SF世界の未来では、公衆電話やファックスがまだまだ通信の要なのです。
映画が作られた当時は、近/遠未来の世界の人類はこんなテクノロジーを使っているだろう、という考えのもと、小道具や大道具として劇中に登場したハイテクなメカやガジェットのあれこれ。
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昔は未来の憧れや映画の面白さから、疑問にすら思わなかったものでも2014年となってしまった今、改めて観直してみると、2014年よりも後の時代設定のはずなのに、2014年よりも古いテクノロジーが出てくるというパラドックスがチョイチョイ見受けられるようになりました。
今回は「io9」が見つけてきた、そんな未来なのに今や時代遅れな世界12選をご紹介します。ぜひとも温かい目で、偉大なる先人たちが知恵を振り絞って考えたであろう未来の姿をご覧になってください。まずはアンドロイドが電気羊の夢を見るのかどうか? 以下へどうぞ!
■『ブレードランナー』
10円で3分
不気味の谷さえ乗り越えれば、人間にソックリそのままなレプリカントを大量生産することも可能そうな現代。『ブレードランナー』は2019年の設定ですが、ここではまだ携帯電話はスマートフォンどころか、公衆電話でデッカード捜査官が通信しています。モニターで話し相手が見えるのは、多少なりともフューチャリスティックかな? と。
■『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』
ダブル・ネクタイもこの時代のオシャレ
ここは2015年の世界。でも家中にはファクシミリが設置されており、未だに紙での送受信がまかり通っています。インターネットもWi-Fiも、e-mailもないだなんて...。
でも代わりと言っちゃ何ですが、この時代には自動車を飛ばせる技術と、ゴミをリサイクルさせて燃料に変える電力発生装置「ミスターフュージョン」が完成しています。なのにファックスだなんて、嗚呼やっぱり何故!?
■『宇宙船レッド・ドワーフ号』
磁気テープこそ記録媒体の王様だ
イギリスSFコメディードラマのこちらでは、22世紀後半が舞台というのにビデオ・カセットがあらゆるメディアの保存媒体として登場します。1988年から1999年まで制作されていた長期シリーズですが、どうやらCDやDVDのディスク媒体は登場しなかった模様。
2009年に放送開始20周年を記念して作られた『宇宙船レッド・ドワーフ号:バック・トゥ・アース』ではDVDが出てきたようですが、ケースの出し入れが大変だったようで、そのもたついた動作からして、やっぱビデオ・カセットなんだなぁと考えを改めさせたのでした。
■『JM』
ゴーグル型バーチャル・ディスプレイとバーチャル・キーボード
脳ミソに埋め込まれた記憶媒体に保存した、情報の運び屋家業で生計を立てるジョニー。しかしその容量はなんと、たったの80ギガバイト。ディスクダブラーでデータを圧縮しても160ギガバイトにしかならないのです。
現代では手のひらサイズのiPhone 6のだって最高で128ギガ ありますし、1テラバイトのハードディスクだって手軽に買えちゃう時代。もしジョニーが2014年にいたら、アッと言う間に廃業に追いやられちゃいますね。
■『デモリションマン』
誰か10円ちょーだい!
2032年が舞台のこの映画でも、また公衆電話が登場します。そして未来の話なので、やっぱりモニターに通話の相手が映し出されるのです。最高にクールですね。
ところでこの映画では、ヘッドギアを装着した男女がデジタル化されたセクシャル・エナジーを通信するバーチャル・セックスに興じるシーンも登場します。でもこればっかりは、アナログがイイですよねぇ?
■『2001年宇宙の旅』
スカイプ使えば無料なのにね
ここでも電話ボックスが登場し、モニター付きの電話通信をします。フロイド博士は自分の娘に電話をするのですが、博士はアドレス帳やスピードダイヤルなどを使わず、電話番号を空で憶えていて打ち込むという快挙に出るのです。
それだけではなく、クレジットカードかテレフォンカードか何かしらのカードを使用して電話をかけ、博士自らもこのマシーンを「テレフォン」と呼ぶのです。もう完全に普通の電話です。本当にありがとうございました。
ちなみにですが、この映画には1991年に破産したパンアメリカン航空ロゴが描かれた宇宙食のパッケージや、『スター・ウォーズ』デス・スター内の宇宙船発着所が登場したりと、ツッコミ所はたっぷり用意されています。
■『ドクター・フー』
壁にはフィルム・ロールが回ります
ビデオ・カセットが記録媒体だなんて、まだ生易しいと思えるのがこちら。『ドクター・フー』シーズン12 (1974年ー75年)の『宇宙の箱舟』では、マイクロフィルムが使われています。
スパイ映画でよく機密情報が書き込まれているのが、大体マイクロフィルムでしたが...遠い未来が舞台のこのお話でも、1975年当時はSFの必需品だったのですね。
■『バビロン5』
かわら版だよ!
2258年以降が舞台のSFドラマですが、登場人物たちが欲しい情報は新聞紙に印刷されて出てきます。しかも読み手の好みに応じて、並びや記事がカスタマイズできてしまう優れ物。決して携帯端末や、ヘッドギア内側のディスプレイにデータを送受信するとかではないのです。
これに関しては、ヴィジュアル的に視聴者が分かりやすいとか演出上の事情があるのでしょうけれどもね。まぁ、何だかんだデジタル化が進んでも、紙で活字を読みたいものですよね。その気持ちはよ~く解ります。
■『大宇宙の少年(スターファイター)』
中古の宇宙服を手に入れた少年が、異星人にさらわれ月に監禁される話
ロバート・A・ハインライン氏のSF小説は数在れど、この本は少年少女用の文学として日本でも知る人ぞ知る一冊です。
この本だけでなく、ハインライン作品にはやたらと計算尺というアナログなアイテムが登場します。そこで子供2人の会話がこう進むのです。
少年A:「お父さんが言うには、計算尺が使えないヤツは無教養だから投票にも行くべきではないってさ。ボクの「K&E 20 ログ・ログ・デュプレックス・ディサイトリグ」は凄いぞ。10インチ多相計算が出来るようになったボクに、お父さんはビックリだっだよ」
少年B:「そうだな、計算尺は素晴らしい発明だよな。女の子の次にね」
女の子の次にね!?
計算尺は電卓に取って代わられた古典的な便利アイテムです。訳者は昔、デザイン業務で縮尺のパーセントと導き出す計算尺を使っていたのでその利便性はよく分かっています。それに今でも、コアな業種ではまだまだ各種計算尺が活躍していることと思われますが...女の子の次に、とはいかにもアメリカンなジョークですね。
■『スター・トレック』
SF宇宙ドラマの金字塔『スター・トレック』では、さまざまな未来の科学技術が登場します。ですがここで彼らが使うのは、iPadよりモッサリしたタブレットの電子書籍リーダー。キャプテンに何かを報告するのは、テキストメッセージをピっと送るのではなく、このタブレット型端末をわざわざ持ち運んで目の前に見せるという方式を取っています。これで運動不足の解消にも繋がりますしネ!
■『ブレイクス 7』
今ほどの科学技術の発展が思い付かなかったとしても...!!
現代から最低でも700年は先の未来を描いているという、『ブレイクス7』。それにしては、ここに登場するコンピューターはどう見ても70年代の古めかしいものなのだそうです。
1978年から1981年まで制作されていたという背景を鑑みたとしても、その時代に在った家電や小道具を流用するのではなく、独特で何をするのかサッパリ解らないようなガジェットが出てきたほうが、遥か遠い未来を表現するのに良さそうな気もするんですけどねぇ。
■『エイリアン』
このグラフィックは『コモドール64』以下のクオリティー?
宇宙空間を移動する、最新鋭であるべき宇宙船ノストロモ号ですが、モニターを観たところ懐かし過ぎる8ビット調のグラフィックが伺えます。
確か今の宇宙船やら人工衛星やらも、最新鋭のOSではなく古いOSを使用していると小耳に挟んだことがありますし、必ずしも映画『ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー』の「グラフィカル・ユーザー・インタフェース(GUI)」のように超絶クールである必要は、あんまりないのです。
ということで以上、「サイエンス・フィクションに登場する、未来なのに今や時代遅れな世界12選」はいかがでしたでしょうか?
冷静に考えると、1970~1980年代で今存在するタッチスクリーンや携帯電話、インターネットの爆発的普及などを発想することは無理だったかと思います。どれもが当時の技術で思い付く限り、頑張ってSFチックでクールなものを作った苦労を考えると、ちょっとだけ優しい気持ちになれるかもしれません。
12 "Futuristic" Worlds Where Everybody Uses Obsolete Technology[io9]
(岡本玄介)
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