鈴木克昌代表代行・幹事長 衆議院本会議質問(2014年4月10日)
4月10日、衆議院本会議にて新藤総務大臣から「地方自治法の一部を改正する法律案」の趣旨説明があり、これに対して生活の党を代表して、鈴木克昌代表代行・幹事長が登壇し質問しました。
質疑全文は以下の通りです。
【 質疑全文 】
私は、生活の党を代表し、ただいま議題となりました地方自治法の一部を改正する法律案について、質問いたします。
人口減少問題は、我国の最優先課題であります。人口の動静に合わせた行政を行うことは、必須の命題であります。限界集落、シャッター商店街などの問題は、限られた地域の問題ととらえるべきではありません。それぞれの地域が失いかけた輝きを取り戻し、生き生きとした暮らしができるようにする。そのために、この国が何をすべきか。いま、それが問われているのであります。
日本には、それぞれの地域に連綿と続く歴史があり、文化があり、暮らしがあります。これを大切に守り、生かしてこそ、我が国の前途に道が開けるものであります。
一部の大企業や輸出企業の利益を追求するだけでは、真の内需拡大にはつながらず、全国各地の中小企業の経営や、人々の暮らしは良くなりません。
将来にわたって、地域が地域として自立し、住民が誇りを持ち、産業と生活の利便を享受できるようにする。そのようなまちづくり、地域づくりを地域の創意工夫で進められようにする。そのために、権限、財源を思い切って地方に移していく。この「地域主権改革」を今こそ断行すべきであります。
とりわけ、基礎自治体の行政サービスは、医療、介護、教育、生活インフラの維持など多岐にわたります。これらを確保することは、国民の生活を守るうえで不可欠であります。
国立社会保障・人口問題研究所の「日本の地域別将来推計人口」によりますと、2010年から2040年の30年間で、全国の人口は、約1億2,800万人が約1億700万人と実に2,100万人、率にして16.2%の減と推計されています。
東京都と神奈川県の人口を合わせると約2,200万人になりますが、ほぼそれに匹敵する数の人口減少が向こう30年間で起こるということであります。
このような人口減少社会に対応するためには、各市町村が単独であらゆる公共施設等をそろえるという発想を転換しなければなりません。
この点について、第30次地方制度調査会答申は、全国を三大都市圏と地方圏の2つに分けて、処方箋を示しています。
三大都市圏では同程度の規模・能力がある都市の間で水平・相互補完的な役割分担を促進するとしています。これに対し、地方圏では地方中枢拠点都市等を中心とした連携のほか、市町村間の広域連携が困難な場合は都道府県による補完も選択肢であると指摘しています。
この地方制度調査会の答申は、愛知県を例にとって考えてみても、なるほど的を射たものであると思われます。
指定都市である名古屋市は、日本を代表する大都市であると同時に、住民の生活を支える基礎自治体でもあります。日本経済をけん引する活力ある大都市であり続けると同時に、地域住民のニーズに即したきめ細やかな行政を行うためには、区の役割の拡充など都市内分権を進めることが必要であります。
また、三大都市圏の一つである名古屋市とその近隣には、名古屋市への通勤・通学者が10%を超え、社会的に一体性のある地域に面積の小さな市町村が数多くあります。
この地域では、交通の便が良く、短時間で行き来ができます。名古屋市に通勤・通学する住民の立場に立って、それぞれの市町村が運営する公共施設を相互に円滑に利用できるようにするなどの連携を進めることが有益です。
同程度の規模・能力がある都市の間で水平・相互補完的な役割分担を推進するためには、それぞれの市町村がその区域内でフルセットの行政サービスを提供するという発想を転換し、広域的な視点で最大の経費で最大の効果を上げるという考え方を地域で共有することが求められています。
中核市である豊田市は、平成17年に7市町村が合併し、一部過疎地域を含む合併前の周辺市町村も含めたまちづくりを進めているところです。まさに、人々の暮らしを支え、経済をけん引する核となる都市のモデルケースとなることが期待されます。
一方、愛知県の中山間地である北設楽郡では、過疎化が進行しています。いずれも、向こう約30年の間にさらに人口が半減すると推計されています。人口減に対して我々は最大限の努力をしなければなりません。
定住自立圏の取り組みを進める新城市まで通うにも、いくつもの山を越えなければなりません。救急搬送にはドクターヘリが必要です。通学のためのバス路線が維持できなければ、若者がこの地域で暮らすことはできません。
住民の暮らしを守ることは、決して容易なことではないのであります。
本法案により新たに創設しようとする「連携協約」は、このように、地域によって大きくことなる状況を踏まえ、それぞれの実情に応じて、地方自治体が自由な発想で柔軟に連携できるものでなければならないと考えます。
今までも、自治体間の連携としては、姉妹都市提携や事務の委託などが行われていますが、今回「連携協約」の制度を導入するねらいは何か、総理の見解を求めます。
人々の暮らしを支え、経済をけん引する核となる地方中枢拠点都市圏を形成するうえで、本法案に盛り込まれている連携協約制度は重要なツールとなるものと考えますが、新たな制度を作っても、それが地方自治体で実際に活用され、国民の生活を支えるものとならなければ、何の意味もありません。
新たに創設する連携協約制度が地域の実情に即して活用され、地方中枢拠点都市圏の形成等につながるようにするため、国として具体的にどのように取り組まれるおつもりか総理の見解を求めます。
最後に、本法案については、我が国が人口減少社会に対応し、国民の生活を支える基礎自治体の行政サービスが将来にわたって確保されるようにするうえで極めて重要な意義を有するものであると指摘し、私の質問を終わります。