中庸左派さん のコメント
このコメントは以下の記事についています
(ブルームバーグ): 中国国家統計局が 17 日発表した最新の経済指標は、国内景気の最悪期が過ぎた可能性を示唆した。数年にわたる厳格な新型コロナウイルス対策によって圧迫された中国経済は今後回復が見込まれるが、その道のりは平たんではなさそうだ。 中国経済は昨年、 1970 年代以降で2番目の低成長にとどまった。ただ、 10 - 12 月(第4四半期)の国内総生産(GDP)成長率や 12 月単月の経済指標は予想を上回った。 2022 年のGDPは前年比3%増加。 8.4 %成長を記録した 21 年に比べれば大きく見劣りするが、ブルームバーグ調査のエコノミスト予想中央値( 2.7 %増)は上回った。政府の成長率目標は当初、「 5.5 %前後」に設定されていたが、コロナ対応のロックダウン(都市封鎖)や感染を徹底的に抑え込む「ゼロコロナ」政策の急転換で目標には遠く及ばなかった。 昨年 10 - 12 月のGDPは 2.9 %増 と、予想の 1.6 %
当初中国政府は「5・5%前後」の成長目標を掲げたが、今回は達成できなかった、という。【毎日】の記事では、「成長率が政府目標を大幅に割り込むのは異例だ。」と書いているが、目標と実態の乖離はどこの国でもあること。思い起こせば、安倍政権時のインフレターゲット、2%インフレ率は何年かかっても結局実現しなかった。
日米の主流権威筋メディアは中国の成長鈍化を殊更強調したいのかもしれないが、ゼロコロナ政策といった例外的な需要と供給を制約する状況が続いていたのだから、成長鈍化は予想通りでしかない、というものだ。
更に、【毎日】の今日の見出しには「中国人口、61年ぶり減 出生初の1000万人割れ」「中国国家統計局は17日、2022年末の総人口が21年末比85万人減の14億1175万人だったと発表した。」として、社説では「人口減少によって内需や生産力がそがれ、こうした課題の解決が一層困難になる恐れがある。」と、自国を棚に上げて上から目線の御高説を弄しながら、「中国は世界の供給網の中心であり、日本を含む多数の国にとって最大の貿易相手国だ。」と中国頼みの日本経済を認めざるを得ないのである。
上記のような論調を読むにつけ、日本人の中国に対する屈折した思考様式が透けて見える。社長になった後輩に、先輩かぜをふかせるイタイヤツといったカンジだろうか?
しかし、目線を世界に転じるなら、日米主流権威筋メディアとは違った風景が見えてくる。
例えば、中国とサウジアラビアとの貿易は 2021 年に 873 億ドルに増加し、2020 年に比べて 39% 増加。一方、米国とサウジアラビアの貿易は 2012 年の 760 億ドルから 2021 年にはわずか 290 億ドルにまで減少。
しかも、中国とサウジアラビアの貿易の一部は既に、中国人民元で行われている可能性があるらしい。米国のペトロダラーは崩壊しつつある。
中国はさらに 5G システムを構築し、サウジアラビアが固有の製造部門を構築するのを支援しているという。
さらに、サウジは中露を盟主とする多極化自体の世界的ハブであるBRICS+(トルコ、エジプト、アルジェリアと並んで )にも参加することを希望しており、経済協力面では、最近本格的な上海協力機構(SCO)の対話パートナーになることで、ますます世界の多極化に合わせた政治経済面で同盟関係を強化している。
長く紛争に苦しむ中東において、さまざまな権力ブロック間の利益の安定と調和の可能性が高まるにつれて、中国の投資家たちが長期的な視点から経済投資をより活発化する雰囲気が現れている。
サウジアラビアでは一帯一路構想に結びついた開発に直接影響を与える鉄道建設が、中国鉄道建設会社によって着実に進んでいるという。
多極化というキーワードを切り口に世界を見るなら、政治経済の中心はアメリカ西側G7の独壇場ではない。
一方、「ジェトロが毎年実施している海外に進出している日系企業を対象とした実態調査では、中国での事業は現状維持もしくは拡大する、という回答が圧倒的多数です。」(【世界】2月号、梶谷神戸大教授)とのことだ。経済の「現場」はとっくに多極化しているのかもしれない。
多くの日本人の中国を見るメガネは、脱亜入欧的古さとアメリカ隷属の偏向により歪んでしまっているのではないか?歪んだメガネを外して、虚心坦懐に中国を見ることが大事だ。
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