麻雀最強戦2014ファイナルＣ卓 観戦記

麻雀最強戦ファイナルで繰り広げられた激闘を紹介！

ファイナルＡ卓、Ｂ卓が長丁場だった。だが、このＣ卓は雀王・鈴木たろう、鉄人プロ代表・瀬戸熊直樹、全国アマチュア最強位・時岡史明、フジテレビワンツネクスト代表・岩井勇気という攻撃タイプが勢揃い。さぞかしサクサクと対局が進むかと思われた。が、それは単なる願望に過ぎなかった…。

このＣ卓の戦いを一言でまとめるなら連荘と鉄メンタルである。たろう・時岡の連荘と精神力のタフさが際立った対局だった。

まず飛び出したのが岩井である。下家・たろうの仕掛けにかぶせるようにリーチ。
Ｔ２　北家・岩井
　リーチ一発　ドラ　裏ドラ

続く東３局でも岩井が先制リーチ。リーチのみの手だったが、をアンカンしてのリンシャンカイホー、そのが裏ドラとなりハネ満のツモアガリとなったのである。


岩井が飛び出し、サクサクと局が進んであっという間に南入。優勝候補にも名前が挙がったたろうは東場を終えて1万点しか残っていない。今回は岩井の強気な姿勢が目立っていて、このまま押し切ってしまうのではないかと思われた。

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だが、このＣ卓は東場が前哨戦だったかのように、南場がもつれにもつれた。誰も想像できないほど二転三転したのである。

まず、南２局、親のたろうの配牌がこれ。


ここから仕掛けを入れて連荘を目指す。だが、ポンの後、上家の岩井からには見向きもしなかった。

　出る　　ドラ

「仕掛けても相手に対する圧力としては弱い」「親リーチの可能性がないことで、子に攻め返される可能性がある」ことを意識したか。たろうは仕掛けの存在感を高めるため、大物手を目指していった。

その結果、
　　　（加槓）
ドラ　カンドラ

なんとあの配牌が18000に化けたのである。これをツモれば一気に戦線復帰を果たすところだが、残念ながらこれは実らず。こういう手をモノにできなかった次はあっさり親番が流れてしまうイメージが強いが、たろうの復活劇はここから始まったのである。

南２局１本場　東家・たろう
親で５巡目にこのテンパイが入った。役なしでドラの待ちである。子の足を止める意味を含め、ほとんどの打ち手はここで即リーチをかけるに違いない。


だが、たろうはここで切りでテンパイを崩す。南２局のスルーもそうだが、全然浮き足立っていないのがよく分かる構えである。即リーチをかける人が浮き足立っているというわけではないが、「そうするのが当然」という機械的思考に陥ることなく、今の状況やこの手の将来性、さらには相手の心理などを冷静に分析し、決断しているようにみえるのである。

結果、この親満が成就する。
　リーチ一発ツモ　ドラ　裏ドラ

このアガリを見た解説陣は

萩原「さすがです」
片山「さすがです」

と口をそろえて絶賛。これでたろうは配給原点までスコアを戻した。

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続く南２局２本場は全員がぶつかった。

先制したのは東家・たろう。文句なしの打の即リーチである。

　ツモ　ドラ

このリーチ宣言牌を瀬戸熊がポンテン。高目チャンタで5200のテンパイで応戦する。本来はメンゼンでテンパイさせたかった（１枚目のも動いていない）が、たろうのリーチを潰すために妥協せざるを得なかった。

南２局２本場　南家・瀬戸熊

　

その後、が岩井から放たれ、瀬戸熊はポンしてトイトイにした。


岩井もこのを捨ててくるのは戦う気マンマンである。岩井の手に浮いているが瀬戸熊に飛び込む可能性も十分ある。

さらに、「最強のアマチュア」時岡がこの戦いに割りこんでいく。イーシャンテンで無スジをバシバシ切り飛ばしていた時岡がテンパイでドラ切りで勝負。追っかけリーチをかけた。

直後、瀬戸熊の手がツモったを悔しそうに手元に置いた。


瀬戸熊がポンしたところでを捨てて高目チャンタのテンパイに組んでいれば、こので安めながらアガリを拾えていた。おそらく「を仕掛けた以上、一番高く構える」「リャンメンにとれば安め3900になるぐらいなら最初から仕掛けない」というのが王道といえる。

だが、瀬戸熊の解説を聞いたことががる視聴者はよく知っているだろうが、瀬戸熊はアガリ逃しに敏感な打ち手である。「で一度アガリを逃した以上、次に待っているのは決して良い結果ではない」と考えるのは容易に想像できる。よってここでを捨てフリテンに構えるのはいかにも瀬戸熊らしい対応といえるだろう。

その直後、時岡がを掴み、たろうの7700のアガリとなった。
　ロン　ドラ　裏ドラ

さらにたろうは連荘を重ね、ついにトップに追いついたのである。ニコ生では「30分前には1万点だったのに」という驚きのコメントも流れた。

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オーラスを迎えた時点で、トップ岩井が42800、２着たろうが39900でその差は2900点。そこへたろうにこんなテンパイが入った。
　ドラ
500・1000でも岩井1300直撃でも足らない。一旦はヤミに構えたたろうだが、岩井が食い仕掛けたところを機とみてリーチに踏み切った。直撃かツモに賭けたのである。

すると親の時岡が追っかけ。

が、このだと裏ドラ２枚条件となるため、当然たろうはロンできない。が、このリーチ棒が出たことでたろうもツモで逆転する条件となった。だが、結果はたろうが時岡のロン牌を掴み親満の放銃となってしまった。これにより、たろうは一気に苦しくなり岩井から満貫直撃か倍満ツモという厳しい条件を突きつけられることになった。

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だが、厳しい条件になってからのたろうの手作りが凄かった。アガリトップの岩井がいるなか、

南４局１本場（岩井から満貫直撃か倍満ツモ条件）

西家・たろうの第一ツモ
　ツモ　ドラ

ここから
↓

（時岡からリーチ棒が出て、ハネツモ条件に変化した後）
というテンパイを入れる。時岡が1000は1100オールのツモアガリ。

南４局２本場（岩井からハネ直撃か倍満ツモ条件）

西家・たろうの第一ツモ
　ツモ　ドラ

ここから
↓

（時岡からリーチ棒が出て、満直と倍満出アガリがＯＫになる）
というテンパイを入れる。今度は流局し、さらに岩井との点差をつめる。

きわめつけはこのテンパイ。
南４局４本場。（岩井から満貫直撃かハネツモ・倍満条件）


途中で捨てたに岩井がポンをいれ、それによりが食い流れがなくなったものの、が１枚生きている。最後はツモ番の無いところで、時岡からのリーチ・一発・トイトイ・三暗刻・タンヤオ・ホーテイの倍満を狙ってリーチをかけるも、この大物手が実ることはなかった。

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が、たろうの執念もここまでだった。最後は満貫ツモ条件まで復活したものの、連荘を重ねた時岡が先手を取る。

たろうは時岡がリーチ後に捨てたドラのをポンして、何とか満貫を目指していくがテンパイを入れられず。時岡がツモって裏ドラを乗せ、岩井を1300点差交わして決勝卓の権利を勝ち取ったのである。

時岡もオーラスを迎えた時点では2900点しか持っていなかったが、粘りに粘ってのついに逆転。どこまでも諦めないたろうの猛攻、そして昨年以上に危険牌を押してくる岩井、そして不調ながらもキッチリ打ち切った瀬戸熊を相手にし、持ち点が少なくなっても冷静さを失わずに打ち切ったメンタルの強さは賞賛に値する。2012年の水沼以来のアマ最強位の誕生まであと一歩まで迫った。