あなたが会話で最近後悔したのは誰とのどんな会話でしたか?


売り言葉に買い言葉で言い合いになってしまったり、ついつい意見を戦わせてしまい、険悪なムードになったり結果的に後悔することは誰でも経験があるのではないでしょうか?

今回は、人間関係の問題についての相談を元に、話を聞かないような相手であってもその考えや行動を変えさせるための会話術について紹介させてもらいます。


日常生活の中で使える実践的なマインドコントロール術です。
Dラボでは全部で4回に分けて放送した内容になりますので、かなりの文量になりますが、保存版として活用いただけたらと思います。

大切な人との良好な関係を保つためにも、面倒な相手の意見や考え方を変えるためにも役立ててください。

Q. 人の欠点を指摘してくる頭の悪い人がいます。対応策を教えてください。


相手に対して同じことをしてみてはどうでしょうか。

相手が人の悪いところを指摘したり自分のことを棚に上げているということを、みんなの前で指摘してあげればいいと思います。


例えば、自分がその人に何か指摘されたとしたら、自分の悪いところは素直に認めてください。

その指摘は素直に認めて改善するということを伝えた上で「ところで、あなたにも・・・・」とストレートに指摘してみてください。

その人がどれだけの事を棚に上げて他の人の欠点ばかりを指摘しているのかということを理解できるように問い詰めて、それは一体どういうことなのか質問してみればいいと思います。


ここでのポイントは売り言葉に買い言葉になるとただのケンカになってしまいますので、他の人を巻き込むことを忘れないで下さい。

その人がどれだけ周りの人に迷惑をかけているのか、嫌な気分にさせているのか、それをはっきり伝えて1対多数の構図にしてください。

自分のことを棚に上げる人はかなり弱い人ですから、そうなると何の反論もできなくなると思います。


以上がDaiGo師匠からのアドバイスでした。




実践的マインドコントロール術


マインドコントロールと言われると、怪しい宗教団体が信者を操るために使ったことで有名になったということもあり、あまりいいイメージを持っていない人の方が多いと思います。

実際には、他人を心変わりさせる方法という意味になります。

ですから、相手が「コントロールしようとしている」と感じた時点でマインドコントロールではありません。


「私はマインドコントロールされた」と気づいているのであれば、それはコントロールされていません。

人間は誰しも他人にコントロールされるのは嫌ですから、コントロールしようとしているということがわかれば抵抗することができます。

最も強力なマインドコントロールは、相手が「コントロールされた」「誘導された」ということに気づかないマインドコントロールです。


今回は、そんな相手の心を変えるための9つの方法について紹介させてもらいます。

もちろん、本格的にマインドコントロールを学ぼうとするとかなり難しい分野です。

今回は初級編として、皆さんの日常生活の中で相手の心を上手に変えるための方法についてです。


先日紹介させてもらった「柔らかい交渉術」をマスターしてもらえれば相手の心に入っていくことができます。

相手の心に入った後、その相手の心に気づかれないように影響を与えていく方法になります。

科学的根拠に基づいた知識の実験、実践コミュニティ!〜メントレラボ〜

一問一答「あなたが信頼関係を一番築きたい相手は誰ですか?」【やわらかい交渉術】


相手が主張したり考えていることに、自ら疑いを向けるように誘導するテクニックになります。

議論したり意見を戦わせていると、話せば話すほどお互いが自分の主張に固執するようになります。

相手の考えを変えたいのであれば、相手と意見を戦わせる必要はありません。

相手の話を聞きながら、相手が自分の間違いに気づく質問を投げかけることで、相手の考え方を勝手に変えて行く方法があります。


特に頑固な相手や人の話を聞いてくれない相手にも使うことができるテクニックです。

相手の主張や意見を否定したりするわけではありませんので、目上の人や敵に回すと怖い人に対しても使うことができます。


ちなみに 、相性のいいテクニックとしてはこちらの本がおすすめです。

こちらは説得をしようとか相手の心を変えようと思う前段階で、実際に説得できるかどうかが大きく変わるという本です。


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相手の心を変えるための9つのテクニック

1.無知のモデル化

2.単語のすり合わせ

3.調整された質問

4.道徳的一致

5.ネット上の議論

6.影響フォーカス

7.認識論的質問

8.ラーニングフレーム

9.13の「べがらず」


それぞれ何回かに分けて詳しく解説していきますが、どれも強力なテクニックですので、ひとつずつ練習してみていただけたらと思います。




1.無知のモデル化


これは相手の考え方を改めて詳しく説明してもらうテクニックです。


例えば、相手の意見が間違っていると感じた時に「それは間違っているのではないですか?」と言うと、相手は「そんなことはない。自分は正しい!」と反論したくなってしまいます。

それを防ぐために、「詳しく理解できていないので、その部分をもう一度説明してもらっていいですか?」と伝えます。


相手に改めて詳しく説明してもらうわけですが、人は他の人に説明すればするほど理解が深まります。

説明していることの理解が深まると、自分が言っていることの矛盾に気づけるようになります。

相手に詳しく説明させることで、「自分が意外と無知だった」ということに気づかせるテクニックです。


研究では、不法移民を対象にしています。

不法移民の問題に対して強い意見を持っている人に以下のように無知のモデル化を使っています。


「不法移民を強制送還することには賛否両論あると思います。その政策がどのように実施されて誰がコストを払うのかという議論がされていますが、私はこの議論に対して強い意見を持てるほど具体的なデータや情報を持っていません。ですから、すいませんが詳しく教えていただけませんか?」


どちらにしても、特にこのような政治的な問題に対してあまりに強硬的な意見を持っている人には関わりたくないと思います。

とはいえ、同調するわけにも否定するわけにもいかないという時もあると思いますので、そのような時は詳しいデータや根拠について教えてもらうようにしてみてください。


大抵の場合、そのような強行的すぎる意見を持っている人は大して詳しく知りません。

ですから、相手は説明すればするほど自分の意見に対する自信を失っていきます。


2013年に行われた研究を見てみると、政治的に偏った意見を持っている参加者に、政策がどのように実施されてどのような影響を与えているのかということを詳しく教えて欲しいとお願いしています。

そうすると、説明させればさせるほど、政治的に極端な力を持っている人がどんどん程々の意見に変わっていったということです。


人は詳しく理解していないから極端な意見を持つことができます。

その極端な意見を変えさせたいのであれば、その間違いを否定すると相手はどんどん強硬な姿勢になります。

自分はあまりよく知らないからと無知を装って相手に詳しい説明をさせてください。

説明させればさせるほど相手は自分の無知に気づきます。


これは人間にあるバイアスによるものです。

ほとんどの人間は「自分は物事の仕組みや世の中の仕組みを実際よりもよく理解している」と信じ込んでしまいやすいバイアスを持っています

人は誰でも自分は物事をよく理解できていると思い込んでしまいます。

ところが、詳しいところを教えて欲しいと掘り下げて質問されていくと、意外と理解できていないことの方が多いです。


人は自分が理解できていない部分があると認識できると、強い意見を言いたくても間違っていたら怖いので言えなくなります。

よほどサイコパスのような相手でない限りは、この無知のモデル化を使うと態度は軟化していきます。


無知のモデル化のメリット

メリットその1 :相手の弱点を探ることができる

これを使うと詳しいところを掘り下げて質問していくわけですから、相手にたくさん話をさせることができます。

こちらは相手の話をただ聞いているだけで、相手が持っている情報の不足している点や間違っている点に気づくこともできます


議論を戦わせるような相手であっても、これによって相手の弱点を探ることができていると考えれば、かなり面倒な人の意見でも黙って聞くことができます。


メリットその2 :相手からの好感度が上がる

相手の話をたくさん一生懸命聞くことにより相手から好感度を引っ張り出すこともできます

それによって、相手が極端な意見を持っていることと別のことでお願いをすると、応じてくれる可能性も高くなります。


相手の弱点を探りながら相手の態度を軟化させることができますので、無知のモデル化は日常生活の中でも結構使えるテクニックです。


メリットその3 :相手は強要された感覚を持たない

そして、相手は強い意見を持っているわけですから、どちらかと言うと相手の方が自分の考えを強要しようとしているようなやり取りになります。

ところが、実際には相手の考えの矛盾点を自分で気付かせるように誘導しているので、どちらかと言うと操っているのは皆さんです。

ですから、相手は自分の考えを変えることを誰かに強要されたという感覚を持つことなく、自分で自分の考えに勝手に疑いを持ち始めます


ですから、立場が上の人や目上の人であっても、お客様やクライアントであっても、無知のモデル化を使うことができます。

皆さんは話を聞いているだけで、相手が勝手に変わっていきます。

もし相手がそれでも変わらなかったとしても、相手の意見の矛盾点に気づけたり相手からの好感度を高めることができます。

その場で相手の意見が変わらなかったとしても、相手には確実に自分の考えに対する疑念の目を植え付けることができています。


無知のモデル化の4つのポイント

無知のモデル化はとても強力なテクニックですが、これを使うにあたっては4つの重要なポイントがあります。

実際の実験でも、この4つの重要なポイントさえ守っていれば極端な人の意見さえも変えることができています。


ポイント1 :素直にわからないと言う

これがなかなか出来ない人が多いですが、自分がわからないと素直に言ってください。

素直にわからないと言った方が、謙虚さと誠実さのアピールになります


逆に、相手がわからないと言った時には、それを褒めるようにしてください。

極端な力を持っている人がわからないと言った時に、ついついそこを攻めたくなるかもしれませんが、相手がわからないと言ったことは認めてください。

そうすると、相手は自分のわからないことを言いやすくなります。

わからないことを認められると態度を変えることができます。

わからないことを批判されると態度はより硬直します。


ポイント2 :はぐらかされたら同じ質問を自分にしてもらう

自分の痛いところを突かれると話をはぐらかす人がいます。

そんな時は、この同じ質問を自分にしてもらうという方法が使えます。


例えば、相手がアジア人に対して新型コロナを広めたからと差別的な考えを持っている人だとします。

相手がそんな人であれば次のように質問してみてください。


「アジア人が新型コロナで差別されるのは当然だと思われていますか?」


そうするとおそらく相手は曖昧なことを言ったりはぐらかします。


「新型コロナがアジアから始まったことは確かだけれど、感染を広めないということを考えるとアジア人と距離を取るのは否定することはできないのではないか…」


ここで相手に対してイエスかノーではっきりと言ってくださいと言ってしまうと相手を責めることになってしまいますので、次のように言ってみてください。


「逆に私にアジア人が新型コロナで差別されるのが当然だと思うか質問してくれませんか」


相手がその質問をしてくれたら次のように答えてください。


「いいえ、当然だと思いません。差別するべきではないと私は考えます。それでは、あなたが新型コロナでアジア人が差別されるのが当然だと思うか答えて下さい。」


つまり、相手に逆に質問させて自分が明確にイエスかノーではっきりと答えます。

その上でもう一度相手に質問をすると、相手も明確に答えるしかなくなります。


イエスかノーかはっきり答えない人がいた時に、どちらなのかはっきり答えて下さいと言っても相手は余計にはぐらかすだけです。

無駄に難しい言葉を使って曖昧なことを言ったりします。

そうならないために逆に自分に同じ質問をしてもらうというテクニックです。


ポイント3 :自分の無知を認めてから質問

相手に質問をする時には、まず最初に自分には十分な知識がないということを認めてください

皆さんがその分野について専門家だったとしても、知らないこともあるかもしれません。

自分が明確に強い意見を言えるほど十分な知識がないということを認めてから質問してください。


そうした方が相手が十分な理解がないということに気づきやすくなります。

こちらがわかっている内容を質問するようになると、相手は自分が試されているように感じてしまいます。

そうするとバトルになってしまいますので、自分が十分な知識がない前提で質問するようにしてください。

その方が相手も十分な知識がないということに気づきやすくなります。


ポイント4 :実際に無知のモデル化を体験しておく

人間は新しい知識を手に入れなければ態度を変えることはできません

人が年齢を重ねれば重ねるほど頑固になるのは、自分が知識が足りないと感じる経験が少なくなるからです。

そうなると自分が既に知っている世界の中で生きていくことになります。


ですから、自分に対してまずは無知のモデル化を体験しておくことが重要になります。

例えば、iPhone のカメラや部屋のエアコンなど、どのような仕組みで動いているのか意外と理解できていないことが日常生活の中にも結構あります。

普段触れているけれどちゃんと調べたことがない仕組みや技術について1つ選んでもらい、それを本で読んだりネットで調べたりして学んでみてください。

できるだけ詳しく調べて、それを他の人に話すということをしてみてください。


勉強すれば勉強するほど自分には知らないことがあるということに気づけます。

なぜ人が知っているつもりになってしまうのかということを解明してくれている、とても面白い本がありますので、こちらもチェックしてみてください。

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2.単語のすり合わせ


どちらの言っていることも甲乙つけがたいような難しいテーマについて議論している人がいますが、これは難しいテーマについて激論しているように見えても、実際にはお互いが使っている言葉の定義が違うために意見が平行線になっているだけということが結構あります。


例えば、「私は政府が嫌いだ」と言っている人がいたとします。

ですが、実際にはその人は政府が嫌いなのではなく、その人が表している政府というものは、「汚職をする人がいる」「官僚の力が強すぎる」「権力が集中していて国民の声は届かない」「無駄な規制が多い」など、政府全体ではなく何かしらに不満があることが多いです。


言葉の定義が違うと、当然ですが意見が平行線になるわけです。

これは別に嫌いなものではなく好きなものでも一緒です。

政府について肯定的な意見を持っている人がいたとしても、それぞれの言葉の定義について確認していなければ議論の意味はありません。


建設的な議論をしたり相手に自分の主張を受け入れてもらうためには、まずは相手が使っている言葉を定義してください

その上で自分の言葉も定義して、それをすり合わせておく必要があります。

ここが食い違っていたらどんなに議論しても平行線です。



ここから先は単語のすり合わせの解説と全部で9つのすべてのテクニックを解説します。

Dラボでは4つの放送で解説された内容を凝縮したものになっています。

ぜひ続きをチェックしてみてください。