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麻雀最強戦2016 歴代最強位代表決定戦 レポート
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麻雀最強戦2016 歴代最強位代表決定戦 レポート

2016-09-22 19:00
    沢崎、得意の「引き出し」で決勝進出!

     歴代最強位代表決定戦は、同時に最強戦の歴史を思い起させる場でもある。対局開始前、配信の解説を務める張敏賢(第19期最強位)が各選手に熱心にインタビューをしていた。
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    張「放送を見る人には、各最強位がどのような時代に、誰を相手に、どんな勝ち方をしたのか知らない人も少なくない。ですから、解説の中でそこにも触れていきたいと思いまして」

     初代最強位の片山まさゆきから現最強位の前田直哉まで実に25年以上の隔たりがある。片山や小島武夫(第2期最強位)が優勝したのはバブル時代の真っただ中。片山が雀鬼会会長の桜井章一さんの代走として出場し、そのまま優勝したこととや、小島が優勝した後、会場地下のバーで関係者全員に奢って賞金を一晩で使い果たした話を知らない人も多いだろう。

     第12期最強位の森山茂和は、準決勝で故・安藤満や前原雄大を相手に勝ち上がり、決勝では沢崎誠(2013最強位)や、多井隆晴を倒して優勝している。また、オーラスを四暗刻ツモで逆転優勝し、表彰式ではプレゼンターから「見事な役満だった。感動した!」と小泉純一郎・元総理の名セリフをもじった挨拶をされた鈴木たろう(第15期最強位)。そして、福田聡(第20期最強位)が勝った時は、初めてニコニコ生放送で対局が配信された記念すべき年でもある。

     そんな新旧レジェンド達が集う今回の代表決定戦。A卓は鈴木・水沼利晃(2012最強位)・小島・沢崎の組み合わせで始まった。
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     多くの人が本命視していたのが鈴木たろうだったが、南1局の親で、沢崎のタンピンイーペーコードラ3のハネ満に放銃し、圏外に去る。
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     残り3人が僅差の競り合いの中、南3局でトイトイをアガった水沼が一歩リード。
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     残る1つの椅子をラス親・沢崎と小島が争う構図となった。
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     オーラス。3700点のビハインドを追う小島は、タンヤオ含みドラ1の手でpai_s_6s.jpgpai_s_9s.jpg待ちのリーチ。
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     pai_s_6s.jpgなら文句なしに逆転。ツモか沢崎直撃、他家からでも裏ドラ1枚でOKだ。直後、沢崎は小島のロン牌を掴む。
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    沢崎「pai_s_9s.jpgは嫌な予感がした。ぱっと見たら、pai_s_6s.jpgpai_s_9s.jpgは山に1枚か2枚。これならオリて流局を狙う価値がある」

     危険牌を掴んだこと、そして小島がリーチ棒を出したことで、ノーテン罰符でも変わらない点差になったことで沢崎はオリる決意を固める。ところが、である。断ラスで国士狙いの鈴木が小島の無筋を飛ばしてくる。
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     ラス親の沢崎がオリたので、次局がない。国士の可能性がある限り、アガリに向かわなければ敗退が確定してしまうのだ。そんな中、沢崎は4枚目のpai_s_9m.jpgをツモ。これで鈴木の国士が消えた。

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    沢崎「ただ、僕が分かっただけではダメなんです。たろうさんに、国士の可能性がなくなったことが伝わらなければ、彼の押しは止まらないので」

     沢崎は前巡にもpai_s_9m.jpgを捨てていた。だが、鈴木の手は直前に手変わりしている。今度のpai_s_9m.jpgは国士に捕まってしまうかもしれない。「今回の戦いで一番苦しいのがこの場面でした」と語った沢崎は、意を決してpai_s_9m.jpgをツモ切る。これで鈴木の攻撃も止み、流局。沢崎は、水沼とともに決勝進出を果たした。

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     沢崎という打ち手を紹介する際、必ずと言ってよいほど出てくるのが「引き出しの多い打ち手なので‥」という言葉である。さきほどのpai_s_9m.jpg捨てもその1つだと沢崎は言う。

    沢崎「引き出しというのは、『相手が何を欲しているか』を考えれば、必然的に出てくるものです。あのpai_s_9m.jpgも普通は切らない。けど、今回は切らない方が不利になるから捨てたんです」



    冴える勝負勘が生んだ倍満

      予選B卓は、福田・藤田晋(2014最強位)・片山・森山の並びで開始。
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     ここは東場で片山がサンドバッグ状態になる。
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     東3局で福田にタンピンドラ2、東4局では森山とのリーチ合戦で親満を放銃。
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     その後、藤田がタンヤオドラ3をツモアガり、A卓同様、三つ巴の争いとなる。
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     ここで先に抜け出したのが森山。藤田の親で満貫をツモり安全圏に。
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     オーラスはスピードを駆使した福田の仕掛けが決まり、森山・福田が決勝進出を果たした。
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     決勝メンバーが出そろった時、沢崎はこう思ったという。
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    沢崎「このメンツは自分向きだと思いました。皆、良く知ってますし。森山会長はもちろん、水沼さんも一度対決してますし。福田君は以前、半年ほど同じ雀荘で仕事をしたので。この3人なら普通の手組で戦える、と」

     対局が大きく動いたのが東2局だ。親の森山がpai_s_1s.jpgpai_s_4s.jpg待ちでリーチをかけていた。
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     これを受けた沢崎の手牌はチートイツドラ2のイーシャンテン。
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     森山の捨て牌はマンズとピンズの下が出ているだけで、沢崎の余り牌は全て無スジ。
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     ドラ2とはいえ、テンパイまで最低2スジを通す必要があり、かつ追いついても単騎待ちだ。アガれば高いが、ここは様子見で回る打ち手が多いのではないだろうか。

     だが、沢崎はpai_s_4m.jpgを押していく。

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    沢崎「このときは
    pai_s_7s.jpgの方が嫌でした。pai_s_6p.jpgはリーチに中スジですが、森山さんだけに当たるかも。で、森山さんはpai_s_1m.jpgを捨てていて、pai_s_4m.jpgpai_s_7m.jpgはなさそうだったのでpai_s_4m.jpgから捨てました。次にテンパったらpai_s_7m.jpgで待つつもりでした。pai_s_7m.jpgは山に1枚は残っていそうでしたし」

     沢崎は9割方、待ちは読まず、感覚的に嫌だなと思った牌だけを止めるという。特に、この日の沢崎は感覚が鋭く、「予選でツモり四暗刻をテンパったけど『アガリ牌は良くて山に1枚だな』と思いました。対局後に(解説の)前田くんに聞いたら空テンだったと。でも、今日は感覚が合ってると実感しました」と語っている。

     次巡、pai_s_7s.jpgを重ねた沢崎は打pai_s_6p.jpgで追っかけリーチ。
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     前巡に捨てたpai_s_4m.jpgpai_s_7m.jpg待ちの良い後押しになっている。さらに途中、森山がpai_s_5m.jpgを暗槓。そして、そのロン牌をイーペーコーのpai_s_1s.jpgpai_s_4s.jpg待ちでヤミテンしている福田が掴んだ。

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     本来の福田なら、捨て牌にpai_s_4m.jpgがあろうがpai_s_5m.jpgを暗槓されていようが、危険牌はキッチリ止める打ち手である。だが、半荘1回のトップ取りでファイナルの切符を掴めるという誘惑には勝てなかった。pai_s_7m.jpgで沢崎への放銃。裏ドラが4枚乗って倍満となる。

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     この後、一旦は森山にトップを奪われるものの、ラス前に再逆転を果たした沢崎がそのままゴール。2年ぶりに最強戦ファイナルの舞台に返り咲いた。
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    沢崎「今回は予選・決勝を通じて僕だけツモアガリがありませんでした。次のファイナルのC卓では、最初に700・1300以上の手をアガれれば、そのまま優勝できると思いますよ」と独特の沢崎節でファイナルへの意気込みを語ってくれた。



    すげえ一打・福田聡プロ

     1人大きく沈んだ点数で南場を迎えた福田。
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     ドラ2の手牌で早いテンパイが入ったが、ここでどう打ったか?
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    福田、打pai_s_pe.jpgでヤミテン

     昔に比べ、カンチャン待ちでもリーチをかける打ち手が増えた。だが、この手は単純カンチャンよりリャンメン変化の幅が広く、pai_s_2m.jpgpai_s_6m.jpgpai_s_7m.jpgpai_s_9m.jpgの4種でピンフになる形。ヤミに構えた福田は先にアガリ牌のpai_s_4m.jpgを引くが、ここで打pai_s_4m.jpgのフリテンリーチを敢行。

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     すぐにpai_s_5m.jpgをツモって裏ドラ1枚でハネ満に仕上げたのである。
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    pai_s_4m.jpgでアガらないのは当然。あとは待ち選びの問題」と福田はサラっと語った。実はこの2メンツカンチャン(ただし19牌を含まない形)は、アガリ牌を引いたとき、2つの3メン待ちを選べるところがミソ。

    pai_s_2m.jpgpai_s_4m.jpgpai_s_5m.jpgpai_s_6m.jpgpai_s_7m.jpg ツモpai_s_3m.jpgpai_s_1m.jpgpai_s_4m.jpgpai_s_7m.jpg待ちかpai_s_2m.jpgpai_s_5m.jpgpai_s_8m.jpg待ちかを選択可能
    pai_s_3m.jpgpai_s_4m.jpgpai_s_5m.jpgpai_s_6m.jpgpai_s_8m.jpg ツモpai_s_7m.jpgpai_s_2m.jpgpai_s_5m.jpgpai_s_8m.jpg待ちかpai_s_3m.jpgpai_s_6m.jpgpai_s_9m.jpg待ちかを選択可能

     ドラのあるチャンス手のときほど、慎重に待つ姿勢が肝心なのだ。
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