• このエントリーをはてなブックマークに追加

p_fさん のコメント

userPhoto
p_f
>>10
―次期大統領選挙の候補者についてはどう思われますか?ロバート・ケネディと彼の戦争観についてはよく耳にします。彼以外に反戦の立場に立つ候補者はいますか?

最も重要なのはケネディだと思う。ちなみに、私自身も彼を支持している。それから、緑の党のコーネル・ウェスト候補が第三勢力になり得る。民主党予備選にはケネディがいる。彼の名前は今でも大きな意味を持ち、米国では尊敬されている。ウェストもウクライナ戦争にはある程度反対しているが、この問題に対するケネディの立場はより明確だ。この2人が最も重要な反戦候補である。未知のカードはトランプだ。彼は、戦争は災難であり、24時間以内に終結させると述べている。しかし、彼は大統領時代、ロシアとの関係正常化を宣言し、それが実現しなかったことを忘れてはならない。彼は基本的にウクライナを支持し続けた。従って、彼の行動は必ずしも宣言と一致していない。それはともかく、彼はウクライナでの戦争を終わらせるというスローガンを掲げて選挙運動をしている。従って、彼は反戦候補と分類されるのかもしれない。彼を支持する有権者が明らかに戦争に反対していることを思い出してほしい。バイデンの支持者は戦争遂行を支持している。つまり、民主党と共和党の間には、このような問題に関して明らかな分裂があるのだ。この結末がどうなるかは見てのお楽しみだ。

―しかし、2017年にウクライナに攻撃用武器を最初に供与したのはトランプ政権だったことを忘れるわけにはいきません。つまり、タカ派に近い政権だったということでしょう。これをどう説明しますか?一部の人々が主張するように、米国の外交政策の領域で戦略的な決定を下す、ある種の隠されたディープ・ステートの構造があるのでしょうか?ウクライナ領内でのロシアとの代理戦争の背後に誰がいるのでしょうか?恐らくジョー・バイデンではないでしょう...

そう、それをディープ・ステート(深層国家)と呼ぶ人もいる。例えば、私の出版社はこの用語を好んでいる。私はマルクス主義者だが、代理戦争はブラックロック等の金融セクターの企業に代表される支配層、つまり最も裕福な層によって支えられていると言える。アイゼンハワーが既に語り、警告した兵器産業でもある。ところで、ブラックロックといえば、兵器産業にも投資し、ウクライナに深く関与していることを忘れてはならない。ブラックロックは、ウクライナへの投資という経済的利益と引き換えに、ゼレンスキーに復興支援を約束した。つまり、支配層はこの戦争とウクライナの勝利に多くの投資をしているのだ。ウクライナのようなプロジェクトに大金を投資すれば、そのプロジェクトが存続することを望む。兵器産業は戦争が続く限り儲かる。だから、戦争ができるだけ長く続くことを望んでいる。同様に、20年続いたアフガニスタンでの戦争も支援した。ウクライナでも同じことが起こることを望んでいる。勿論、これは非常に皮肉な計画だ。ロシア人だけでなく、ウクライナ人もどんどん死んでいるのだから。しかし、これが起きていることの本質であり、トランプ政権がウクライナを支持し、ロシアに対抗する動機でもあったと思う。トランプ自身もこの罪を犯しており、それは、バイデン政権におけるビクトリア・ヌーランドやブリンケンに相当するジョン・ボルトンやマイケル・ポンペオといった新保守主義者にトランプが取り囲まれていたからだ。一般的に、どの政権でも同じ人物や同じタイプの人物が繰り返し登場する。これは支配者層がそれを望んでいるためでもあり、彼らしか知識を持たないためでもある。だから戦争が増えるのだ。

―軍産複合体の所為とも言えるのでしょう。最近、欧州の幾つかの国、デンマークやオランダがF-16戦闘機をウクライナに引き渡し、後にF-35戦闘機と交換するという話を聞きました。バイデン政権のウクライナ支援には限度があると思いますか?この政権は、第三次世界大戦や核衝突に繋がる可能性があるような、余りにも広範囲に影響が及ぶような行動も検討するかもしれない?それとも、そのような脅威については全く考えていないのでしょうか?

これらの問題については、政権内部や支配階級の間でも意見が分かれている。核戦争のリスクを覚悟している者もいれば、そうでない者もいる。バイデンは最近、歴史上これほど核の黙示録に近付いたことはないと語った。これは、バイデンが思考を明晰にしている瞬間には、存在するリスクを理解していることを意味している。彼の政権はそのリスクに備える準備ができているのだろうか?そうかもしれない。奇妙なことが起きている。ニューヨークでは、核攻撃の際にどのように行動すべきかを指示するキャンペーンが行われた。だから私は、そのリスクを冒してでも核戦争を、恐らくは限定的なものではあるが、始めたいと考えている人たちがいるのではないかと危惧している。リベラルなウェブサイト「ハフィントンポスト」による最近の紹介記事では、気候を冷やすための限定的な核兵器使用の利点について考察している。だから我々は、支配者たちがどれほど狂っているかを過小評価すべきではない。彼らは無限の利益を追求し続けるために戦争をする用意がある。欧州の人々にはそれが分かると思う。私たちはこの戦争を終わらせなければならない。越えられない境界線の存在に関する質問に対しては、それが存在するかどうか分からない―と答えたい。バイデンは、例えばF-16の場合、そのような限度について繰り返し語り、そして自ら限度を越えてきた。

―ポーランド、スロバキア、ハンガリー、そしてこの地域の他の幾つかの国々は、この戦争の最前線からそう遠くありません。ワシントンやロンドンの戦争シナリオの作成者が、ポーランドやリトアニアなど、この地域の国々を直接紛争に巻き込もうとする可能性はあると思いますか?

特にポーランドに関しては、そのリスクは高いと思う。今日のウクライナでは、最後のウクライナ人までロシアと戦おうという米国の意志の効果を目の当たりにしている。これは極めて皮肉な計画だ。私は、彼らが最後のポーランド人までロシアと戦おうとしているのではないかと危惧している。ポーランド、ハンガリー、その他の国々の人々がこのことに気付くことを願っている。それは彼らの利益に沿うものではない。国家として消滅するかもしれないウクライナが、この代理戦争から利益を得ることもない。そして米国は、そんなことは全く気にしていないと思う。彼らはロシアを弱体化させることしか考えていない。ロシアがポーランドと交戦することでそれが可能になるなら、米国はそうする立場にある。前線に近い国々、特にポーランドにとってはリスクが高いと思う。従って、ポーランド人は この問題については細心の注意を払い、良心の吟味に導かれるべきだ―ポーランドが第二のウクライナ、第二のアフガニスタンになるのを望まないなら。ポーランドがこの恐ろしい戦争の戦場になるのを望まないなら―そして、まさに そうなってしまう可能性がある。

―余り楽観的ではありませんが、非常に現実的です。ポーランドの支配層がこのような傾向にあることは、私も全く同感です。このような対話を有難うございまいした。近い将来、国際政治においてもっと楽観的な話ができるようになることを願っています。

有難う!
No.11
14ヶ月前
このコメントは以下の記事についています
孫崎享のつぶやき
元外務省情報局長で、駐イラン大使などを務めた孫崎享氏。7月に発行された『戦後史の正体』は20万部を超えるベストセラー、ツイッターのフォロワーも13万人を突破。テレビや新聞が報じない問題を、日々つぶやいている孫崎氏。本ブロマガでは、日々発信。週1回別途生放送を発信。月額100円+税。【発行周期】日々。高い頻度で発行します。