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シュワルツェネッガーの声といえばこの人! 玄田哲章さんにインタビュー
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シュワルツェネッガーの声といえばこの人! 玄田哲章さんにインタビュー

2013-04-25 21:05
    玄田哲章


    いよいよ公開の迫る「筋肉の大統領アーノルド・シュワルツェネッガー主演最新作『ラストスタンド』。今回は、そのシュワルツェネッガーの声を長年務め、『ラストスタンド』のソフト版でも吹き替えを担当する玄田哲章さんにインタビューをして参りました!

    それでは早速ご覧ください。
     


    【大きな画像や動画はこちら】

     

    ――まず、今回『ラストスタンド』の吹き替えに参加された感想を聞かせてください。

    玄田哲章(以下、玄田):政治の世界に行っちゃったから、こういった形で帰ってくるとはなかなか考えられなくて、今作の吹き替えは身の引き締まる思いでした。『こういう映画を作ったのか......じゃあもう一度戦いましょう』という気持ちでやりましたよ。

    ――『エクスペンダブルズ2』のパンフレットの中で、「シュワルツェネッガーはまだ完全復活じゃない」とコメントされていましたが、今作では完全復活していると思いますか?

    玄田:彼流の意味では、完全復活と言っていいでしょう。僕としては彼はやっぱり主役じゃないと、納得出来ないんですよね。観客も彼の主演作が見たいっていう気持ちは強いと思うんです。それだけ期待が大きいってことなんですけど、この復帰第一作は完全復活したなと味わえる作品だと思います。


    確かに『エクスペンダブルズ』もよかったけれど、やっぱり今作『ラストスタンド』がシュワの本当の完全復活でしょう! 続けてこんな質問をしてみました。

    ――長年演じきた玄田さんから見て、今作のシュワルツェネッガーは昔のシュワルツェネッガーとは違うと感じられましたか?

    玄田:デビュー当時は主役でも台詞が少なかったけど、段々台詞やシーンが増えて『コマンドー』あたりから普通にやるようになってきて、コメディでも台詞が多くなっていって、こう言うとなんだけど、作品毎に成長していると思いますね。


    シュワも初期作から比べるとだいぶ成長していますよね。そして『コマンドー』という言葉を聞いた私は、『ラストスタンド』のインタビューであるにもかかわらず、脊髄反射でこんなことを聞いてしましました。

    ――『コマンドー』の話が出てきたので、ぜひ聞いておきたいのですが、実は『コマンドー』の日本語吹き替えがネット上で大変人気がありまして......

    玄田:そうなんですか! へええ。

    ――特に台詞が名言として取り上げられることが多いのですが、演じた側として『コマンドー』の中で一番印象に残っている台詞をぜひ教えてください。

    玄田:コマンドーの欠落部分(『日本語吹き替え完全版』に収録)を録るために最近改めて見たんですけど、コマンドーでも「I'll be back」って言ってるんだよね。あれはちょっと笑いましたね。


    数ある台詞の中、これを選ぶとはちょっと意外。でも、シュワ作品にたくさん登場する台詞だけに、印象深いのかもしれませんね。もっと『コマンドー』の話も聞きたかったのですが、とりあえず軌道修正をして、次の質問をしました。

    ――『ラストスタンド』の中で一番印象に残っているシーン、もしくは台詞があれば、ぜひ教えてください。

    玄田:爆破シーンとかいつもどおりハチャメチャやってるなぁって感じなんだけど、今回はラストの格闘シーンが、あの年なのに「結構やるじゃん!」って思いました。「えっ、プロレス技やるの?」みたいな。予想外のことをやってたんで、そこが印象に残ったかな。

    ――おお! 実は以前シュワルツェネッガーにインタビューした際にも、そのシーンが自分の中で一番印象に残っているシーンだと言っていたんですよ。

    玄田:ああ、そうなの(笑)。あのラストシーン、彼は立ってるだけで絵になるんだよね。立ってるだけで何かを感じさせるってのは、やっぱり凄いなぁと思った。


    シュワと玄田さんの奇跡のシンクロ。玄田さんのおっしゃるとおり、ラストで繰り広げられる格闘シーンは本当に素晴らしい出来でした。近年のシュワ作品ではベストなシーンかも。続けて、こんな質問もしてみました。

    ――『エクスペンダブルズ2』の時は「筋肉美を披露していないから完全復活ではない」ともおっしゃっていましたが、シュワルツェネッガー作品の中で、筋肉美的な意味でお気に入りの作品を教えて下さい。

    玄田:『トータル・リコール』かなぁ。あの映画ではそれを出している感じがしましたね。

    ――確かに。でも、正直『コナン』や『コマンドー』、『プレデター』のような、もっと筋肉祭り的な作品を挙げられるかと思っていました。

    玄田:それはなんか、当たり前すぎちゃって。『プレデター』は続編も作られたけど、シュワルツェネッガーが出てるのが面白いんだよねぇ。何をやってるってわけじゃないんだけど(笑)

    ――シリーズが続いたのもシュワルツェネッガーが凄い強いはずのエイリアンに勝っちゃうっていう展開が、インパクトを与えたからかもしれませんね。

    玄田:インパクトあったよねぇ。プレデターで一番苦労したのは森の中で雄叫びを上げるシーンで、あれ測ってみると10秒くらいあるんだよ。だけどずっと吐き出すから、9秒くらいで息が切れちゃう。スタッフから「玄ちゃん、あと1秒頑張って」って言われて、何回もやったんだよね、あれ(笑)。


    プレデター』のあの名シーンにこんな苦労が隠されていたとは...! 続けて、演技に関しての質問をぶつけてみました。

    ――シュワルツェネッガー作品以外にも多くの作品でアクションヒーローを演じていらっしゃいますが、どのように役を作っていくのですか?

    玄田:僕らの世代で言うと、ヒーローといえば『月光仮面』とか『七色仮面』とか白黒時代のものなんだけど、やっぱりかっこいいんですよね。かっこいいし、憧れられるのがヒーローじゃないですか。根底としては、そういうものを裏切らないように役を作っていきますね。

    あと格闘技を見に行くと、テレビと観るのでは、肌と肌とのぶつかり合う時の音が違うんだよね。リングの中では逃げられない。勝つか負けるか。自分もそういうところを想像して、マイクの前でスクリーンに向かって戦いを挑むような気持ちでやってきましたね。

    ――格闘技はどのようなものを見られるのですか?

    玄田:僕はプロレス......全日本プロレスから入ってますね。馬場さんの最後の試合の勇姿も見てます。三沢の葬式にも行ったし。やっぱり面白いですよね。最近は若い女性ファンも増えて、凄い雄叫びを上げてたりするんだよね。

    ――そういったものが演技に生かされているんですか?

    玄田:ああいう臨場感をいつも持っていないとね。急に本番に入るんじゃなく、日頃から試合だという気構えを持って仕事場に入るようにしてる


    プロレスを参考に、臨戦態勢で作品に挑む玄田さん。マッチョを演じるために心をマッチョに。シュワなどのマッチョなアクションヒーローの声は、こうして生み出されていたのですね! 今度はマッチョ路線から離れてこんなことを聞いてみました。

    ――最近少し話題になったことなのですが、声優では無い方が映画の吹き替え版を担当することに関して、どうお考えですか?

    玄田:人が演じたものに当てていくというのは、もちろん技術もあるんですが、筋の良い、上手な人もいる。例えば、歌手の人の中にも上手い人がいます。恐らく、それは彼らが日頃3分くらいの「曲」というドラマの中にすっと入り込んでいるからなんだよね。もちろん全員が上手いというわけじゃないんだけど。

    良い悪いとか、効果があるかどうかとかは別にして、宣伝戦略として知名度のある人物を起用して売っていこう、というのも選択肢としてはあると思う。僕らの立場としても作品を成功させたいと思っていて、その選択でこういった現状もある。その中で、なるべく上手い人が当たるといいなぁとは思います。認めないってわけじゃないんだけど、中にはミスキャストはいるかもしれないね(笑)。


    観客としても宣伝戦略の選択肢としては理解出来ますが、吹き替えはやっぱり上手い人にやっていただきたいと思いますね。

    ――それでは最後に改めてシュワルツェネッガーの話を。『ラストスタンド』以降、彼は『ターミネーター』や『コナン』の続編に出演予定なのですが......

    玄田:本当に? 筋肉はどうするんだろうね。

    ――『コナン』は歳をとった晩年の「コナン」を描く作品になるみたいです。

    玄田:なるほど。

    ――まだこうやって活躍し続けていくシュワルツェネッガーに、今後どのような役や演技をしてほしいと玄田さんは思いますか?

    玄田:彼はクリント・イーストウッドじゃないから、(筋肉)見せてなんぼ......。内面的なものがジワッ~っと出てくるのではなくって、スカッとさせるタイプだから、さっきの新しい『コナン』のような路線の「あの続編作るの?」ってなる作品を見つけていくといいと思うね。

    彼はやっぱり演技派じゃダメだと思うんだ。でも、今までの筋肉マンだけじゃない、プラス要素がある『ラストスタンド』のような作品をどんどん撮っていってほしいですね。

    ――本日はお忙しい中、まことにありがとうございました。

    玄田:ありがとうございました。


    これからの作品も、シュワの吹き替えはずっと玄田さんにやっていただきたい! そういった意味でも、『ザ・ レジェンド・オブ・コナン(原題)』など、今後のシュワ作品が非常に楽しみです。

    シュワのインタビューに続き、玄田哲章さんというシュワとともに私にアクション映画を教えてくれた方にお話を聞けるというのは、一生の思い出となる本当に素晴らしい時間でした。玄田さん、改めてありがとうございました! そして、やっぱりこのインタビューも成層圏あたりから見守ってくれたに違いない神(チャック・ノリス)にも感謝!

    映画『ラストスタンド』は2013年4月27日公開。玄田哲章さんがシュワの声を担当した日本語吹き替え版は、残念ながら劇場では公開予定がないとのことですが、今後発売される予定のソフト版に収録予定。劇場は字幕版で見て、ソフト版で吹き替え版で観るという楽しみ方がベストかな? とにかくソフト版の発売、今から待ち遠しいです!


    『ラストスタンド』公式サイト

    (傭兵ペンギン)

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    RSSブログ情報:http://www.kotaku.jp/2013/04/last_stand_tessho_genda_interview.html
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