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中庸左派さん のコメント

>他方円安のしわよせをうけたのは家計である。消費物価の上昇は、家計の購買力を大きく押し下げた。
 22年以降、GDPのうち、家計=労働者の取り分を示す労働分配率は、低下傾向をたどっている。

随分昔であるが、もう亡くなられたが、「会社学」で有名な奥村宏氏の著作を読んだことがあった。『株式会社はどこへ行く 株主資本主義批判』(岩波書店)という本だったと思う。

会社は誰のものか?がテーマの本であった。この本は20年以上前の本だが、そこで展開された議論は今も変わらぬ意義があるのだろう。

奥村氏は、日本企業に特有の株式持ち合いが、無責任の体系になっていると批判していた。

------------ ここから引用------------

問題は,コーポレート・ガバナンスです.法人による相互持合いになっている企業は,いったい誰が支配していることになるでしょうか.企業は株主のものとか,株主を重視せよ,などと言われますが,株主は法人であり,その法人の株式も法人が大半を所有している.身体も意思もない法人が法人を支配している構図は,結果として「無責任資本主義」となります.今日に至るまでの企業社会の問題の多くはここに起因するといって過言ではありません.

------------ 引用ここまで------------
https://www.iwanami.co.jp/smp/book/b255769.html

円安の恩恵を受ける海外進出企業に対して、輸入インフレに直面する家計。 そもそも、日本企業の利益は家計の利益とイコールではない。ということは、現在も変わらない構図だろう。

では、会社は誰のため、何のために存在するのか?この問いはますます答えの見えない、闇とか、霧の向こうではないか?

ブラックロック(Black Lock Inc.)という、アメリカ帝国に本拠がある世界最大の資産運用会社をご存知のムキも多いだろう。
以下はWikipediaからの引用。

「2021年末における同社の運用資産残高(AUM)は10兆ドル(約1,153兆円)と日本のGDPの2倍に相当する。世界30ヶ国・70のオフィスに合計18,000名超の従業員が在籍している。ファンドを通じて主要な上場企業の大株主となっており、S&P500種株価指数を構成する企業の80 %以上において、持ち株比率の上位3位までに入っている。日本ではブラックロック・ジャパン株式会社としてビジネスを展開しており、383名の社員が在籍している(2022年末時点)」


https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%83%83%E3%82%AF

「S&P500種株価指数を構成する企業の80 %以上において、持ち株比率の上位3位までに入っている」

要するに、多くの大企業の大株主になっている、と。ということは、利益優先の資産運用会社ブラックロックの意向が多くの大企業を牛耳る構造になっているわけだ。従って、会社は誰のものか?という問いは、今や深刻な問題だ。実質的な会社の独占、寡占化だろう。

少なくとも、家計、或いは庶民の利益とブラックロックの利益は関係ないだろうということは分かる。

だから、ブラックロックの利益が庶民、民衆の不利益となることは起こりうる。ブラックロックは軍産複合体の株主でもあるのだから。


「● 2014年1月から2017年10月にかけて、総額5,250億ドル(約55兆円)ものお金が核兵器製造企業に提供されていたことがわかりました。このうち1,100億ドル(約11.5兆円)は、ブラックロック、バンガード、キャピタル・グループのたった3社によるものでした。」

https://peaceboat.org/22714.html

要するに公共の利益、民衆の利益、或いは政府の利益とは別に、資金力や強い政治力を源泉として、独自の利益を追及する組織は多数存在するということだ。

それを、別名、DSと呼んで良いと思われる。逆に、こういうハナシを「陰謀論」で片付けるのは幼稚な小学生的B層思考である。

さて、会社は誰のものか?

このブラックロックは日本法人も有しているし、日本企業の株主でもある。

以前、財政再建不要論派は、政府債務(負債)は、日本企業の資産である、みたいなバランスシートの仕組みを応用して、日本の架空のバランスシートを想定して、大丈夫!ガンガン国債発行(借金)をすれば良いという主張をしていることを紹介した。

だが、どうだろうか?ブラックロックは日本企業の株主でもある。日本企業と一口に言うが、今、ホントに純粋な日本人のための日本企業は存在するのか?否、そんなもの、もともとあったのか?

日本のバランスシートは安泰だ!と豪語する自信満々なムキは、こんな記事を読んでも、たじろがない、揺るがないのだろう。

「ブラックロック、日本株オーバーウエート拡大、日本国債はウエート下げ」

https://jp.reuters.com/markets/japan/4LR3U67GPNOM5NARSLP3ZO37VA-2024-03-25/
No.4
7ヶ月前
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日経平均を上げたのは海外で稼ぐ企業 家計の取り分は増えないまま 山口範大(エコノミスト)   日経平均株価が一時、 4 万円を超えた一方で、家計は景気のよさを実感できないのはなぜか。 株価には企業業績を反映して動く面と投資家の期待感を反映して動く面があるが、ここではそのうち 企業業績と、家計の景況感の乖離 という観点から考察する。 非製造業の海外進出  まず挙げられるのは 日本企業、特に大手企業の収益源は、国内市場とは限らない という点である。   1990 年代以降、多くの日本企業は海外での企業活動を加速させてきた 。 海外進出の目的は、当初の生産拠点の移管から、現地市場の獲得へと次第に変化している。 国際協力銀行の調査によると、 2000 年代初頭に 20 %台であった日本製造業の海外売上高比率は、 足元で 40 %近い。 同調査は中小企業も対象に含むが、日経平均を構成するような大手企業ではさらに高い傾向がある。  したがって、 日本企業
孫崎享のつぶやき
元外務省情報局長で、駐イラン大使などを務めた孫崎享氏。7月に発行された『戦後史の正体』は20万部を超えるベストセラー、ツイッターのフォロワーも13万人を突破。テレビや新聞が報じない問題を、日々つぶやいている孫崎氏。本ブロマガでは、日々発信。週1回別途生放送を発信。月額100円+税。【発行周期】日々。高い頻度で発行します。