男の子に見せたいディズニー映画と言えばコレ、『ライオン・キング』。ミュージカルも超〜ロングランしている大人気作品ですが、皆さんは『ライオン・キング』のことをどれくらい詳しく知っているでしょうか?
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既にお馴染みとなったCinefixが「『ライオン・キング』の豆知識9選」という動画をアップロードしましたよ。
知らなくてもハクナ・マタタ。でも知ってたら、きっともっと楽しめるようになるかもしれません。
■『ライオン・キング』は2Dアニメーション映画の中で最も興行成績が良いというのは有名な話。
しかし、この最高興行成績アニメが、バラバラの地域に住んでいる人たちによってひとつのシーンが作られているということはどれくらいの人が知っているのでしょうか?
別々で制作されました。
例えば、シンバとスカーのシーンは、スカーのアニメーターがロスアンゼルス在住で、シンバのアニメーターはフロリダ在住。加え、スカーの声を担当したジェレミー・アイアンズはロンドンで収録していたのです。
また、フィルムが完成する一週間前に1994年のノースリッジ地震が起こり、スタジオが被害にあってしまったのです。そこで、アニメーターは全員在宅で仕上げなくてはいけませんでした。こんなゴタゴタがあったにも関わらず、作品には大きな穴が見当たりません。
ちなみに『ポカホンタス』の方がヒットするだろうと予想していたディズニーは、『ライオン・キング』制作部隊のことをBチームと呼んでいたのだとか。しかし結果は...、みなさんもご存知の通りです。
■完璧にほど近い素晴らしい作品ですが、塗りに間違いがあるのです。
非常に細かい部分ですが
まずは、呪術師のラフィキのボールに入っている塗料の色がダークピンクにも関わらず、木に描かれたシンバの頭部に塗った時には蛍光ピンクになっているというもの。これは後にクリエーターが間違いだったと認めています。
次に、ゾウの墓場でシンバとナラが骨の上に上った時に見える死んだゾウの乾いた皮の色が一瞬だけ変化しているというもの。これはアニメーターの修正が締め切りに間に合わなかったからなんだとか。
ちなみに、ラフィキのアニメーターのジェームズ・バクスターは『美女と野獣』の美女と野獣、『ロジャーラビット』のロジャーラビットのアニメーションも担当しています。
■ムファサがシンバとナラをハイエナトリオから救った時の雄々しい咆哮は、本物のライオンの声ではなくグリズリーベアとトラ、そしてF16低空飛行機の音を合わせて作っています。
■シンバの両親(ムファサとサラビ)は『星の王子 ニューヨークへ行く』でエディ・マーフィの両親を演じたジェームズ・アール・ジョーンズとマッジ・シンクレアが担当。80年代、90年代で高貴な声と言えばこのふたりだったのでしょう。
■ファミリー向け映画の中で注意しなくてはいけないのが、グロ描写。あまり生々しく無いようにということで、スカーがハイエナに与えたシマウマの足でさえ論争の的となったのでした。アニメーターは本物の肉に見えないように、実際よりも色をトーンダウンし灰色っぽいピンクにしたのです。
■ヌーの大暴走はとても盛り上がる重要なシーンですが、これはアニメーションプロダクションの歴史の上でも重要なシーンだったのです。
歴史的瞬間
このヌーが我を忘れてシンバに向かって大移動するシーンは、遠景のヌーを3Dコンピュータープログラムで作成し、複数のモデルを数百に複製、そしてセルシェーディングで手書きアニメっぽく見せてからランダムに傾斜を下るパスを当て込み、実際の群衆の予期せぬ動きをするかどうかシミュレーションしました。(Master's Thesis Animal Stampede Simulationより参照)
ヌーがぶつかるのを回避するようなシミュレーションになっているので、幽霊のようにすり抜けることはありません。そして、これらのヌーにアニメーターが所々ジャンプ等の動きを付けてより自然に見えるようにしたのです。
ちなみに、この2.5分の大暴走シーンは、特別に訓練された5人のアニメーターとテクニシャンが2年以上の月日を費やして作ったのです。シーケンス単位で見ると、完成させるのに3年。1シーケンスが3年なんて...。現場の士気が下がりそうなくらい途方も無い月日に感じます。
■シンバのヒゲは1本ずつ別の紙に描かれていたそうです。悪夢のような作業量だったのでは...。だから、ナラにはヒゲが無いのでしょう。
■シンバが歩きながら成長するシーンは、元々キャラクターの成長と背景の変化が同時に行われる予定だったのだそうです。しかし、同時に変わって行くと成長の変化が分かり難い上に月日が経過した様子も伝わり難いということから、成長と背景がズレて見えるようになったのです。
■心にすんなりと入って来るロマンチックな挿入歌「Can You Feel the Love Tonight?(愛を感じて)」はエルトン・ジョンが歌と作曲を、ティム・ライスが作詞を担当しています。最終的に1994年度アカデミー賞を授賞した本歌は、ディズニー上層部の指示により歌詞が18回も書き直しされたのだそうです。
エルトン・ジョンは、本歌が昔ながらのディズニー映画のラブソングになるだろうと考えていたようですが、制作が進むにつれ、ティモンとプンバが歌うヘンテコなジョークっぽい曲になっていってしまったのです。
幸い、フィルムメーカーが自分たちの犯そうとしている間違いに気付き、最終的にティモンとプンバが歌い出し、それをシンバとナラが引き継ぎ、最後にティモンとプンバが回収するというアイディアに落ち着いたのです。
そして、18回も書き直しをさせられたティム・ライスですが、最終的に採用されたのは1番最初に書き下ろした歌詞でした。
『ライオン・キング』トリビア9選はお楽しみいただけたでしょうか? 「『ライオン・キング』なんて『ジャングル大帝レオ』のパクリじゃん」なんて野暮なことは言わずに、公開20年目の本作を楽しみましょう。
9 Things You (Probably) Didn't Know About The Lion King [CineFix, YouTube via Kotaku]
(中川真知子)
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