2007年の『ベオウルフ/呪われし勇者』から2009年の『アバター』まで、モーションキャプチャーは昨今の映画界には欠かすことの出来ない技術となりました。そんなモーションキャプチャーの世界の革命を祝して、有名な映画の舞台裏と完成の画を並べてみました。
では、以下よりギャラリーをお楽しみ下さい。
近日公開の『ホビット』は『ロード・オブ・ザ・リング』の時と撮影のワークフローが異なるようです。その鍵を握っているのは、指輪に異常なまでの執着を見せるあのキャラクターを演じた俳優だったみたい。興味深い内容なので、プレスカンファレンスでのコメントを以下に紹介したいと思います。
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『ホビット』(2012年製作)
ジョー・レッテリ(VFXスーパーバイザー):初めて作った時、私たちはモーションキャプチャーを使うなんて微塵も考えていませんでした。ゴラム役のアンディ・サーキスには声を担当してもらう予定で、当初は音声を録音してからキーフレームのアニメ付けをするカートゥーンアニメーションのようになるはずだったのです。
しかし、アンディの演技を見てから「このエネルギーをスクリーンに反影させるにはどうしたら良いんだろう?」と考えるようになり、モーションキャプチャーに挑戦してみようという話になりました。当時ではまだ科学実験という感じでしたね。あれから何年も経った今、モーキャプは実験ではなく、プロセスの一部になりました。
ピーター・ジャクソン(監督):『ロード・オブ・ザ・リング』で、アンディはイライジャとショーンの演技の為に、いつでも撮影現場にいなくてはならなかったにも関わらず、その演技はおさめられることはありませんでした。実写シーンを撮影した半年後、または1年後に、その時演じたゴラムの動きをモーキャプステージで再現しなくてはならなかったのです。その時、イライジャとショーンは現場にはいません。というのも、あの時モーキャプが撮られたのはポストプロダクションでのことだったからです。
しかし、『ホビット』では、モーションキャプチャーをプロダクションの間に撮るようにしました。マーティンはカメラで収録され、アンディはモーキャプ用カメラで収められました。後付けではなく、その日の全パフォーマンスが撮影されたのです。その方がずっと自然な流れでした。今回の方が、ゴラムの顔の筋肉もより正確で詳細になっていますしね。今も昔もモーキャプと一言で表現してしまえば、同じようなことをしているように見えるのですが、技術は大きく進歩しているのです。
『ホビット』のプレスカンファレンスより一部抜粋
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次に、モーキャプと実写を同時に撮影した時の面白いエピソードをどうぞ。
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『アベンジャーズ』(2012年製作)
『アベンジャーズ』のセットに来た日のことです。それはそれは素晴らしかったですね、オタクの血が騒ぎましたよ。ヘムズワースはケープを身に纏ってハンマーを持っていました。ロバートはスーツを来ていて、ジェレミーは矢を、そしてスカーレットはあのピタッとしたスーツを来ていました。一方で、ハルク役のマークは、スタイリッシュな格好をした皆の後ろで、点々の付いた灰色のパジャマみたいなのを着てたんです。でも、それがマークの役でしたからね。
ニューヨークコミコンで行われたロキ役のトム・ヒドルストンのコメントより
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確かに、あの衣装の中でひとりだけマーカーだらけだったら滑稽に見えるかもしれませんね。ファイナルの絵は格好良いんですけど。
なお、『ランゴ』(2011年製作)はモーションキャプチャーではありませんが、素晴らしい「エモーションキャプチャー」のイメージ画像として掲載しました。
[via io9]
(中川真知子)
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