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中庸左派さん のコメント

 今回のG20で見せつけられた国際政治経済の現実と、南アフリカでのBRICS加盟拡大という現実は当然セットで考えるべきだ。

 G7も参加したG20では、ウクライナでの戦争を巡る反ロシア多数派形成が失敗し、世界世論はロシアに対して、中立を装いつつ、実質的にロシアを支える側に回ったと言ってよいのではないか?

 その意味で、アメリカ帝国の一国覇権が一層、掘り崩された。

 その重要な要素が、8月の南アフリカでのBRICSにおける5R計画と呼ばれる、ドルにかわる決済システムの模索だろう。

 Paul Craig Robertsというアメリカ人の高名な経済学者はSPUTNIKのインタビューに答えて、次のように語った。

「「ドルの問題は、非常に長い間生じていた。アメリカが近い将来直面する可能性の高い問題を理解するためには、アメリカ経済の何が間違っているのか、そしてドルがどのように深刻な価値喪失に追い込まれているのかを理解する必要があると思います」と、ベテラン経済学者で作家、元財務次官補のポール・クレイグ・ロバーツ博士はスプートニクに語った。」

 ドルの基軸通貨性を担保していたのはペトロダラーという仕組みだった。石油購入資金として、各国に外貨準備としてドルを購入させる。その結果、アメリカ帝国はどんなに財政破綻が進もうと、各国にアメリカ帝国国債を買わせて、延々とドルがアメリカ帝国に還流することになった。

 永遠に借金ができる?普通にオカシイ。歪んでいる。

 借金して何でも手に入る。だから、アメリカ帝国には今や軍需産業くらいしか、競争力のある産業はないのではないか?あとは、インチキワクチンを作る製薬会社くらいか?

 だが、ロシアの特別軍事作戦に対する経済制裁、SWIFTからのロシア排除、ロシアの対外資産略奪という暴挙から、ケチが付き始めた。

 ドルを自国の都合のために兵器化したしっぺ返しがアメリカ帝国に降り掛かった。ドル信認が低下し始めた。ドルを持っていても、アメリカ帝国の勝手により、好きなように巻き上げられてしまう。冗談じゃない、と。

「「(他国が)ドルの蓄積をやめ、準備金として保有する国債の購入をやめ、米国株の購入をやめたらどうなるか、これらの金融資産の価格は下落するだろう。債券価格が下落すると金利が上昇し、為替市場でのドルの価値も下落します。そしてドルが下落すると輸入価格が上昇します。つまり、米国の状況は、オフショアリングとグローバリズムにより米国が輸入に依存するようになったため、金利の上昇、ドル価値の下落、そしてそれによる国内インフレの上昇である」とロバーツ氏は述べた。」

https://sputnikglobe.com/20230818/paul-craig-roberts-the-end-of-us-dollar-hegemony-1112683970.html

「「すでにそうなっている。これは徐々に起こることで、進むにつれて勢いを増し、結果はより明白になる。人々はドルからの脱出を急ぎ、それが始まれば、プロセスはより早く進む。これが私の説明だ。もちろん、それは無視されている。これについての議論はない。連邦準備制度理事会(FRB)がこのことを知っているとしても、その兆候はない。米国財務省が知っているとしても、その兆候はない。新自由主義の経済学者たちは、実際には何も変わっていないふりをしている。しかし、彼らが気づいていないのは、基軸通貨が必要ないということだ。
「ロシア経済は、莫大なエネルギー埋蔵量と膨大な農業ポテンシャルによって非常に強力だ。中国経済を見ても、米国をはるかに凌ぐ製造業大国だ。これらは実質的な基盤を持つ通貨を持つ国であり、ドルのような脆弱性はありません」とエコノミストは説明し、「今日、各国が自国通貨で取引し、自国通貨で貿易収支を決済することは完全に可能です」と強調した。」

 強調するために、もう一度。「彼らが気づいていないのは、基軸通貨が必要ないということだ。」

 そうだ。基軸通貨は必要ないのだ。我々はドルの基軸通貨性を洗脳されていただけだ。

 そして、それは取りも直さず、アメリカ帝国の覇権が必要ない、ということだ。拡大BRICS、G20は世界中のヒトビトがそのことに気づいたことを満天下に知らしめた。

 それでも、この日本の多くのゆでガエルB層たちは、相変わらず茹でられ続けている。いつまで茹でられ続けているのか、ある意味、見ものである。
No.2
13ヶ月前
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孫崎享のつぶやき
元外務省情報局長で、駐イラン大使などを務めた孫崎享氏。7月に発行された『戦後史の正体』は20万部を超えるベストセラー、ツイッターのフォロワーも13万人を突破。テレビや新聞が報じない問題を、日々つぶやいている孫崎氏。本ブロマガでは、日々発信。週1回別途生放送を発信。月額100円+税。【発行周期】日々。高い頻度で発行します。