• このエントリーをはてなブックマークに追加

中庸左派さん のコメント

>バイデン政権はウクライナにロシアを可能な限り領土から追い出すために必要な武器と支援を提供するつもりだと強調している。

 この記事の題名である「ウクライナは「凍結された」紛争の仲間入りをする可能性がある、と米政府高官は言う」ことから、現在の朝鮮半島における停戦休戦のような検討が、アメリカ帝国内で始まっている、ということだろう。

 別の言い方をするなら、「勝利の定義」を模索しているということだろう。

 ただし、ここにある「ロシアを可能な限り領土から追い出す」ことは、最早無理だろう。NATO東方拡大と合わせて、東南部露系ウクライナ人保護という絶対的獲得目標をロシアが手放して撤退することはあり得ない。

>唯一安全な予測はロシアがウクライナを征服しないことであると語った。

 最初からプーチンは「侵略」即ち、帝国主義的な意味での領土拡張の意図はないと述べていた。ロシア糾弾悪玉論による邪推が明らかになったということだろう。

>現時点ではウクライナはロシアに対する反撃の準備を進めているが、その時期はまだ不透明だ。

 アルチェモフスクが陥落し、ウクライナの反攻は未だ不明。最近では、ウクライナ西部フメリニツキー付近において、イギリス軍から供与された劣化ウラン弾の貯蔵庫がロシア軍の攻撃で爆破されたらしい。ウクライナの自業自得だが、地域住民からすれば、放射能汚染にさらされるかもしれない。戦争の悲劇の一つになり得る。
 https://switch-news.com/incident/post-91904/

>米国政府関係者やアナリストの中には、朝鮮戦争が一つのモデルとなる可能性があると言う人もいる。朝鮮戦争は1953年に休戦協定が結ばれ、活発な戦闘が終結したが、70年たった今でも、戦争は正式に終結したとは宣言されていない。

 クリミアを含むウクライナ南東部のロシア軍解放地域に軍事境界線を引く形で、停戦休戦となるなら、実質的にはロシアの勝利であろう。

 もっとも、NATO東方拡大の問題やネオナチ排除の問題も重要な交渉課題だろう。

 ただ、交渉の力関係を考えると、片や国土が荒廃し、国外避難した国民も多い。産業、インフラ基盤も破壊され、一刻も早く復興しないといけないウクライナと、国内はほぼ無傷の軍事大国ロシアとでは、交渉に臨む余裕は圧倒的にロシア有利ではないか。それが現実だろう。

 ウクライナの「敗北」をどのように定義するのか、別の言い方をするなら、どのように勝利を装うのか、アメリカ帝国や西側、G7はよく検討すれば良いのだが、時間はアメリカ帝国らやウクライナの味方ではない。時間はロシアの味方だ。

 何故なら、この瞬間もウクライナ人が死に続け、家を追われ、貧困の淵に立たされ続けているからだ。
No.10
18ヶ月前
このコメントは以下の記事についています
孫崎享のつぶやき
元外務省情報局長で、駐イラン大使などを務めた孫崎享氏。7月に発行された『戦後史の正体』は20万部を超えるベストセラー、ツイッターのフォロワーも13万人を突破。テレビや新聞が報じない問題を、日々つぶやいている孫崎氏。本ブロマガでは、日々発信。週1回別途生放送を発信。月額100円+税。【発行周期】日々。高い頻度で発行します。