りゃんさん のコメント
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「無謀絶望の戦争をはじめる」ハーン
この国のあの称賛すべき陸軍も、軍武すぐれた海軍も、政府の力ではとても抑制のきかないような事情に激発され、あるいは勇気つけられて、貪婪諸国連合軍を相手に無謀絶望の戦争をはじめ、自らを最後の犠牲にしてしまう悲運を見るのではなかろうか
・(日本の)近代の変転、変化の目まぐるしいばかりのあわただしさー一九八七年の社会の改革から一八九一の第一回国会開設に至るものーを考察いただきたい。一九世紀の半ばに至るまで、この民族は、二六〇〇年前のヨーロッパの族長社会と同じままでいた。
・ド・クーランジェ(一九世紀のフランスの中世学者)は個人の自由の欠如ということがギリシア社会の紛乱と結局の壊滅を見るにいたった真因であったと指摘している。
・産業競争に対する能力なども、婦人や子供のみじめな労働力に依存してなされるようなものではありえない。どうあっても個人の知
http://www.gutenberg.org/ebooks/5979
にいきついた。これも自分では詳らかにしないが、東洋文庫版の底本になっている英文テキストも、ここから手に入るものとだいたい同じなのだろうとおもった。
この英文テキストをざっと読んでみると、該当する箇所は、
INDUSTRIAL DANGER の章のなかの終わりあたり
(REFLECTIONS の前のところ)であり、結論は
But the statesmanship that has already guided Japan through many storms
should prove able to cope with this gathering peril.
である。つまり、「greedy states」による侵略の脅威にさらされている日本は、これらの国と伍してやっていくのには不利な条件が多いが(ここで教育などが例にあがるわけである)、それでも(すでに多くの嵐を乗り越えて日本を導いてきた)政治への期待感をにじませているのであり、この政治への期待の部分を孫崎さんが言っていないのである。(ただし、東洋文庫版でどう書かれているのかはわからない)。
「greedy states」というのは、現代にあてはめれば、最終的には米国であるが、さしあたっては北朝鮮や中国という国々と言うことになろう。そしてハーンは別に戦争しろと言ってはいない。自分たち(日本)の置かれている条件をよく見ろと言っているのであろう。
そしてハーンの(当時の)現状認識を端的に文中からひいてくれば、
All know that Japan
is in danger, between the terrible friendship of England and the
terrible enmity of Russia,--that she is poor, (略)
といったあたりになるのだろう。現代にも通じるところがあるのではないか。
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