『エリン・ブロコビッチ』や『オーシャンズ11』等の作品で知られるスティーブン・ソダーバーグ監督が、第56回San Francisco International Film Festivalにて、映画スタジオのシステムと「映画」という考え方、そしてインディーズ映画の役割等についてレクチャーし、その内容がDeadline.comに掲載されました。その話の中に、ゲーム業界と共通する興味深い点があったので、抜粋して紹介します。
では、詳細は以下からどうぞ。
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映画業界の会議は、皆さんが想像している会議とは少し異なるでしょう。ビジネスを念頭に話す幹部や重役というのは稀です。なぜなら、彼らは映画を愛しているから。そして、映画が何なのかをを知っている幹部や重役も稀です。そのため、会議はとても変な方向へ向かいます。
わかりやすく言えば、私は車の運転の仕方を知っていますが、車を作るエンジニアの横に座って、どうやって車を作れば良い等と発言することはありません。こんな不可思議なことが、映画業界のミーティングでは行われていて、何とも言えない気持ちになるのです。
そこに出席している人達は映画作りを知らず、純粋に娯楽として映画を見るわけではないのに、どんな映画を作るべきかの決定権を持っているのです。これが、映画が低迷する理由のひとつだと言えるでしょう。
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これは大手ゲーム会社にも言えることなのではないでしょうか? さらにソダーバーグ氏は「映画業界の人達はどんな映画がヒットし、失敗するのか」を理解していないと言います。
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また、映画を公開する上で発生する予算を削減する方法を理解している人がいないのです。その解析は何度か試されましたが、不思議なことに、何をすれば人々が映画を観に行こう、もしくは行かないでおこうと決定づけるのかの直接的な行動の予測は、全くと言って良いほど出来ませんでした。
例えば、『マジック・マイク』(2012年のソダーバーグ監督作品)なんかは、週末興行収入が3800万ドル(約37億円)でしたが、期待値では1900万ドル(約18億円)だろうと予測されていました。これは100パーセント外れたわけです。このようなサプライズだったら良いのですが、期待値を高くしてしまい、悲惨な結果に終わることもあるわけです。
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これは、スクエア・エニックスが『Tomb Raider』の初週販売枚数の期待値を500~600万本とし、実際には340万本だったということに似ていると言えます。
ソダーバーグ監督のレクチャーは、Deadline.comで全文を読むことが出来ます。興味のある方は、是非どうぞ。
[via Kotaku]
(中川真知子)
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