三ヶ月ほど前から娘がバレエのレッスンに通っている。ある朝、突然「バレエがやりたい」と言い出したのが始まりだった。以前から踊ることが好きだった。身体を動かすことが好きだった。そんな姿を見ていて二歳の時に買った『おどりたいの』という絵本にも夢中になった。森の子うさぎが人間の女の子たちのバレエ教室に憧れ「おどりたいの」と勇気を出して申し出る物語だ。
「つむちゃん、おどりたいの」
 言い出したのはその絵本も読まなくなってしばらく経った時のことだった。自分の中で想いを熟成させていたのかもしれない。あるいは言い出すタイミングを探していたのかもしれない。それが無意識下で行われていたことだったとしても。