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りゃんさん のコメント

メルケルの上掲発言のすぐ上には次のやりとりがあります。この後、上掲発言につづくわけです。

deepLによる訳。(略)は関係ないのでこちらで略しました。

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メルケル:(略)また、ロシアとウクライナに関する私の政策を見てみよう。当時の私の判断は、現在でも理解できるようなものであったという結論に達する。それは、まさにそのような戦争を防ぐための試みだったのです。これが成功しなかったからといって、その試みが間違っていたということにはならない。
ツァイト:しかし、あなたは、以前の状況でどのように行動したかをもっともらしく考え、その結果から見て、今日でも、それが間違っていたと考えることができるのですね。
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メルケルは「戦争を防ぐための試み」がロシアとウクライナに関する自分の政策だったとまず言っている。そして、「成功しなかったからといって、その試みが間違っていたということにはならない」、つまり、自分による「戦争を防ぐための試み」が、成功しなかったこと、しかし、成功しなかったからといって、試みは間違っていなかった、と言っているわけです。

その後に、くだんの部分がでてきますが、まず、2008年にウクライナがNATO加盟することには消極的だったことが述べられ、その理由を、ロシアのウクライナに対する行動に関しても、NATOに関しても、ウクライナのNATO加盟がどんな結果をもたらすかを最後まで考え尽くしていなかったからだと述べている。

そして、「2014年のミンスク合意は、ウクライナに時間を与えようとしたものだったのです」と続きます。

全体を読むと、メルケルはミンスク合意で「戦争を防ぐための試み」をしたけれど、(ロシア側の裏切りで)成功しなかった。そして(今次の露宇戦争の勃発により結果的に)ウクライナに(NATO側となる)時間を与えることになったと言っているとおもいます。()はわたしによる補足です。

ま、こう読めなくても、ミンスク合意破綻には、ロシア側に責任があること、また、「ロシアがだまされた」という話ではないことがわかればよろしい。

なぜか、メルケルらにロシアがだまされたという文脈で、「2014年のミンスク合意は、ウクライナに時間を与えようとしたものだったのです」を受け取るヒトビトが多いのですが、ロシアは自分たちがミンスク合意を破っていることを承知していたし、5年という時間はロシアにも同じようにありました。なにより、プーチンがこんなことでだまされるようなタマかと考えればよい。

まさに、ダラカン氏を含め、ロシアの宣伝ををオウムのようにそのまましゃべっているヒトビトが多いわけですね。
No.33
20ヶ月前
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孫崎享のつぶやき
元外務省情報局長で、駐イラン大使などを務めた孫崎享氏。7月に発行された『戦後史の正体』は20万部を超えるベストセラー、ツイッターのフォロワーも13万人を突破。テレビや新聞が報じない問題を、日々つぶやいている孫崎氏。本ブロマガでは、日々発信。週1回別途生放送を発信。月額100円+税。【発行周期】日々。高い頻度で発行します。