「私は幾度となく、主張しているが、在日米軍の基地問題は、在ドイツの米軍基地問題を参考にするのがよい」と孫崎氏は言うが、私は第三国と米国の基地問題は参考にしてもほとんど無意味だ。

2国間の外交問題は、過去の歴史を引きずっており、米独の外交交渉結果を米日の外交交渉に期待するのは無理である。

例えば、第二次大戦直前の米国内にはドイツからの移民の声が強く反映しており、米国が英国に強調してドイツに対して宣戦布告することはかなり困難であった。ところが、当時の米国に住む日本人移民は農民移民が大半で米国社会の階層としては傍流であり、むしろ弾圧される立場にあり、その声はほとんど米国市民の意見としては無きに過ぎなかった。たとえば、リンドバーグは大西洋横断を始めて成功させたものとして著名であり、彼は一党市民としてかつドイツ系移民として、堂々と米国が欧州の戦争に巻き込まれるべきではないという、中立論を説いており、一般市民のかなりの同調を得ていた。第二次大戦後も、ドイツでのニュールンベルグ戦犯裁判では、ヒトラー以下数名のナチス幹部は有罪になったが、その下にいた者の大半は、兵、下士官だけでなく、将校、将軍のような指揮官たちも、弁護士のいうとうり、彼らは単に命令に従ったという理由で、責任を逃れているのは、日本の兵隊が兵卒にいたるまで、アジアの各地で絞首刑、銃殺刑にあったのとは大違いの処遇を受けていることを考えるべきだ。米国ーー＞英国ーー＞アングロサクソン民族＝ゲルマン民族という血筋は争えない。そんなことも、説明しなければ分らない、孫崎のような人物が世論を動かそうとしている限り、日本はまだまだ、世界のなかでは幼稚園なみ。中国人のほうがよっぽど西欧人慣れしているのは、鎖国なんて時代も無く、また、ユーラシア大陸にあって、古代から、シルクロードなどを経て、文明と血の混合を経験してきたからだろう。近代では金鉱や鉄道事業に奴隷的条件で移民を輸出し、いかにして西欧文明の下で暮らしてゆくかと言うことを、血と汗で学んできたのが中国人である。もちろん、日本人に今更それを真似せよというつもりはない。ドイツでも中国でもない、第三の道を自分で考えだすしかない。ドイツを参考にしても無意味。