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実現しなかった『Xbox One』珍デザインの開発秘話
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実現しなかった『Xbox One』珍デザインの開発秘話

2014-05-24 13:00
    黒い箱の裏には、理想と現実の狭間で苦悶する工業デザイナーさんたちの姿が!! 

    マイクロソフト社が手掛けるプロダクト・デザインは、完成するまでに途方も無い時間と労力が費やされますし、造られるプロトタイプもまた、信じられないくらい沢山生まれるのだそうです。


    【大きな画像や動画はこちら】

    それは『Xbox One』に至っても同じ。社内には大きなユーザー・リサーチ部屋が設けられ、多くの人々によって試作品がプレイされるのをつぶさに観察し、膨大なデータを貯めていくのです。

    コントローラーですら、完成するまでに1000人が試したというから、その飽くなき完成品を求める姿に感心せずにはいられません。

    同様に、本体も現在のデザインが出来上がるまで、本当に様々なデザインがされたそうです。今回は、デザイン部門の偉い人から開発の裏話を伺ってみましょう。

    家庭用ゲーム機のデザイン・チームを率いる、カール・レッドベターさん。最近彼は、これまでにボツになったデザイン情報をいろいろと公開してくださいました。

    『Xbox One』は、家庭用エンターテイメントの象徴とも言えるHDテレビをベースのデザインとして、外身は四角いボックス型で中身のユーザー・インターフェイスもまた、HDテレビに準じたものを作っていたのだそうです。


    Xbox One ホットロッド!

    『キネクト』型やホットロッド風エンジン型まで!?


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    これらは、どういう形状にするのかと、チームが描いたオリジナルのスケッチの一部です。排熱をどのように行うかというパターンが、いくつも在るのが見えるかと思います。そして、16:9の比率で造られるかもしれないっていうのもね。


    コンソールが熱くならないよう、そしてとても静かに動くよう、私たちは排熱のパターンを75種類も造ったんですよ。通気口はそこに組み込まれていないといけませんし、通気口がゲーム機の個性にもなるので。


    なので私たちは、とても沢山の、見た目も良くて機能的でもある通気口パターンを造るのに、かなりの時間を費やしたんですよ。


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    ...とレッドベターさん。確かに必ず存在しないといけないパーツですが、まさかそんなにこだわりがあったとは!?

    いろんなXbox Oneデザイン

    穴の数や大きさ、形状も違えば金網のようなデザインまで様々


    本体のデザインそのものに関しては、常に黒くて四角かったわけでもないんですって。初期の段階では、チームは未来的であったり球体であったり、キテレツなであったり、シドニーのオペラ・ハウスみたいな曲線を伴ったものまで、色んなデザインを試してみたのだそうです。

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    私たちは最初に、ブッ飛んだアイディアから造り始めたんですよ。中には航空母艦に似たデザインのものもありました。


    コンセプチュアル・アーティストを招き入れて、あたかもマーヴル・コミックスの宇宙空間にでも出てきそうなイカれた造形を創れるような刺激を貰ったことなんかもあったくらいなんですよ。もしもゲームや、それらの内容を完全に違ったアプローチから表現できたら、どういうモノが出来るのだろうか? ってね。


    うちのスタジオは、シアトル郊外のレドモントに在るのですが、道を挟んだ向かいには、ちょうど模型屋さんが店を構えていまして...! たぶん私たちは、機械による削り出しから3Dプリンターに至るまで、そこからモデルを100個以上組み立ててたもんで、店員さんたちは徹夜で造り方をどうにか見つけようとしていたんですよ。


    毎朝彼らが大量のパーツを届けてくれるもんで、それらを並べて、皆で輪になって評価を始めるんです。

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    ...なんと言いますか、大変だったのは模型屋のお兄ちゃんたちだったんですね。

    そんなこんなのクレイジーなデザインをアレコレ造っておきながらも、結局『Xbox One』は黒くて四角い箱になってしまったのですが。やはりそれには理由が有るんですよね。

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    まぁイカれたデザインはそういうのがありましたが、現実問題として、サーキットボードや各種チップ、ファンなどを組み込まなきゃいけないんですよ。本体は丸みを帯びるに従って、どんどんそれが出来なくなってしまうんです。それだけ空気を詰め込むことになるんですよ(つまり無駄な空間ばかりになる)。


    どうしても効率の問題が伴ってしまうんですよね。デザイン性の高い形状と、最も効率性の高い形状というのは、どうやったら生み出せるのでしょうかねぇ?


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    と、レッドベターさんはインタビューの最後に悩み始めてしまいました。そして、もしまた次世代のコンソール機をデザインする時が来たら? という質問に対しては...

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    おそらく私たちは、全部のパーツを極小のスペースに収めるようにデザインするかもしれませんね。そうしたら形状の上限なんてもう考える必要がなくなるかもしれません。


    そうしたら、もしかするとこんなデザインが実現するかもしれません。それが可能になるのは、未来のお話になるでしょうけどネ。


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    人の字型デザイン

    それが「人」の字型のこれだそうです


    ということで、英Kotakuで掲載されていたこのインタビュー。『Xbox』ユーザーの皆さんも、そうでない方々も、一流企業での工業デザインがもたらす苦労と面白さの両面が垣間見えたのではないでしょうか? 

    ゲーマーの皆さんなら、どんなデザインのコンソールが理想でしょうか? 任天堂の『赤い眼鏡』みたいなの? それとも『ドリームキャスト』内蔵テレビ『CX-1』みたいなのとか!? 


    The Xbox Ones That Never Were[Kotaku UK]

    岡本玄介

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    RSSブログ情報:http://www.kotaku.jp/2014/05/xbox-one-design.html
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