小沢一郎代表高校生への講演(2013年3月28日)

3月28日(木)、小沢一郎代表が高校生の主催する「僕らの一歩が日本を変える。高校生100人×国会議員vol.2」に出席し、講演しました。午後に行われました高校生によるプレゼンテーションの際には、広野ただし副代表とはたともこ代表室政策担当幹事が参加し、高校生の発表に対してコメントを述べました。小沢代表の講演の要旨は以下の通りです。

小沢一郎代表講演

(講演する小沢一郎代表)

広野ただし副代表とはたともこ代表室政策担当幹事

(広野ただし副代表とはたともこ代表室政策担当幹事)

【講演要旨】
 皆さんおはようございます。今日は5分間ということですので、原稿を書いてまいりましたから、それに従いまして申し上げます。

 まずは、「僕らの一歩が日本を変える。」という皆さんのこの催しにお招きを頂きまして、ありがとうございました。5分のスピーチで終わりだということで、いろんな議論をする時間がなくて残念ですけれども、まず一番皆さんに申し上げたいことを簡潔に言ってみたいと思います。

 日本の国というのはしばしば、リーダーがいない国、という風に言われます。事実、国の成り立ち、民族の成り立ちからくる要素が非常に大きいのです。すなわち、強いリーダーがいなくとも、平和で安定した生活を営むことができてきたという、日本の、島国でしかも非常に気候が温暖な国土と、そしてその国民性が培われてきたという要素が強いと思います。

 しかし、いろいろな、危機的な状況にあっては、改革をしなければならないという志を持った若いリーダーが現れまして、革命、日本人は変化を嫌いますので、革命という言葉を使いたがらないのですけれども、革命的な改革を成し遂げてきました。

 幕末の明治維新もそうでありますし、遠く遡れば、天智天皇、中大兄皇子の大化の改新然り、また、僕流に言わせますと、中世の殻を破った織田信長の大改革然り。そういうことで特に明治維新は、欧米の帝国主義の支配に服することなく、近代国家として生まれ変わったわけでありまして、それは非常に大きなことだったと私は思っております。

 いつの時代でも同じなのですけれども、改革というのは、一人ひとりの考え、志から、大きなうねり、力になって世の中を変えていく、ということだと思います。皆さんも、僕たちの一歩が、ということで今日お集まりになった。私はその考え、志、それに大変興味を持っておりますし、評価をしております。

 私は、政治談議はするつもりはないのですけれども、自民党を離党して以来、なぜ政権与党の自民党を離党したのか。多分自民党にいれば、きっと楽な政治家の生活を送ることができたと思います。しかしそれではいけないと思いまして、自分なりに考え方を持って離党し、今日まできました。

 その目的は何かというと、日本に民主主義、議会制民主主義を定着させなければいけない、という私の年来の強い思い入れがあります。皆さんは、日本は民主主義国家だという風に思っているかもしれませんが、民主主義国家とは程遠い日本人の現状であり、日本国の現状である、と私は思っております。

 これを本当に民主主義社会にするには、僕は自立と共生という理念をずっと掲げてきているのですけれども、民主主義社会というのは、個人個人の自立があって初めて成り立ちます。ですから、それぞれが自分たちで考え、自分たちで判断し、自分たちで責任を持って行動する、こういうことが行われない限り、民主主義社会は成り立ちません。その時々のムードや、その時々のイメージでもって右に行ったり、左に行ったり、行動もそういう風に左右される。そして選挙、政治で言えば、選挙もその時々のムードで、右に行ったり左に行ったり、という話になるのですけれども、それでは民主主義社会は成り立ちません。

 ですから明治以来、不完全ながらも政党政治、議会政治が生まれましたけれども、その失敗はやはり、今言ったように、それぞれの日本人が自立した個人として、自分自身で考え、判断し、行動することができない。その時々のムードでもって行動してしまう。その大きな悲劇が戦前の昭和史であります。

 いずれにしても、もう5分を過ぎてしまったので終わりますけれども、皆さんにお話ししたいことは、とにかく、きちんと自分自身を確立してほしい、自立してほしい、ということであります。そして自分が何かをやって、人のせいにしたり、何のせいにしたりというのは、私はあまり感心はできません。自分でやったことは自分で責任を取らなくてはいけません。それを社会のせいにしたり、親のせいにしたり、大人のせいにしていてはだめです。

 ですから、そう意味で皆さんは、自立心と大きな志を持ってください。私の言いたいことはそういうことでありまして、明治の時代に札幌農学校で、クラーク博士が言った言葉をお借りすれば、「Boys, be ambitious!(少年よ、大志を抱け!)」。その志はどんな志でもいいです。何も社会的に高い地位を求める必要もなければ、社会的に大きな影響を持つような志でなくても、それはもうそれぞれ、自分自身の志、目標を大きく持って、ぜひ自分の判断で、自分の責任で、立派な人生と、そして立派な日本を作っていただきたいと思います。終わります。