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りゃんさん のコメント

次に、日本国憲法はGHQ(米国)が日本におしつけたルールです。占領下にあって、そのルールに、ルールをおしつけた側は拘束されません。おしつけた側は、ルールを守るとさえいうかもしれない。しかし実際はルールを守ってもいいし、守らなくてもいい。このようなルールの一方向性は、法理というほどのこともないあまりに単純な歴史的事実、あるいは支配被支配や上下関係というものの本質です。そして国際関係から身近な人間関係まで、だれもが見聞きし体験していることです。

これにたいして憲法をもちだしても、憲法をおしつけた側への意味を、法形式的にはもちません。レッドパージについては、1950年台から最近まで、共産党系のヒトビトが何度も裁判に訴えていますが、最高裁が一貫して「 GHQの指示による超憲法的な措置」として、解雇や免職は有効と結論づけているのは、そういう意味です。なお、憲法は私人間には直接適用されませんから、たとえば共同通信とそこに雇用されている人とのあいだには直接適用されないことにも注意すべきです。

こうしたルールの一方向性がいやなら、法以前の実力として対等をめざすしかありませんが、敗戦した日本にあっては、いま現在、形式的にはもちろん、実質的にもかなり独立を回復しましたが、まだ米国による支配が見え隠れするのはみなさまご承知のとおりです。

私が不思議なのは、外国などに支配されるのはいやだから、半独立状態の日本がさらに独立するために米国を追い出そう、そのためにたとえば9条を改正しようというのはわかるけれど、日本は連合国に敗戦したのだから、米国だけでなく連合国による支配を受け入れろだとか、中国はなにも悪いことはしないから中国に従えとか考えるヒトビトの存在ですね。こういうヒトたちには被支配を逃れたいという明朗な欲求からはずれた、なにか病理的なものを感じます(※)。

中国の国内政策を見ると、ルールについての一方向性が日常的に顔を出しています。中国を呼び込めば、中国の影響を受けます。ルールについての一方向性が日本でも日常的に顔を出すようになるでしょう。それは今の日本よりも良い国でしょうか。

日本人の多数派は、「権力というものへの透徹した認識」をもっていたとおもいます。それはわかりやすくいえば、世の中にユートピアはないがユートピア詐欺は存在する、という認識のことです。こういう認識をもっている人々が、いままでは日本人の比較的多数だった。

しかし、中国につけば儲かるぞ、それはユートピアだぞとおもうヒトたちが財界にも政界にも増えて、それに汚染されてまっとうな左翼もほぼいなくなったのがいまという時代に見えます。

※ このそれぞれの主張が、各人のもともとの性格と相関していそうなのも興味深い。連合国による支配を受け入れろというヒトは、支配したいヒト。たぶん、連合国と一体感があるんでしょうね。そして中国はなにも悪いことはしないから中国に従えと考えるのは、支配されることに鈍感なヒト。
No.8
53ヶ月前
このコメントは以下の記事についています
朝鮮戦争の勃発とともに、警察予備隊が作られ、これは国会審議を経ての法律でなく、内閣が自分で出せる政令で決めました。日本国憲法の根幹、「国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である」が侵されました。 そして、「民主主義」「自由主義」の要、報道の自由も侵されます。具体的な条文を見ます。 第一九条【思想及び良心の自由】思想及び良心の自由は、これを侵してはならない、 第二一条【集会・結社・表現の自由、通信の秘密】1 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。。 朝鮮戦争が始まったのは1950年6月25日。そして7月29日日経新聞三面は次の出しで報道します。「報道界の赤色分子解雇」この中で、各報道機関の解雇者数を次のように報じます。朝日七二、毎日四九、読売三四、日経二〇、東京九、放送協会九九、時事一六、共同三三.驚く数字です。日経新聞の見出しの「赤色分子」という表
孫崎享のつぶやき
元外務省情報局長で、駐イラン大使などを務めた孫崎享氏。7月に発行された『戦後史の正体』は20万部を超えるベストセラー、ツイッターのフォロワーも13万人を突破。テレビや新聞が報じない問題を、日々つぶやいている孫崎氏。本ブロマガでは、日々発信。週1回別途生放送を発信。月額100円+税。【発行周期】日々。高い頻度で発行します。