changeさん のコメント
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たまたま、家内に大学の同級生。宮野哲子著『歌集 朝の天秤』が送られてきました。
勝手に気に入った歌を紹介します。宮野哲子氏の職業は薬剤師です。
・心病む 人の叫びか薬局に シャネルの五番 密かに残りぬ
・午後七時 薄暗がりに 白衣脱ぎ 無休無給 無窮の主婦に
・使い捨て マスクに「タミフル」投薬す われの本音が 飛び出さぬように
・名札なき 病室続く癌病棟 結界のごとき 鉄扉の奥に
・「大丈夫」「よくなりますよ」わが口のなめらかなる投薬指導
・抗鬱剤・酒量抑制剤処方箋を 透かし見え来る 他人の人生
・来るはずの 患者来ぬまま 時雨降り 外灯の明かり にじむ土曜日
・愛憎も はるかになりて 日溜りに しろがねの母の 車椅子押す
・出来る事 一つずつ剥がれゆく 秋の母は 黄落の真中にいたり
・弥勒菩薩の 切手のみどり まださわやか 吾の手紙あり
*病気を吹き飛ばそうとして、いい香りのするシャネル5番を漂わせたのでしょうか。
*薬剤師と主婦を使い分ける忙しいありのままの姿が浮かびます。
*本音を抑えるのは難しい。タミフルを使うところが薬剤師らしい。
*がん病棟とこの俗世界を別世界と区別しているのが面白い。
*鬱そうと酒量の関係、一つの相関関係がありや。
*投薬指導で、悪くなりますとか、変わらないとは言えない。
*時雨に外灯の明かりが薄くにじんでいるように、患者のことが心配で心が晴れない。
薬剤師と主婦兼業のありのままの姿が、目に浮かびました。
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