あなたが、絶対に諦めたくないことはなんですか?


今回は、挫けることなく諦めない力について纏めさせてもらいます。



諦めない人のための科学


行動できる人もいればできない人もいます。

リスクを恐れず挑戦することができる人もいればできない人もいます。

この勇気は性格特性です。

つまり、ある程度は生まれながらにして持っているものです。


まずは、勇敢さや勇気というものは生まれながらのものだという切ない事実を受け止める必要があります。

ですが、だからといって仕方がないと諦めないのが科学者です。

科学者は、勇気に満ち溢れて勇敢な行動をとることができる人をとことん調べて、その中でも普通の人が真似できる要素について明らかにした上で、それを後から身につければ結果的には同じだと考えます。


今の心理学では、人生を変えるためには性格ではなく行動を変えればいいと言われます。

性格を変えるのはなかなか難しいですが、内向的な人でも外向的な人のような行動をとることができればいいだけです。

人間の性格と行動は別だと考えてください。


それでは、ここからは具体的に必要な要素について3つのポイントを紹介させてもらいます。


要素①自己効力感

自己効力感というものは、自分が行動を起こすことによって少しでも未来が変わると信じることができる力です。

「やればできる」という感覚です。

目の前の困難に立ち向かって、自分の能力を発揮しながら少しずつ未来を変えていく信念のことです。


この自己効力感のために絶対にしてはいけないことは、「圧倒的に上の人と比べる」ということです。

現代において、スマホや SNS の普及によって皆さんの自己効力感はかなり下がっていると言われています。

お金を稼ぎたいと思っている男性が TikTok を見れば、美女とお金に囲まれた画像の男性が出てきます。

スタイルを良くしたいと思っている女性が Instagram を見れば、骨格的にどう考えても無理だと思えるようなスタイルの美女がいくらでも出てきます。


自己効力感は、自分が行動したことでほんの少しでも未来が変わるという感覚を積み重ねなければ身につかないものです。

ですが、そんな圧倒的レベルの人の生活を簡単に見ることができると、自分がコツコツと積み重ねることでのプラスが見えなくなってしまいます。


例えば、年収400万円の人が410万円になったとしたら、それも自分の努力の積み重ねで喜べるはずなのに、スマホを開くといくらでも年収2億円3億円の人が目に入ります。

そうなると、いつまでたっても自己効力感が養われないので、そこから脱出することも難しくなってしまいます。


要素②自尊感情

成功することが難しい問題やリスクがある課題に対して、立ち向かってそれをやり遂げようと思うと、自分の性格や自分の能力、自分のキャラクターなどをある程度認めることが必要になります。

自分を認めることができている人でなければ、自分の持ったものを活かして、目の前のことに向き合おうとすることはできません


自分にはネガティブな部分もあり弱点かもしれないけれど、それ以外である程度いいところもあって、それを上手に使うことができれば前に進んでいくことができると覚える必要があります。


要素③開放性

困難や危機を目の前にした時に勇敢な行動を起こすためには、開放性や好奇心というものがとても重要になります。

好奇心がない人は基本的に新しい行動をとることが難しくなります。


つまり、諦めることなく行動できる勇気を持つためには、


①目の前の困難に立ち向かうための自己効力感

②自分の能力を発揮するために自分を認める自尊感情

③新しいものを求めて試すための好奇心

これら3つの特性を鍛えればいいということです。

これらは自らの訓練や周りからのサポートによって鍛えていくことができる特性です。

後から鍛えることができる勇気につながるポイントです。


あきらめない人の考え方:「まだ」の思考

挫けてしまう人と挫けない人の最も大きな違いとしては、達成するべき目標がひとつありそこにたどり着くことが全てであり、その目標にたどり着くまでの過程を軽視してしまうというのが挫ける人の特徴です。


そのため、挑戦してみたけれどうまくできなかったとか、自分の思っていたイメージと違うというだけですぐに諦めてしまいます。

これがすぐに挫けてしまう人の考え方です。


一方で、決して諦めない挫けない人の考え方は、常に「まだ・・・」という言葉を使います。

「もっと」ではなく、失敗した時には「まだうまくいかないだけ、きっといつかはできる」と考えますし、ある程度うまくいっている時には、もうこれぐらいで十分だと考えたりしてやめてしまうのではなく、「まだ自分はできるはず」だと考えます


つまり、挫けない人ほど「まだ」という言葉を多用します。

これは英語では「the power of yet」という言葉になりますが、この「まだ・・・」という思考が重要です。


ですから、挫けそうになった時には「まだうまくいっていないだけ」だと考えるべきですし、諦めてしまいそうになったり妥協しそうになった時には「まだ自分はできる」とか「まだあと1回はできる」と考えるようにしてください。

もしある程度うまくいってもう十分かと思い始めた時には「まだ自分は成長できるはず」と考え、「まだ」を多様するようにしてみてください。


あきらめない人の考え方:「階段思考」

これは人間の成長に対して使われている思考です。


人は物事が常に右肩上がりで上がっていって欲しいと思うものです。

実際には当然ながら浮き沈みを繰り返しながら、それでも続けていれば長期的には成長していくはずです。

そんな中では、どうしても停滞することもあれば、そのまま続けても意味がないのではないかと思ってしまうときもあります。

挫けそうになるときは誰でもあるものですが、そんなときに使えるのがこの階段思考です。


人はどんな物事でもスキルでも常に右肩上がりで上がっていくことを期待しますが、実際にはそうではなく階段状に成長していくものです。

一度上達したり成長するとしばらく停滞する時期があり、そこで何かコツを見つけたりきっかけがあるとまた一段上がります。


これはどんなものでも同じで、例えば、YouTuber でも何かをきっかけにチャンネル登録者数が増えたりします。

そして、しばらく停滞してまた何かをきっかけに伸びます。

停滞しても怖がる必要はありません。

停滞しているというのは階段の平らなステップを進んでいるタイミングだからです。その平らなステップを耐えながら続けていれば必ず一段登れるときが来ます。

これが普通ですし、人生というものはこれと同じです。


皆さんの中にも、常に成長し続けないといけないと考えたり、毎日必ず進歩しないといけないと考える人もいると思いますが、その自分の進歩を感じることはとても重要です。

毎日どんな小さな進歩でもいいのでそれを感じることで僕たちのモチベーションというものは湧いてきます。


ですから、毎日の進歩を実感することは大切ですが、欲張りすぎないようにしてください。

常に右肩上がりに成長していかないといけないと考えてしまうと、それは大きなプレッシャーになってしまいます。


どんなものでも常に階段状で上がっていくものだということを理解していただければ、 あきらめない人の考え方を身につけることができるはずです。

人生というものは階段状に成長していくものです。


あきらめない人の考え方:「うまくいかない時は10%だけ変える思考」

人は行き詰まったときに同じことを繰り返そうとしてしまいます。

なぜうまくいかないのかと考えながら、ずっと同じ方法を続けていることがよくあります。以前はこの方法でうまくできたのになぜうまくできないのかと行き詰まります。


失敗したりうまくいかないと「以前はうまくできたのになぜできないのだろう」と考えがちですが、これが危険な考え方です。


以前うまくいった時と何が違うのだろうと悩んだりしますが、人間は以前と同じことをしているつもりであってもどうしても少しずつ違っています。

体調や周りの環境によっても少しずつ変わりますし、ビジネスなどの場合にはトレンドというもっと大きな動きにも左右されてしまいます。


ですから、以前はこの方法でうまくいったはずだと考え同じことを繰り返すのではなく、気づかないうちに何かしらの条件が変わっている可能性もあるわけですから、一旦その考え方をリセットする必要があります。


うまくいかないときほど少しだけ変えてみることを意識してください。

うまくいかないときにその方法を少しでも変えてしまうと、余計にうまくいかなくなってしまうと考える人もいるかもしれませんが、少しだけ変えてみてうまくいかないのであれば、その方法が間違っているということを理解できるだけです。


とはいえ、あまりに大きく変えてしまうと、それもプレッシャーになってしまうので、お勧めとしては10%変えるということを意識してみてください。欲張ったとしても20%ぐらいまでにしてください。

少しだけ方法を変えてみるということが重要になります。


これはビジネスであってもスポーツやスキルであっても同じです。

今の方法がうまくいかなくなっているのは皆さんの周りの環境や条件が変わっているからです。

ですから、自分もそれに合わせて変わっていく必要があるわけですが、大きく変える必要はなく、ほんの少しだけでいいので変えてみるということをうまくいかない時ほど試してみていただけるとスランプを抜け出しやすくなります。


皆さんの求めていることや目標も色々とあると思います。

もっと自由な生活をしたいとか、仕事の効率を上げたい、もっと友達を増やしたい、今年こそはダイエットをしたいなど色々とあると思いますが、それも突然多くのことを求めてしまうとなかなか難しいことですし、プレッシャーになりかえって何も出来なくなってしまいます。


今の生活より10%だけ自由な生活を手に入れるには?

仕事の効率を10%だけ上げるためには?

友達の数を10%だけ増やすためには?

運動やトレーニングの量を10%だけ増やすためには?

このように10%だけ変えるには? と考えてみていただけると、くじけない人の考え方を身につけて、目標に向かって進むための糸口を見つけることもできると思います。


ちなみに、自分が調子がいいときには10%ではなく10倍にすることを考えてください。

10%というのは少し頑張ればできるような数字だったりもします。

10%変えようと思うと、仕事であれば少し無理をしたりいつもより長めに働くことで、それができたりもします。

そうなると新しいアイデアも生まれなくなってしまいます。


ですから、自分の調子が悪かったりスランプを感じているときには10%だけ変えてみるということを意識してもらい、逆に、自分の調子が良くて自分を大きく変えようと思ったときには、「10倍にするにはどうすればいいのか?」と考えてもらえると、それにより思考の幅が広がりますので、新しいアイデアを生み出すことにもつながります。

この使い分けを覚えておいてください。


あきらめない人の考え方:「トライした回数をカウントする思考」

人はどうしても結果に縛られてしまいがちです。


自分が調子がいいときや目標に向かって頑張っている時というのは、自分が成功した回数をカウントしていれば、それによりどんどんモチベーションが湧いてきて進むことができます。

ところが、その結果としての数字にとらわれていると、その数字が下がった時に自分の心が耐えられなくなってしまいます。


成果が出なくなったときであっても、そんな中、常に挑戦し続けている自分を誇りに思ってもらいたいので、トライした回数をカウントするようにしてください。


例えば、YouTube でチャンネル登録者数が増えなくなってしまったというのであれば、登録者数が増えなくても、毎日欠かさず動画を投稿し続けているということを誇ればいいわけです。


これは、さらに言うと、伸びていないときであれば今までよりも投稿回数を増やすとか考えてみてください。

伸びていないときには色々なことを試すことができるタイミングだと考えます。


うまくいっていないのであれば、回数を増やしたり、今より工夫してみたりして、そのトライする回数をカウントしてください。

それにより挫けることなく続けることができて、いつかは先ほど紹介したように階段状の一段ステップを登ることができます。


あきらめない人の考え方:「Why ではなくHow で考える」

うまくいかないときには、人は、なぜうまくいかないのだろうとか、こんなに頑張っているのにどうしてうまくいかないのかと悩んでしまうものです。


この「どうして?」「なぜ」:Why? という思考になると、人はどんどん自分を責めてしまいます

うまくできることが前提になっているので、なぜそれができないのかと自分を責めてしまうわけです。


そうではなく、「どうすれば?」「どのような方法を新しく試せばいいのか?」:How? という考え方にしてください。


うまく数字が伸びていないのであれば、今まで試していないことでどんな事をすれば伸びるだろうかとか、どのような変化をさせてみればうまくいくだろうというようなことを考えます。


Why? という質問は常に過去に向いてしまいます。

これは仕事でも人生でもどんなことでも同じです。


「なぜ自分はこんなにも苦しいのだろうか?」

「なぜ収入が低いのだろうか?」

「なぜ自分は集中力が低いのか?」

ということを考え始めると、過去に対して目がいくようになります。


そうなると、自分はいい大学を出ていないからだとか、自分は家庭環境に恵まれていなかったから、子供の頃に一生懸命勉強しなかったから・・・というように、Why?:なぜ? を考え始めると、全て過去に目が向いて後ろ向きな思考になってしまいます。


一方で、How?:どうやって? を考えると、これからどのようにすれば学歴を乗り越えるような能力を身につけることができるのか?、どうすれば新しいことを習慣化できるのだろうか?、どうすればこの苦しい状況を乗り越えることができるだろうか? というように、思考が前に向きます。


これは無駄にポジティブ思考になるべきだというわけではありませんが、あきらめない人やくじけない人はほとんどの場合その思考が「How?」です。

だから、思考が後ろ向きにならず挫けることなく頑張ることができるわけです。




粘り強く物事に取り組む能力


人生の成功に必要なスキルに関するロンドン大学の研究を見てみると、52歳以上の男女8119人を対象に11年間にわたり追跡調査したというものですが、この研究でも、やはり、ひとつのことに諦めないで粘り強く取り組む力が成功のためには重要だということがいわれています。


この粘り強さとは学習可能なものです。つまり、後から身につけることができる能力です。


粘り強さを測る方法

1940年にハーバード大学の研究チームが行なった実験で、健康な男女を対象に角度のついたトレッドミルで5分間走ってもらうようにお願いしました。

かなりの角度がついて、よほどきつかったようで、5分間走るように指示したにもかかわらず大抵の被験者は4分間までで脱落しました。


そのトレッドミルでどれくらい走り続けることができるのかということをチェックした上で、その後数十年経ち参加者が60代になった時にもう一度集めて、彼らの収入や仕事に関するキャリア、社会的な活動や仕事に対する満足度、結婚しているかどうかということや夫婦関係の満足度からメンタルの状態というようなことまで調べました。


それにより、若い時にトレッドミルで5分間走り続けることができていた人たちと、走りきることができず途中で諦めてしまった人たちで、人生に何かしらの違いが表れていたのかということを調べようとしたわけです。

要するに、若い時の粘り強さが将来に何かしらの影響を与えるのかということを調べています。


その結果、粘り強さが強くトレッドミルで5分間走り続けることができた人は、収入やキャリアも、社会的な活動や仕事に対する満足度も高く、結婚状態もメンタルの状態も良かったということです。


ここまででは、トレッドミルで走り続けることができた人はただ単に運動能力が高かっただけではないのかと考える人もいると思います。

運動能力が高かったので歳をとってからも良い人生を歩んでいただけなのではないかという議論が、最初にこの論文が出た頃には起きました。

ところが、被験者たちの肉体能力を調整した上でも同じ現象が確認されました。


ですから、体力があるかないかということにかかわらず、若い頃から目の前のことに粘り強く取り組むことができる能力を持っていると、歳を重ねれば重ねるほどその差は大きく開いていくということです。

もちろん、歳をとってからでも鍛えるに越したことはありませんが、できるだけ若いうちに身につけておくと、人生の成功に対して大きく影響してくる可能性があるということがいえます。


ひとつのことに取り組んで心が折れそうになっても粘るという体験を重ねれば重ねるほど、諦めない力は鍛えられ人生にとってもメリットは大きくなるということです。


例えば、読書をしている際になんとなく内容が難しくなってしまったので、ちょっと LINE でも見てみようかと思い、自分が粘り強さを発揮できない状況に気付いたら、そこで粘り強く頑張ればそれは将来のためになるはずだと考えて諦めない力を発揮していくことが大切です。


お勧めとしては、そんな心が折れそうな作業を1日に1回や2回でもいいのであえてするようにしてみてください。

例えば、1日30分でもいいのですぐに心が折れてしまいそうな難しい本を読むようにしてみてください。難しくて心が折れそうになっても30分間は頑張って読むようにします。


本ではなく、筋トレやスポーツでもいいと思います。HIITのような心が折れそうになる運動を毎日続けてもいいでしょうし、筋トレであれば、あげられる限界ぐらいまで変化をつけながら体を追い詰めていくというのもいいと思います。

習慣化のテクニックを使って、継続的に新しい習慣を身につけていくというのもいいと思います。

粘り強さを鍛えることによって、それは人生の後半で大きな差として影響してくるものだということを覚えておいてください。


過去を乗り越える力も身に付く

2019年のフィンランドアカデミーの研究で、2018人の学生を対象に全員の粘り強さを調べる実験を行いました。

その上で、全員を6年生から9年生まで追跡調査して、学業の成績との相関を調べました。

要するに、粘り強い人は学校の成績もいいのかということを調べようとしたものです。


その結果わかったこととして、8年生の時点における粘り強さが9年生になったときの学業の成績と相関しているということでした。

この結果は、その人の誠実性や過去の成績を調整した上でも同じ傾向が確認されました。

つまり、過去の自分の成績が悪かったとしても、性格としての誠実性が低かったとしても関係がないわけです。8年生の時点で粘り強さをちゃんと発揮することができていれば、1年後になった時にはちゃんと成績として結果がついてくるということです。


ですから、過去の成績や成果が今ひとつだったとしても、今から粘り強さを身につけることができれば、1年や2年のスパンでも確実に結果として現れるということがこの研究から見えることです。


ちなみに、6年生の時点での粘り強さもゴールへのコミットメントに相関していたということもわかっていますので、粘り強さを身につけることができれば、将来の成果はもちろん、その時点でもゴールへのコミットメントも強くなるということも言えます。


過去は関係がなく、今から粘り強さを身につけることができれば、僕たちの人生は短いスパンでも変わっていくということを覚えておいてください。


ここから先は、実際に粘り強さを身につけるための方法について解説していきます。

人生も、これからの可能性も、諦めることなく挑戦していくためにぜひ続きもチェックしてみてください。