おはようございます。マクガイヤーです。
色々なことを準備していたら慌ただしく過ぎ去ってしまった週末でした。
もう少ししたら色々と発表できると思いますので、しばしお待ちください。
マクガイヤーチャンネルの今後の放送予定は以下のようになっております。
〇12月18日(月)19時~「最近のマクガイヤー 2023年12月号」
・時事ネタ
その他、いつも通り最近面白かった映画や漫画について、まったりとひとり喋りでお送りします。
〇12月25日(月)19時~「劇場版アニメ公開記念 スパイ映画としての『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』と覇権漫画としての『SPY×FAMILY』」
12月22日より映画『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』が公開されます。原作の遠藤達哉が監修・キャラクター原案を務める完全新作ストーリーが展開されるそうです。『SPY×FAMILY』は『怪獣8号』『ダンダダン』と並ぶ少年ジャンプ+完全オリジナルの看板漫画なだけに、本編から独立した完全新作ストーリーがどんな話になるのか楽しみなところです。
そこで、『SPY×FAMILY』とその劇場版の魅力について解説するような放送を行います。
ゲストとして舞台女優の桜木ゆいさん(https://twitter.com/sakuramauyoru)をお迎えしてお送り致します。
〇1月8日(月)19時~「Dr.マクガイヤーのオタ新年会2024」
例年お楽しみ頂いている「オタ忘年会」あるいは「オタ新年会」。
今年も2023年に語り残したオタク的トピックスやアイテムについて独断と偏見で語りまくる予定です。
ゲストとして編集者のしまさん(https://twitter.com/shimashima90pun)をお迎えしてお送り致します。
ちなみに過去の忘年会動画はこちらになります。
2022年(2023年新年会)
〇1月29日(月)19時~「『ダンジョン飯』と九井諒子(仮)」
2024年1月よりアニメ『ダンジョン飯』が放送されます。九井諒子による漫画『ダンジョン飯』を2クールかけてアニメ化するそうです。
原作漫画『ダンジョン飯』は2014年2月から2023年9月にかけて、「ハルタ」で連載されました。主にコミティアやpixivで活動していた九井諒子が『ひきだしにテラリウム』で文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞した後、初の連載作品になります。誰もが思いつく『ウィザードリィ』的なファンタジー的世界観+グルメ漫画というネタを、九井諒子ならではの漫画やファンタジーに対する真面目さと真摯さで描き、大ヒットしました。原作がきっちり完結した後でのアニメ化も、作品や作者の生真面目さを感じてしまいます。
そこで、『ダンジョン飯』と九井諒子の魅力について解説するような放送を行います。
ゲストとして編集者のしまさん(https://twitter.com/shimashima90pun)をお迎えしてお送り致します。
〇藤子不二雄Ⓐ、藤子・F・不二雄の作品評論・解説本の通販をしています
当ブロマガの連載をまとめた藤子不二雄Ⓐ作品評論・解説本『本当はFより面白い藤子不二雄Ⓐの話~~童貞と変身と文学青年~~』の通販をしております。
https://macgyer.base.shop/items/19751109
また、売り切れになっていた『大長編ドラえもん』解説本『大長編ドラえもん徹底解説〜科学と冒険小説と創世記からよむ藤子・F・不二雄〜』ですが、この度電子書籍としてpdfファイルを販売することになりました。
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合わせてお楽しみ下さい。
さて、本日のブロマガですが、ニコ生でもお話しした映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』についてきちんと書かせて下さい。
●『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』とは
『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』は、東映アニメーション制作によるテレビシリーズ第6期の劇場用作品になります。猫娘が長身美少女化し、鬼太郎を沢城みゆきが演じ、1、2期で鬼太郎を演じた野沢雅子が目玉おやじを演じる6期です。
6期『鬼太郎』は令和に作られるアニメならではの批評や批判精神に溢れており、2018年から2年に渡って放送され、終了後にギャラクシー賞のテレビ部門特別賞をアニメ作品としては初めて受賞したりしました。視聴率的にも批評的にも好評をもって迎えられたわけです。
6期『鬼太郎』では目玉おやじが若返る――一時的に本来の姿に戻るというエピソードがありました(第14話)。その姿は『墓場の鬼太郎』第一話で描かれたミイラ男の姿ではなく、銀髪のイケメンだったので、SNS等でプチバズったりしたことも記憶に新しいです。『墓場の鬼太郎』で父は「溶ける病」を患っているという設定でしたので、罹患前の姿ということなのでしょうが、銀髪イケメンというのが令和です。
放送終了から3年、ほとんどの人が6期『鬼太郎』のことを忘れた時分に公開された本作は、なんと銀髪イケメン親父と『墓場の鬼太郎』第1話に出てくる青年「水木」を主人公とし、昭和31年を舞台とした、6期『鬼太郎』と『墓場の鬼太郎』両方の前日譚となる物語でした。しかも横溝正史ばりのミステリで、水木しげるの代表作の一つであり実際の戦争体験に基づいた『総員玉砕せよ!』まで引用しています。6期『鬼太郎』は子供向けアニメだったのに、本作はPG12指定です。水木しげる作品のどれにも似ていないのに、水木しげるに最大限のリスペクトを払っている……こんなアクロバットみたいな1.5次創作(公式による2次創作)が可能とは……6回(『墓場鬼太郎』を含めれば7回)も鬼太郎をアニメ化している東映は、鬼太郎も水木作品も知り尽くしているし、映画に対する覚悟も相応のものがあるということなのでしょう。
●『犬神家の一族』+『墓場鬼太郎』
主人公である青年「水木」は『墓場の鬼太郎』と同じく血液銀行に勤めているのですが、南方戦線で玉砕を強制された部隊の生き残りで、生き延びるために会社で出世して権力を得たいと願う野心家です。そんな中、政財界の大物である龍賀一族の当主、龍賀時貞が死去します。龍賀一族は龍賀製薬が秘密裏に開発し特定の顧客にのみ販売する血液製剤M――投与者に生命力を与え、不眠不休で働き続けることを可能にする薬で日清日露戦争に貢献し、莫大な富と権力を得てきました。龍賀製薬の担当者である「水木」はMの謎を暴くべく夜行列車に乗り哭倉村を訪れる……というのが冒頭部になります。
この哭倉村とその大地主である龍賀家とその一族、そこでの遺産と跡目争い、それに関連して巻き起こる連続殺人やMの秘密を暴くホラーミステリが、完全に『犬神家の一族』オマージュなのです。しかもコメディやパロディではなく真剣な引用で、戦後11年経過し、財閥解体や農地改革を経て民主化したはずの日本に、今もなお時代錯誤な封建制や家父長制やおどろおどろしい因習が残っている……というさまをしっかり描いています。女性や子供が土地に縛られていたり、登場人物が煙草を吸いまくったり、当時は高価だった洋酒(オールドパー12年)を薦められたりするさまに、時代性が現れます。アニメーションでこのようなものを描くためには、『犬神家の一族』を含む横溝正史作品を引用するのが一番と判断したのでしょうし、まさか『鬼太郎』シリーズで戦後を舞台にこんなにもしっかりした映画をみることができるとは思いませんでした。
ここで重要なのは、映画が進むと共に、作品内で描かれるおどろおどろしい因習が、日本が近代化する前から続くものというよりも、日本が近代化する過程で孕んでしまい現在まで続く問題のようにみえてくることです。
以下ネタバレ。
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