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中庸左派さん のコメント

>根底にあった非米VS親米の世界史的攻防、■引き出された「三正面作戦」ウクライナ戦線では、親米覇権勢力の側の敗色が濃厚

 私はこの論者の主張に完全に賛同するものである。

 しかし、しかし、である。私はどうしても日本の言論状況を踏まえた時、大問題を指摘せざるを得ない。

 それは、日本の言論状況(ごく一部を除き)は、この状況認識や世界観に全く追いついてはいない、という根本問題である。

 それはサヨクを含む日本人の問題意識は、基本的に民主主義対専制主義だとか、パックスアメリカーナといった旧態依然とした思考回路から全く脱することが出来ておらず、アメリカ帝国の戦争屋、ネオコンと全く同じ主張を垂れ流すメディアの大本営発表と受け手の劣化B層により、ある意味で世界世論と隔絶したガラパゴス言論空間を形成している様相である。

 それは事実を無視した、その意味では、大前提を欠いた言論の横行と、それ故の誤謬の連鎖と言い換えて良いと思う。

 ウクライナでの戦争を例にあげるなら、簡単に状況を証明できる。

 まずウクライナの現状を見てみよう。

https://www.nytimes.com/2024/01/08/world/europe/ukraine-troops-exhausted-defensive.html

https://abcnews.go.com/International/hospital-sees-30-rise-wounded-ukrainian-soldiers-doctor/story?id=106197525

https://archive.is/2024.01.10-050810/https://www.wsj.com/world/europe/ukraine-russia-war-counteroffensive-5b309595

 以上は全て西側メディアによる報道である。加えて、アメリカ帝国による支援は先細り確実である。

https://thehill.com/policy/defense/4368496-congress-ukraine-aid-2024-supplies-dwindle/

 現実的にウクライナが勝利する条件や材料はない。しかも、ロシアには戦術核という最終手段もある。

 この事実を大前提として、論議のベースにしないと、まともな議論は出来るはずがない。日本においては、この「事実認識」が完全に欠落している。

 その証拠として、サヨクによるウクライナ情勢認識の誤謬の典型、日共の見解を引用したい。

「ロシアの侵略1年 無条件で直ちに完全撤退せよ」

https://www.jcp.or.jp/akahata/aik22/2023-02-23/2023022301_05_0.html

 ロシアの侵略?この事実認定は間違いである。でなければ、バランスを欠く。何故なら、この認識はウクライナ政治に関するネオコンの暗躍や、ウクライナネオナチらによる露系ウクライナ人虐殺といった事実を不問にしているからだ。

 無条件で直ちに完全撤退せよ?一言、するわけなかろう、である。無条件撤退するなら、そもそもロシアは特別軍事作戦を開始しないわ。しかも、現状勝っているし。これなど、サヨク的空論と言おうか?或いはネオコン的愚論と言おうか?どちらにしても非現実的な絵空事である。

 そしてなにより問題なのは、この「ロシアの侵略」とか「無条件で直ちに完全撤退せよ」という論理からは、件の論者が言う「非米脱覇権VS親米覇権の戦い」という構図、世界観は論理的に導き出し得ない。
 何故なら、非米側はロシアに覇権や侵略の意図を見ていないからこそ、アメリカ帝国らによる経済制裁や武器支援に与していないからである。それは、経済制裁にも関わらず、何故ロシアが経済的に強靭であるのか?SCOやBRICSにおけるロシアの地位を考えるなら、明瞭に読み取れる。
 逆に、「ロシアの侵略」という論理構成を大前提とするなら、防衛費増額やパトリオットのアメリカ帝国への逆供給にどのような反対の論陣を張るのか?
 「ロシアの侵略」は、サヨクとして、事実認定としても論理構成としても完全な間違いである。その証拠は、防衛費増額やパトリオット逆供給になんら有効な反対の論理を構築出来なかったテイタラクに示されている。
 
 少なくとも、サヨクが肝に銘じるべきことは、徹底的な反米であり、反安保でなければならない。そうでなく、ロシアの侵略を言うことは、ネオコンや戦争屋、軍産複合体のプロパガンダに絡め取られるおろかな愚かな態度でしかない。
 徹底的な反米であり、反安保を選択すれば、沖縄の基地問題も、横田空域や地位協定の問題についても、一貫した論理を構築出来るであろう。

 このB層ばかりの日本において、サヨクまでネオコンのプロパガンダに絡め取られて、ウクライナ戦争を煽るのは汚点以外の何ものでもない。そして「非米脱覇権VS親米覇権の戦い」という思想的地平に立つには、それは大前提となる。
 逆にそれすら出来ないなら、日本はアメリカ帝国とともに自滅する以外、「救い」はないのではないか?
No.5
8ヶ月前
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「世界大動乱」と日本の進路  今、世界は「大動乱」。そこには「米国中心の国際秩序の破綻」があると言われる。  戦後日本のあり方の根本が問われるこの大事変。日本の進路がその根本から問われている。 1 根底にあった非米VS親米の世界史的攻防  旧年、2023年、米国中心の国際秩序、すなわち米覇権秩序は、その破綻と崩壊を世界の前に露呈した。  この歴史的な年を振り返って、今、問われているのは、その破綻と崩壊の元でくり広げられた非米と親米の世界史的な攻防をどうとらえ、それとの関連で、旧年、日本における事態の進展をどうとらえるかではないだろうか。 ■引き出された「三正面作戦」  「米中新冷戦」が米国により一方的に宣布され開始されたのは2019年。それに先駆けること2年、米国家安全保障会議では、現状を力で変更する「修正主義国」として中国とロシアが名指しされた。貿易戦争に始まった中国に対する「新冷戦」は、それに基づく
孫崎享のつぶやき
元外務省情報局長で、駐イラン大使などを務めた孫崎享氏。7月に発行された『戦後史の正体』は20万部を超えるベストセラー、ツイッターのフォロワーも13万人を突破。テレビや新聞が報じない問題を、日々つぶやいている孫崎氏。本ブロマガでは、日々発信。週1回別途生放送を発信。月額100円+税。【発行周期】日々。高い頻度で発行します。