は『The Walking Dead: Survival Instinct』での戦闘より、脳みそのスイッチをオフにしてエイリアンの大群の中に突っ込んでいく『Aliens: Colonial Marines』の方が好きでした。馬鹿なゾンビに遭遇するか、緊張感に襲われるかのどちらかだったのです(というのも『The Walking Dead: Survival Instinct』はバランス調整がされていないよう)。飽きるよりはマシというわけです。でもどちらにしたって「良いゲーム」にはあるべきでない形なんですが。



私は残念ながらこの動画のような、スタックして目に見えないピアノを弾いているかのようなエイリアンにはあまり遭遇することがありませんでした。きっとこんなエイリアンに遭遇すれば私の『Aliens: Colonial Marines』体験はより良いものになったでしょうけど。このゲームがある意味でより出来が悪くて、おマヌケな敵が居たほうがもっとよかった、なんて言うのは奇妙なことでしょうか?このふたつのゲームを比較するという行為は、「あまりにも酷い出来」はアートにも通ずるということを思い起こさせてくれます、カルトクラシックとなった映画『The Room』みたいに。

それ以上に、『The Walking Dead: Survival Instinct』は興味深いゲームでした。ある場所から別の場所まで旅をし、時々物資の調達をしたり、ゾンビに見つからないようやり過ごしたり。

選ぶルートによっては、乗り物によりたくさん燃料が必要だったり(でもその分安全)、車が壊れる可能性があったりします。それぞれに特徴をもった他の生存者たちもおり、彼らを連れて行くこともできます。

このマネージ系の要素も肉付けされていないし、上手く機能しているわけではありません。それでもこの要素のおかげで『The Walking Dead: Survival Instinct』の方が『Aliens: Colonial Marines』と比べてよりも(微々たるものながら)興味深い体験を与える結果となっています。『Aliens: Colonial Marines』のゲームデザイン面で面白いポイントとは言えば、その場所を守れと指令が下った時にタレットを配置することぐらいです。モーショントラッカーは素晴らしい機能なのに、もっと使わせてくれたらよかったのにと残念に思います。

モーショントラッカーが一番役に立つのはゲーム序盤、自分の船のどの部位で異変が起きているのか調べるところです。プレイヤーとして、きっとあの影に隠れているのはエイリアンに違いないなんて思いながら調べていくけれどもそこにはいない。でもだんだんとエイリアンに近づいているこの緊張感は「デリシャス」でした。でもそれ以降そんなシーンは一切ありませんでした。

それがきっと、このエイリアンのゲームがゾンビゲームよりも良い作品に感じられない理由なんだと思います。ゲーム発売前に『The Walking Dead: Survival Instinct』のゲームプレイ動画を見た人は多かったはずですが、その動画だって期待感を煽れるようなものではありませんでした。それに引き換え、『Aliens: Colonial Marines』の方の動画は目を見張る素晴らしいものであると同時にミスリーディングなものだったのです。加えて『ウォーキング・デッド』のゲームではすでにTelltale制作の素晴らしい『The Walking Dead』が存在する中、それ以上のものに期待するなんてハナから難しいことです。

両方共にすでにある映像作品を元にしたゲームではありますが、『Aliens: Colonial Marines』の方は制作元GearboxのCEOであるランディー・ピッチフォードさんが原作に忠実なオマージュを捧げると私達に約束していた一方で、製作期間が短い『The Walking Dead: Survival Instinct』はどう見てもちゃちゃっと作らせて金儲けしようという意図があっての作品だろうということは前々から明らかでした。このふたつの作品への期待は全く違っていたわけですが、両作品共に蓋を開けてみればひどい作品でした。

私はみなさんが『The Walking Dead: Survival Instinct』をプレイするべきだと言っているわけではありませんし、このゲームが良い作品だとほのめかしているつもりもありません。エイリアンのゲームもゾンビのゲームもそれぞれ違う理由で酷い作品で、一方の駄作はもう一方の駄作よりも多少面白い形をしている、というだけです。また、『Aliens: Colonial Marines』への失望感の方が、『The Walking Dead: Survival Instinct』へ私が抱いていた期待感よりも大きいものだったとも感じていますし、それも私の良作の比較の大きな判断材料となっています。

あ、あとゾンビゲームの方にはこんな奇怪な生き物も出て来ました:


ゾンビvsエイリアン、生き残るのはどっち?3


鳥?蜂?ゾンビ虫?それは誰にもわかりません。でも『The Walking Dead: Survival Instinct』はバカバカしくて愉快でもありました。時に車の下敷きになって、ゾンビが車に挟まれたままこっちに寄ってきて殺されたりもしましたが、なんだかそれが可笑しくて楽しめたのです。まったく期待していなかったのが良かったのかもしれませんし、酷いゲームで時間を無駄にしていると思いたくないというフラストレーションから自分で自分を無理やり楽しませていたのかもしれません。もしかしたらゾンビゲームの方では頭を貫く頭痛に悩まされなかったからマシに感じたのかもしれません。

でもそれがなんであったのであれ、私がどうしても『The Walking Dead: Survival Instinct』と『Aliens: Colonial Marines』の2作品からどちらかを選ばねばならないとしたら、私は ―こちらのほうが間違いなくゲームとして駄目な作品ではあるものの― 『The Walking Dead: Survival Instinct』を選びます。

ということでヘルナンデス記者によれば、最悪ゲームはエイリアンゲームの『Aliens: Colonial Marines』、ゾンビゲームの『The Walking Dead: Survival Instinct』の方がマシという事でした。両作をプレイしてヘルナンデス審判の下した結論に意義がある方は是非コメント欄やツイッターで教えて下さい!


[via Kotaku]

(abcxyz)

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RSS情報:http://www.kotaku.jp/2013/04/zombie_vs_alien.html