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最強戦ファイナルを戦った選手は対局中に何を考え、どう決断していたか? 気になる局面をピックアップし、直接選手に聞いてみた!
麻雀最強戦ファイナルへの道は決して容易ではない。その舞台に5年連続で立った男がいる。1人は鈴木たろう。雀王4連覇で4年連続のファイナル出場権を得た。今年、雀王のタイトルは失冠したがサイバーエージェントカップ準優勝+鈴木達也のダブルタイトル(近代麻雀プレミアリーグ・サイバーエージェントカップ優勝)によって奇跡の復活出場(詳細はこちら)となる。そして、もう1人が瀬戸熊直樹である。瀬戸熊の場合、鳳凰位・十段位・新鋭プロ代表決定戦・鉄人プロ代表決定戦・男性プロ代表決定戦雷神編というように毎年のように出場過程が異なっている。各代表決定戦は常に8分の1の戦いで、それを毎年勝ち上がってくるのは実力のみならず、瀬戸熊の最強位に賭ける執念がなせる業ではないだろうか。
とりわけ、今年の男性プロ代表決定戦雷神編で見せた多井隆晴とのライバル対決は死闘ともいえる内容で、いまだ記憶に残っている人も多いだろう。
その瀬戸熊の5度めの挑戦は、木原浩一・鈴木たろう・和泉由希子・瀬戸熊という並びで始まった。
「ラス親を引いた瞬間、どういう気持ちになりましたか?」
瀬戸熊「正直何家でもいいと思っていたので、そんなに喜ぶとかは、ありませんでした。ただ、他の人は、ラス親になりたそうだったので、その辺りの精神的には少し優位になれたかなと。あと、ラス親の利点はフルに活用しようと思ってました」
だが、瀬戸熊の出だしは決して順調とはいえなかった。東2局1本場、和泉のリーチに対し、瀬戸熊は目いっぱいに構えて勝負した結果、満貫の放銃となる。
「この時の心境はいかがでしょうか?」
瀬戸熊「正直、は当たりそうだったので、止めようかと思いましたが、たろうさんからも雰囲気出てたので、そんなに悪い放銃にはならないかもと思ってました。しかし、その後の和泉さんのラッシュには、責任を感じてました。つまり放銃は悪手ということになります。やはり、もう少しテンパイまで離す牌ではなかったと」
その後、瀬戸熊はリーチドラ1で少し取り返して迎えた親はノーテンで親流れ。南1局ではとのシャンポンリーチをかけるも、木原プロの食いタンのフリテンツモでかわされる。瀬戸熊に取ってなかなか主導権を握れない展開が続いた。
「なかなかきっかけを掴めない状況をどう捉えていらっしゃったのでしょう?」
瀬戸熊「主導権取れないのは、東2局の放銃が尾を引いているので仕方なしと思ってました。ラス親までに戦える状況にする事が大事と思ってました」
そして南2局。トップ目の和泉をたろうのダブリーが襲った。
実はこのとき、瀬戸熊もを持っていたそうである。
「たろうプロのダブリーに対し、『仮に和泉がを捨てなくても、自分は切らない』ということでしたが、それはどういう理由からでしょう?」
瀬戸熊「たろうさんがそんなに良い状況じゃないのにタブリーが入るなら、メンツ手は考えずらく、チートイツが濃厚と思ったからです。完全に経験則ですが。字牌と、3、7以外を切ろうと考えました。もう1つの理由は、たろうさんのリーチが淀みないタイミングだったのもあります」
このアガリで標的は和泉からたろうに移動。と、同時に瀬戸熊の調子も徐々に上向いてきたようだ。南2局1本場。北家・木原がリーチ。南家・和泉がマンズのホンイツへ向かっている局面で、瀬戸熊もテンパイで追いついた。
ただ、このテンパイの直前に場に3枚目のが放たれたところでやや押しづらい。
「リーチはかけづらいとして、このままヤミのまま最後まで押すつもりでしたか? それとも危険牌を引いてきた巡目によってはオリる感じですか?」
瀬戸熊「まずたろうさんのがもしかしたらトイツ落としの可能性があると思ったのですが、違ったので思案してました。しばらくは、ヤミテン継続でギリギリまで行くつもりでした」
その結果、終盤でラス牌のをツモアガった瀬戸熊。
瀬戸熊「意外にもツモアガり。少し風向きが変わったと思いました」
南3局1本場、トップ目の北家・たろうがポンで流しにかかった。ラス親のある瀬戸熊の手牌がこの形。
このとき、2枚目のが出たが、瀬戸熊はこれをスルー。打点は安いが、鳴けばまずまずの形も残っているので仕掛ける人も少なくないだろう。
「瀬戸熊プロがを鳴かなかった理由を教えてください」
瀬戸熊「ラス親の迎え方だけ睨んでたのが最も大きな理由です。このまま行けばラス親の利点を使える、たろうさんとの1対1のパターンになると思っていました。いかにして好配牌の入る場面にするかを考えてたからです」
その後、メンゼンのまま手を進めた瀬戸熊の摸打がここで止まった。
マンズをパラパラ捨てているところ。ここで瀬戸熊は打とした。
「この打牌の理由は何でしょう?」
瀬戸熊「切りの理由は、第1にのフリテンは埋まらないと思ったからです。で、との危険度を考え切りとしました。ピンズの下には自信ありました」
結果、のリーチをかけた瀬戸熊は、たろうから一発で直撃に成功。一気に点差を詰めてオーラスを迎えることになる。
「このアガリの感触を教えてください 」
瀬戸熊「アガりの感触はよかったですが、裏乗らず逆転出来なかった所に、たろうさんのこの戦いの相性の良さを感じました」
そしてオーラス。トップ目のたろうと瀬戸熊はともにテンパイを果たすも、決めきれずに流局。続く1本場で、たろうがの先行リーチをかけ、これに瀬戸熊が追いついてのシャンポンで追っかけリーチ。瀬戸熊はを暗槓して放銃を回避するものの、直後にを掴んでたろうのアガリとなる。5年越しの最強位獲得の道はここで断たれた。
「対局後、『今回は納得の負け』のようなコメントをされていました。それはどういう部分だったのでしょう?」
瀬戸熊「対局後は、1牌の後先までしっかりたどり着いたので、その時の結果は仕方ないと思いました。しかし、最後牌に選ばれなかったのは、もう少し工夫が足りなかったので、少し後悔する所もあります。でも及第点は行く内容かなと」
麻雀最強戦ファイナルへの道は決して容易ではない。その舞台に5年連続で立った男がいる。1人は鈴木たろう。雀王4連覇で4年連続のファイナル出場権を得た。今年、雀王のタイトルは失冠したがサイバーエージェントカップ準優勝+鈴木達也のダブルタイトル(近代麻雀プレミアリーグ・サイバーエージェントカップ優勝)によって奇跡の復活出場(詳細はこちら)となる。そして、もう1人が瀬戸熊直樹である。瀬戸熊の場合、鳳凰位・十段位・新鋭プロ代表決定戦・鉄人プロ代表決定戦・男性プロ代表決定戦雷神編というように毎年のように出場過程が異なっている。各代表決定戦は常に8分の1の戦いで、それを毎年勝ち上がってくるのは実力のみならず、瀬戸熊の最強位に賭ける執念がなせる業ではないだろうか。
とりわけ、今年の男性プロ代表決定戦雷神編で見せた多井隆晴とのライバル対決は死闘ともいえる内容で、いまだ記憶に残っている人も多いだろう。
その瀬戸熊の5度めの挑戦は、木原浩一・鈴木たろう・和泉由希子・瀬戸熊という並びで始まった。
「ラス親を引いた瞬間、どういう気持ちになりましたか?」
瀬戸熊「正直何家でもいいと思っていたので、そんなに喜ぶとかは、ありませんでした。ただ、他の人は、ラス親になりたそうだったので、その辺りの精神的には少し優位になれたかなと。あと、ラス親の利点はフルに活用しようと思ってました」
だが、瀬戸熊の出だしは決して順調とはいえなかった。東2局1本場、和泉のリーチに対し、瀬戸熊は目いっぱいに構えて勝負した結果、満貫の放銃となる。
「この時の心境はいかがでしょうか?」
瀬戸熊「正直、は当たりそうだったので、止めようかと思いましたが、たろうさんからも雰囲気出てたので、そんなに悪い放銃にはならないかもと思ってました。しかし、その後の和泉さんのラッシュには、責任を感じてました。つまり放銃は悪手ということになります。やはり、もう少しテンパイまで離す牌ではなかったと」
その後、瀬戸熊はリーチドラ1で少し取り返して迎えた親はノーテンで親流れ。南1局ではとのシャンポンリーチをかけるも、木原プロの食いタンのフリテンツモでかわされる。瀬戸熊に取ってなかなか主導権を握れない展開が続いた。
「なかなかきっかけを掴めない状況をどう捉えていらっしゃったのでしょう?」
瀬戸熊「主導権取れないのは、東2局の放銃が尾を引いているので仕方なしと思ってました。ラス親までに戦える状況にする事が大事と思ってました」
そして南2局。トップ目の和泉をたろうのダブリーが襲った。
実はこのとき、瀬戸熊もを持っていたそうである。
「たろうプロのダブリーに対し、『仮に和泉がを捨てなくても、自分は切らない』ということでしたが、それはどういう理由からでしょう?」
瀬戸熊「たろうさんがそんなに良い状況じゃないのにタブリーが入るなら、メンツ手は考えずらく、チートイツが濃厚と思ったからです。完全に経験則ですが。字牌と、3、7以外を切ろうと考えました。もう1つの理由は、たろうさんのリーチが淀みないタイミングだったのもあります」
このアガリで標的は和泉からたろうに移動。と、同時に瀬戸熊の調子も徐々に上向いてきたようだ。南2局1本場。北家・木原がリーチ。南家・和泉がマンズのホンイツへ向かっている局面で、瀬戸熊もテンパイで追いついた。
ただ、このテンパイの直前に場に3枚目のが放たれたところでやや押しづらい。
「リーチはかけづらいとして、このままヤミのまま最後まで押すつもりでしたか? それとも危険牌を引いてきた巡目によってはオリる感じですか?」
瀬戸熊「まずたろうさんのがもしかしたらトイツ落としの可能性があると思ったのですが、違ったので思案してました。しばらくは、ヤミテン継続でギリギリまで行くつもりでした」
その結果、終盤でラス牌のをツモアガった瀬戸熊。
瀬戸熊「意外にもツモアガり。少し風向きが変わったと思いました」
南3局1本場、トップ目の北家・たろうがポンで流しにかかった。ラス親のある瀬戸熊の手牌がこの形。
このとき、2枚目のが出たが、瀬戸熊はこれをスルー。打点は安いが、鳴けばまずまずの形も残っているので仕掛ける人も少なくないだろう。
「瀬戸熊プロがを鳴かなかった理由を教えてください」
瀬戸熊「ラス親の迎え方だけ睨んでたのが最も大きな理由です。このまま行けばラス親の利点を使える、たろうさんとの1対1のパターンになると思っていました。いかにして好配牌の入る場面にするかを考えてたからです」
その後、メンゼンのまま手を進めた瀬戸熊の摸打がここで止まった。
マンズをパラパラ捨てているところ。ここで瀬戸熊は打とした。
「この打牌の理由は何でしょう?」
瀬戸熊「切りの理由は、第1にのフリテンは埋まらないと思ったからです。で、との危険度を考え切りとしました。ピンズの下には自信ありました」
結果、のリーチをかけた瀬戸熊は、たろうから一発で直撃に成功。一気に点差を詰めてオーラスを迎えることになる。
「このアガリの感触を教えてください 」
瀬戸熊「アガりの感触はよかったですが、裏乗らず逆転出来なかった所に、たろうさんのこの戦いの相性の良さを感じました」
そしてオーラス。トップ目のたろうと瀬戸熊はともにテンパイを果たすも、決めきれずに流局。続く1本場で、たろうがの先行リーチをかけ、これに瀬戸熊が追いついてのシャンポンで追っかけリーチ。瀬戸熊はを暗槓して放銃を回避するものの、直後にを掴んでたろうのアガリとなる。5年越しの最強位獲得の道はここで断たれた。
「対局後、『今回は納得の負け』のようなコメントをされていました。それはどういう部分だったのでしょう?」
瀬戸熊「対局後は、1牌の後先までしっかりたどり着いたので、その時の結果は仕方ないと思いました。しかし、最後牌に選ばれなかったのは、もう少し工夫が足りなかったので、少し後悔する所もあります。でも及第点は行く内容かなと」
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