記事へ戻る p_fさん のコメント p_f RT 1 Apr, 2023 中国とブラジルの取引がドルによるイジメに打撃を与える https://www.rt.com/news/573935-china-brazil-deal-us-dollar/ 貿易において米国の通貨を捨てれば、ワシントンの意思を押し付ける能力は低下する- 政治アナリスト ティムール・フォメンコ記 中国とブラジルは、米ドルの介在を排除し、それぞれの通貨で二国間貿易を行うという協定を締結した。 年間1,500億ドルの貿易を行うBRICS2カ国間の協定は、ブラジルのルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルバ大統領の訪問が病気のため延期されていなければ、おそらく今週北京で署名されていただろう。ほぼ同時期に、中国はフランスのトタルエナジー社との間で、液化天然ガスを人民元建てで決済する初の取引を行った。 ブラジルと中国がドル以外の通貨で貿易を行うことを決定したことは、地政学的に大きな出来事であり、世界の基軸通貨を自らの覇権主義のために乱用するワシントンに対し、各国が米国の通貨を使わないことを模索していることを示すものである。もちろん、ドル紙幣は世界の貿易や経済において重要な存在であり続けるだろうが、米国人が他国を いじめたり抑圧したりするための道具としてそれを使う能力は低下しているのである。 ■ドルの覇権 第二次世界大戦後、1944年に米国とその同盟国がブレトンウッズ体制で通貨管理を行った結果、米ドルは世界の基軸通貨として、また国際貿易の基準として使われてきた。世界の商品価格は米ドルを基準に決定され、ワシントンは世界の金融システムの結節点として位置づけられ、ほとんどの資本が集中している。そのため、銀行はドル建てで貸し借りを行い、ドル紙幣が織り成す世界経済の生命線となっている。 このように世界金融システムで大きな力を持つ米国は、その後、ドルを地政学的な武器として活用し、直接的、間接的に他国に対して意思を貫くことができるようになった。これは、対象となる個人、団体、さらには国を自由に切り離す行動や脅しを通して行われてきた。これらの措置は本当に効果的であり、というのも、米ドルのブラックリストに載ると、深刻な状況に陥って全てを失いかねないからだ。それは米国市場に限ったことではない。これは、米国に拠点を置いていない企業も含めた第三者を、制裁を受けた企業との取引を避けるように仕向けることができるほど、大きな影響力を持つことが可能だ。 公平のために言うと、このような措置は価値ある目的を果たすことができる。例えば、米国の制裁は、テロ集団の資金を遮断し、組織犯罪に取り組むことができ、したがって、真の安全保障上の利益をもたらすことができる。しかし、近年の米国の制裁は、米国の意思を第三国に一方的に押し付けようとする手段であり、地政学的な目的を達成するためのものであることが多くなってきている。ワシントンは制裁に執着し、何千もの制裁を行ってきたが、多くの場合、シリア、北朝鮮、イランなどの小国を包括的に孤立させ、困窮させることが目的である。米国は、これらの国への食糧や人道支援物資の輸送を制裁していないと常に主張するが、制裁はしばしば、対象国との合法的なビジネス手段をすべて遮断するほど広範かつ大規模である。 ■通貨の多極化 ワシントンが政治的武器として産業規模での制裁を乱用していることを考えれば、ドルが恣意的で信頼できないと考えるようになった諸外国からの反発が強まっているのは当然である。その結果、代替決済システムを求める政治的な機運が高まり、地政学的な競争が激化する不確実な世界において、そうしたシステムは国家主権を守る証と見なされるようになった。米国からますます敵意を向けられている巨大貿易国である中国にとって、これは、米国が支援する台湾島の支配権をめぐる戦争という潜在的シナリオに直面する中で、優先順位を高めているものだ。 もし戦争が起きれば、米国はロシアにしたのと同じような対応を取り、中国企業の数千社を米ドルのブラックリストに載せて、中国経済を麻痺させようとする可能性が高い。したがって、米国の支配下にない非ドル通貨・金融システムの開発は、特に多極化に既得権益を持つ志を同じくする国々(西側諸国以外を指す)との間で優先される。このような国々は、ワシントンが「敵対国」として指定している国々だけではない。インドネシアのジョコ・ウィドド大統領は、メディアに対してこう語っている―「十分に注意してください。米国がロシアに課した制裁を忘れてはならない」。彼は、「オフショア決済や米国VisaやMastercardなどの海外決済ネットワークへの依存はもはや必要ない」と指摘し、国内決済手段の開発を促した。 結論として、代替通貨や代替決済システムの支持が高まっているのは、他国を支配する手段として米ドルが政治化・兵器化しつつあることに対する政治的反応である。さらに、米国連邦準備制度理事会(FRB)は、金利引き上げなどの決定を通じて、世界の国々を犠牲にして米国に利益をもたらす経済選択をすることもある。その結果、多くの国が米ドルを自国の経済主権と発展の障害と見做すようになり、BRICSのような国々が今、脱ドルのために行動しているのだ。もちろん、ドルの重力は常に強い。しかし、多極化の到来とともに、ドルが他者を虐待し、貧困化させるために使われる時代は遠のきつつある。 * 米国がラ米を自国の裏庭扱いしてきた歴史は長く、そこでの政治/経済的問題の背後には「必ずヤンキーがいる」と、彼の地の大衆ならば身を以て理解していることだ。彼らも この脱ドルを歓迎しているのでないか。 No.2 20ヶ月前 Post このコメントは以下の記事についています 米中攻防の中で、米国が圧倒的優位に立っているのが通貨。ドルとユーロが席巻。かつウクライ... 孫崎享のつぶやき 元外務省情報局長で、駐イラン大使などを務めた孫崎享氏。7月に発行された『戦後史の正体』は20万部を超えるベストセラー、ツイッターのフォロワーも13万人を突破。テレビや新聞が報じない問題を、日々つぶやいている孫崎氏。本ブロマガでは、日々発信。週1回別途生放送を発信。月額100円+税。【発行周期】日々。高い頻度で発行します。 » このブロマガへ
p_f RT 1 Apr, 2023 中国とブラジルの取引がドルによるイジメに打撃を与える https://www.rt.com/news/573935-china-brazil-deal-us-dollar/ 貿易において米国の通貨を捨てれば、ワシントンの意思を押し付ける能力は低下する- 政治アナリスト ティムール・フォメンコ記 中国とブラジルは、米ドルの介在を排除し、それぞれの通貨で二国間貿易を行うという協定を締結した。 年間1,500億ドルの貿易を行うBRICS2カ国間の協定は、ブラジルのルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルバ大統領の訪問が病気のため延期されていなければ、おそらく今週北京で署名されていただろう。ほぼ同時期に、中国はフランスのトタルエナジー社との間で、液化天然ガスを人民元建てで決済する初の取引を行った。 ブラジルと中国がドル以外の通貨で貿易を行うことを決定したことは、地政学的に大きな出来事であり、世界の基軸通貨を自らの覇権主義のために乱用するワシントンに対し、各国が米国の通貨を使わないことを模索していることを示すものである。もちろん、ドル紙幣は世界の貿易や経済において重要な存在であり続けるだろうが、米国人が他国を いじめたり抑圧したりするための道具としてそれを使う能力は低下しているのである。 ■ドルの覇権 第二次世界大戦後、1944年に米国とその同盟国がブレトンウッズ体制で通貨管理を行った結果、米ドルは世界の基軸通貨として、また国際貿易の基準として使われてきた。世界の商品価格は米ドルを基準に決定され、ワシントンは世界の金融システムの結節点として位置づけられ、ほとんどの資本が集中している。そのため、銀行はドル建てで貸し借りを行い、ドル紙幣が織り成す世界経済の生命線となっている。 このように世界金融システムで大きな力を持つ米国は、その後、ドルを地政学的な武器として活用し、直接的、間接的に他国に対して意思を貫くことができるようになった。これは、対象となる個人、団体、さらには国を自由に切り離す行動や脅しを通して行われてきた。これらの措置は本当に効果的であり、というのも、米ドルのブラックリストに載ると、深刻な状況に陥って全てを失いかねないからだ。それは米国市場に限ったことではない。これは、米国に拠点を置いていない企業も含めた第三者を、制裁を受けた企業との取引を避けるように仕向けることができるほど、大きな影響力を持つことが可能だ。 公平のために言うと、このような措置は価値ある目的を果たすことができる。例えば、米国の制裁は、テロ集団の資金を遮断し、組織犯罪に取り組むことができ、したがって、真の安全保障上の利益をもたらすことができる。しかし、近年の米国の制裁は、米国の意思を第三国に一方的に押し付けようとする手段であり、地政学的な目的を達成するためのものであることが多くなってきている。ワシントンは制裁に執着し、何千もの制裁を行ってきたが、多くの場合、シリア、北朝鮮、イランなどの小国を包括的に孤立させ、困窮させることが目的である。米国は、これらの国への食糧や人道支援物資の輸送を制裁していないと常に主張するが、制裁はしばしば、対象国との合法的なビジネス手段をすべて遮断するほど広範かつ大規模である。 ■通貨の多極化 ワシントンが政治的武器として産業規模での制裁を乱用していることを考えれば、ドルが恣意的で信頼できないと考えるようになった諸外国からの反発が強まっているのは当然である。その結果、代替決済システムを求める政治的な機運が高まり、地政学的な競争が激化する不確実な世界において、そうしたシステムは国家主権を守る証と見なされるようになった。米国からますます敵意を向けられている巨大貿易国である中国にとって、これは、米国が支援する台湾島の支配権をめぐる戦争という潜在的シナリオに直面する中で、優先順位を高めているものだ。 もし戦争が起きれば、米国はロシアにしたのと同じような対応を取り、中国企業の数千社を米ドルのブラックリストに載せて、中国経済を麻痺させようとする可能性が高い。したがって、米国の支配下にない非ドル通貨・金融システムの開発は、特に多極化に既得権益を持つ志を同じくする国々(西側諸国以外を指す)との間で優先される。このような国々は、ワシントンが「敵対国」として指定している国々だけではない。インドネシアのジョコ・ウィドド大統領は、メディアに対してこう語っている―「十分に注意してください。米国がロシアに課した制裁を忘れてはならない」。彼は、「オフショア決済や米国VisaやMastercardなどの海外決済ネットワークへの依存はもはや必要ない」と指摘し、国内決済手段の開発を促した。 結論として、代替通貨や代替決済システムの支持が高まっているのは、他国を支配する手段として米ドルが政治化・兵器化しつつあることに対する政治的反応である。さらに、米国連邦準備制度理事会(FRB)は、金利引き上げなどの決定を通じて、世界の国々を犠牲にして米国に利益をもたらす経済選択をすることもある。その結果、多くの国が米ドルを自国の経済主権と発展の障害と見做すようになり、BRICSのような国々が今、脱ドルのために行動しているのだ。もちろん、ドルの重力は常に強い。しかし、多極化の到来とともに、ドルが他者を虐待し、貧困化させるために使われる時代は遠のきつつある。 * 米国がラ米を自国の裏庭扱いしてきた歴史は長く、そこでの政治/経済的問題の背後には「必ずヤンキーがいる」と、彼の地の大衆ならば身を以て理解していることだ。彼らも この脱ドルを歓迎しているのでないか。 No.2 20ヶ月前 Post このコメントは以下の記事についています 米中攻防の中で、米国が圧倒的優位に立っているのが通貨。ドルとユーロが席巻。かつウクライ... 孫崎享のつぶやき 元外務省情報局長で、駐イラン大使などを務めた孫崎享氏。7月に発行された『戦後史の正体』は20万部を超えるベストセラー、ツイッターのフォロワーも13万人を突破。テレビや新聞が報じない問題を、日々つぶやいている孫崎氏。本ブロマガでは、日々発信。週1回別途生放送を発信。月額100円+税。【発行周期】日々。高い頻度で発行します。 » このブロマガへ
中国とブラジルの取引がドルによるイジメに打撃を与える
https://www.rt.com/news/573935-china-brazil-deal-us-dollar/
貿易において米国の通貨を捨てれば、ワシントンの意思を押し付ける能力は低下する-
政治アナリスト ティムール・フォメンコ記
中国とブラジルは、米ドルの介在を排除し、それぞれの通貨で二国間貿易を行うという協定を締結した。
年間1,500億ドルの貿易を行うBRICS2カ国間の協定は、ブラジルのルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルバ大統領の訪問が病気のため延期されていなければ、おそらく今週北京で署名されていただろう。ほぼ同時期に、中国はフランスのトタルエナジー社との間で、液化天然ガスを人民元建てで決済する初の取引を行った。
ブラジルと中国がドル以外の通貨で貿易を行うことを決定したことは、地政学的に大きな出来事であり、世界の基軸通貨を自らの覇権主義のために乱用するワシントンに対し、各国が米国の通貨を使わないことを模索していることを示すものである。もちろん、ドル紙幣は世界の貿易や経済において重要な存在であり続けるだろうが、米国人が他国を いじめたり抑圧したりするための道具としてそれを使う能力は低下しているのである。
■ドルの覇権
第二次世界大戦後、1944年に米国とその同盟国がブレトンウッズ体制で通貨管理を行った結果、米ドルは世界の基軸通貨として、また国際貿易の基準として使われてきた。世界の商品価格は米ドルを基準に決定され、ワシントンは世界の金融システムの結節点として位置づけられ、ほとんどの資本が集中している。そのため、銀行はドル建てで貸し借りを行い、ドル紙幣が織り成す世界経済の生命線となっている。
このように世界金融システムで大きな力を持つ米国は、その後、ドルを地政学的な武器として活用し、直接的、間接的に他国に対して意思を貫くことができるようになった。これは、対象となる個人、団体、さらには国を自由に切り離す行動や脅しを通して行われてきた。これらの措置は本当に効果的であり、というのも、米ドルのブラックリストに載ると、深刻な状況に陥って全てを失いかねないからだ。それは米国市場に限ったことではない。これは、米国に拠点を置いていない企業も含めた第三者を、制裁を受けた企業との取引を避けるように仕向けることができるほど、大きな影響力を持つことが可能だ。
公平のために言うと、このような措置は価値ある目的を果たすことができる。例えば、米国の制裁は、テロ集団の資金を遮断し、組織犯罪に取り組むことができ、したがって、真の安全保障上の利益をもたらすことができる。しかし、近年の米国の制裁は、米国の意思を第三国に一方的に押し付けようとする手段であり、地政学的な目的を達成するためのものであることが多くなってきている。ワシントンは制裁に執着し、何千もの制裁を行ってきたが、多くの場合、シリア、北朝鮮、イランなどの小国を包括的に孤立させ、困窮させることが目的である。米国は、これらの国への食糧や人道支援物資の輸送を制裁していないと常に主張するが、制裁はしばしば、対象国との合法的なビジネス手段をすべて遮断するほど広範かつ大規模である。
■通貨の多極化
ワシントンが政治的武器として産業規模での制裁を乱用していることを考えれば、ドルが恣意的で信頼できないと考えるようになった諸外国からの反発が強まっているのは当然である。その結果、代替決済システムを求める政治的な機運が高まり、地政学的な競争が激化する不確実な世界において、そうしたシステムは国家主権を守る証と見なされるようになった。米国からますます敵意を向けられている巨大貿易国である中国にとって、これは、米国が支援する台湾島の支配権をめぐる戦争という潜在的シナリオに直面する中で、優先順位を高めているものだ。
もし戦争が起きれば、米国はロシアにしたのと同じような対応を取り、中国企業の数千社を米ドルのブラックリストに載せて、中国経済を麻痺させようとする可能性が高い。したがって、米国の支配下にない非ドル通貨・金融システムの開発は、特に多極化に既得権益を持つ志を同じくする国々(西側諸国以外を指す)との間で優先される。このような国々は、ワシントンが「敵対国」として指定している国々だけではない。インドネシアのジョコ・ウィドド大統領は、メディアに対してこう語っている―「十分に注意してください。米国がロシアに課した制裁を忘れてはならない」。彼は、「オフショア決済や米国VisaやMastercardなどの海外決済ネットワークへの依存はもはや必要ない」と指摘し、国内決済手段の開発を促した。
結論として、代替通貨や代替決済システムの支持が高まっているのは、他国を支配する手段として米ドルが政治化・兵器化しつつあることに対する政治的反応である。さらに、米国連邦準備制度理事会(FRB)は、金利引き上げなどの決定を通じて、世界の国々を犠牲にして米国に利益をもたらす経済選択をすることもある。その結果、多くの国が米ドルを自国の経済主権と発展の障害と見做すようになり、BRICSのような国々が今、脱ドルのために行動しているのだ。もちろん、ドルの重力は常に強い。しかし、多極化の到来とともに、ドルが他者を虐待し、貧困化させるために使われる時代は遠のきつつある。
*
米国がラ米を自国の裏庭扱いしてきた歴史は長く、そこでの政治/経済的問題の背後には「必ずヤンキーがいる」と、彼の地の大衆ならば身を以て理解していることだ。彼らも この脱ドルを歓迎しているのでないか。
Post