あなたが、心を掴みたい人は誰ですか?
今回は、職場で協調性を持つようにと言われた方の相談をもとに、センスに頼らないロジカル社交術について解説させてもらいます。
Q. 上司や先輩から協調性をもっと持つように言われました。どうすればいいのでしょうか?
協調性が高くなればなるほど収入が下がるという研究があります。
周りと歩調を合わせるために、新しいことに挑戦できなくなってしまいます。
僕は協調性はほぼゼロですが社交性は高いタイプです。自分を持った状態で他人とコミュニケーションをとれることが大事だと思います。
ですから、協調性は気にする必要がありませんが、社交性は技術として鍛えておいた方がいいです。
周りに合わせる必要はないし自分を貫いても構わないけれど、相手をリスペクトしながら自分の言いたいこともちゃんと伝えることができるというのがベストだと思います。
協調性を持てというのは、責任を逃れ、なんとなく社会に溶け込み凡庸な人生を歩みたい人の言い訳だと思います。
大事なのは、協調性ではなく、社交性とコミュニケーションスキルです。
以上がDaiGo師匠からのアドバイスでした。
社交スキルにセンスは必要ない!
行動科学の研究をもとに、人間のコミュニケーションスキルなどの社交に関わる力を高めるためにはどのようなことに気をつければいいのかということを解説していきたいと思います。
社交力や社交術に関してはセンスによるものが大きいと考えている人が結構います。
社交やコミュニケーションというものは、そもそもセンスによるものだと考えていたり、コミュニケーション能力が低いのはセンスがないからだと考えている人もいます。
もちろんコミュニケーションや人を相手に喋ることを仕事にしようというようなレベルになれば、ある程度センスは必要だとは思いますが、自転車に乗るのにセンスや才能は必要ないように社交に関しても同じです。
自転車でも競輪の世界でトップを取ろうとか、ツールドフランスに出ようと考えるのであれば、確かに技術や努力だけでなくセンスも少なからず必要になるのかもしれませんが、近所に買い物に行くために自転車に乗るのにセンスが必要だと考える人はいないはずです。
コミュニケーションや社交というものもこれと同じです。
人間が生物としてそもそも備えている必須機能ですから、そんなにセンスや才能によるものではないはずです。
それにもかかわらず、多くの人がコミュ力がないからとか、センスがないからとできない理由を言うわけです。
人間力(Human skill)は主にコミュニケーション能力のことですが、これに関して調べられた79件の研究から社交力を高めるための4つのスキルについて解説したいと思います。
この4つのスキルは誰でもできるものです。
誰でもできる簡単なものですし、社交とはそういうものなのかということが理解できるので、他人とコミュニケーションをしたり人間関係を作ることが難しいことではないということがわかるはずです。
自転車に例えるなら、自転車がそれに乗ってこぐことで前に進むものだということを理解していない状態で原始人などに与えても使うことはできません。
社交力も同じで、そもそもどのようなことを目的にして、僕らは社交をするのかとか使い方を知らないとそれをうまく利用することができないだけです。
コミュ力を高めるためのおすすめ本
まず、今回のおすすめの本としてはコミュ力を高めたいという方におすすめの3冊を紹介しておきます。
内向型人間が無理せず幸せになる唯一の方法 (講談社+α新書)
参考にしている研究は2017年に行動学者のヴァネッサ・エドワーズ博士がHuman skillについて調べられた先行研究を集めて、そこから79件のデータをもとに社交の必須スキルをレビューしてくれています。
その結果、大きく分けて4つのポイントさえ押さえておけば誰でも社交スキルは上がるということがわかっています。
①社交のルール設定
主に3つの自分の中での社交ルールを決めておくだけで、迷うことなくほぼ自動的に他人とのコミュニケーションができるようになるというものです。
コミュニケーションにおいて「迷い」というものは非常に大きな問題になります。
この人と付き合おうかどうしようか、この人にこんなことを言っていいのだろうか、やめたほうがいいだろうか、これを言ったら嫌われるだろうか、今話しかけてもいいだろうか・・・パーティーやコミュニケーションの場に行くとこのようなことで迷う時が多いはずです。
コミュニケーションにおいて一番良くないのはこの迷いです。
コミュニケーションにおいて、迷っている人を他の人から見ると、それは能力が低く見えるか嫌われているとかつまらないのだろうと思われるかのいずれかです。
コミュ力がないと思われるというよりも、「能力が低い」「嫌われる」「つまらないのだろう」のいずれかで理解されます。
よく誤解されるとかギャップがあると言われるという人がいますが、これも最初に会った時に迷いがあったからだけだということがほとんどです。
意外と話してみたらいい人なんだねとか言われることが多い人もいると思いますが、これは性格が変わったとかそういうことではなく最初の時に迷いがあったからだけです。
迷いによって周りに与えられている不安感がそうさせているわけです。
迷いが良くないからと言って、ただただコミュニケーションをとりまくれということではなく、コミュニケーションにおいて迷いが出ないようにあらかじめルールを決めておくことが大事です。
これによって無駄なコミュニケーションの軋轢や誤解などを生み出さなくて済むようになります 。
このルールを設定するだけで社交スキルが上がるということです。
このルール設定は3つのポイントからルールを設定してもらいます。
ポイント1:場所設定
ポイント2:人物設定
ポイント3:導線設定
これら3つを設定しておくと、基本的には社交の場で困ったり迷いが生まれることはなくなります。
皆さんの社交スキルが発揮できるかどうかというのははっきり言って環境によって左右されるものです。
ですから、これを理解しておけば社交スキルを発揮することができます。
社交スキルがないと考えている人はこの状況設定や環境設定が下手なだけです。
自分がわざわざ話しづらい場所に立っていたり、わざわざ自分がモチベーションが湧かないような人と話していたりします。
ほとんどの人は自ら自分の社交力を封印しているようなものです。
ですから、社交力を発揮するためにはまずは環境が大事だということを覚えておいてください。
自分なりのコミュニケーションのルールや、環境選択のルールというものをあらかじめ決めておくと、社交力を発揮することはできて、これは別にセンスがなくてもコミュニケーションをとれるようになります。
社交スキルは学校で教えてくれることもありませんし、誰も教えてくれないので、生まれ持ったセンスのようなものに頼っている人がほとんどですが、研究では後から身につけるスキルだけで十分にできるものだということがわかっています。
1. 社交力を発揮するための場所設定
他の人と喋る時に、自分が一番くつろげる場所はどこだろうかということをまず最初に考えてみてください。
「自分が一番リラックスして話せる場所は?」
例えば、自分の会社のデスクでもいいですしレストランでもいいです。ホームパーティーの場や実家、ZOOMでのやりとりやビデオ通話がいいという人もいると思います。
誰かと喋る時に、一番くつろいだ状態で喋ることができる場所はどのような環境でしょうか?
お酒が入っているとよく喋れるから居酒屋がいいという人もいると思いますし、人が遊びに来た時にはよく喋ることができるから自分の家の中という人もいると思います。
たくさん人がいるようなパーティーの場ではあまり喋ることができないけれど、一対一でカフェなどで話をする時にはよく喋ることができるという人もいると思います。
まずは自分のそんな場所を探してください。
自分がここなら落ち着けるとかその状況がわかっていれば、人と会う時には自分でそのような場所を設定するようにするということもできます。
社交力が低いと思っている人は、この場所さえも相手に全て委ねます。
誰かと会う時に場所をどこにしようかと尋ねられた時に「どこでもいいですよ」と返す人が多いですが、これはとてももったいないことです。
自分が安心することができる場所を設定すればそれだけでかなり違いが出ます。
これは人によって違うと思いますし、何が正しいとかどういう場所がいいということでもありません。
自分のこれまでの体験の中で、どのようなところだったら落ち着いて相手と喋ることができたかということを思い出して考えてみてください。
「自分が一番苦痛を感じる場所は?」
次に、誰かといる時に、自分が一番苦痛を感じる場所はどこだろうかということを考えてみてください。
できるだけ具体的に考えるようにしてください。
それぞれ3つずつリストアップ
自分が一番リラックスすることができる場所と一番苦手な場所がこれでわかったと思います。
この2つについていくつかピックアップしてもらったら、自分にとって最高な場所・普通の場所・苦痛な場所を3つずつリストアップしてください。
3つ思いつかないという人もいるかもしれませんが、ぜひこれは想像力を働かせて考えてみてください。
自分にとって安心できる最高の場所を3つ
安心もしないけれど不安も感じない場所を3つ
自分が苦痛を感じる場所を3つ
これを踏まえた上で、出来るだけ自分が安心できる場所を選んで相手と会うように心がけてもらい、それ以外の場所は断るようにしてください。
自分にとって苦手な場所を選ばれそうになった時には、おすすめのレストランがあるとそちらを勧めてみたり、自分にとって苦痛を感じる場所を指定されたら、その日は予定があると断るようにしてください。
これだけでも社交をする時に場所を相手に委ねることもなくなります。
よく付き合いだから行かないといけないというようなことを言う人もいますが、付き合いだからといって、自分が社交能力を発揮することができない場所に行ってわざわざ時間を使っても、先ほど紹介した通りその場で迷いがあるような状況になってしまうと人間関係を壊してしまうだけです。
それであれば逆に行かない方がまだマシです。
ですから、自分が苦痛を感じる場所としてリストアップした3つの場所に関しては、そこに行っても無駄に疲れてしまうだけで人脈が広がることなんてありません。
2. 社交力を発揮するための人物設定
社交において重要なのは自分をサポートしてくれる人と社交したいと自分が思っている相手を決めておくことです。
人間は自分が周りから守られているとか、サポートを受けているという感覚が重要ですし、自分がこのような人と一緒にいたいのだということが明確になっているとコミュニケーション能力は高くなります。
誰でも周りが敵ばかりだと思えばしゃべるのも面倒ですし、コミュニケーションは取りたくなくなるはずです。
自分が社交したいと思う人もいなければ、自分をサポートしてくれる人もいないとなるとコミュニケーションもとりたくなくなるのは当然ですから、まずはこの2つを明確にしておくことが重要なわけです。
「自分をサポートしてくれる人は?」
社交が苦手ではないという場合には、ここは飛ばして次に進んでもらっても構いませんが、社交が苦手だという場合には、まず自分をサポートしてくれる人物を常に用意しておくというのが結構いいテクニックになります。
仕事でも友達とでも自分が社交スキルがないと思っている場合には、その人と一緒にいるとなんとなく安心するというような人と一緒に行くようにしてください。
自分が喋りたい時には上手に話を振ってくれて、特に自分が喋りたくない時には上手にひいてくれたり話題を変えてくれるような自分の社交をサポートしてくれる人物を用意するようにしてください。
これは具体的には、一緒にいて自分のいいところを引っ張り出してくれるような人物であったり、自分がよく相談をする人、自分が楽しく話すことができる話題をよく引き出してくれる人としては誰がいるかということを考えてみてください。
これに当てはまる人と普段から仲良くしておくということが非常に良いテクニックになります。
これにより自分の社交スキルも上がります。
社交スキルというものは、きっかけさえあればそれで上がるものだからです。
ですから、社交がどうしても苦手という人は自分をサポートしてくれる人を用意するようにしておきましょう。
「自分が社交したい人は?」
あらかじめ自分が社交したい相手や付き合いたい相手を明確にしておくことが重要です。
これについては、自分が一緒にいたい人物は誰なのかとか、自分は価値があると思わせてくれる人物は誰なのかというようなことを自分に自問してもらい、それに当てはまる人を周りの人から選んでもいいでしょうし、その人物像を明確にするということでもいいと思います。
その人と一緒にいると自分は価値があると思ってくれるというのは、自分の能力を評価してくれるということでもいいでしょうし、自分の力を上手に使ってくれる人です。
このような人は誰だろうかということを考えてもらい、そこから誰と社交したいのかということを考えてください。
ここまでで皆さんが付き合うべき相手は2種類しかいないということがわかったと思います。
皆さんをサポートしてくれる人がいれば、他の人がそこに入ってきても皆さんをうまくサポートしてくれるので人脈が広がる可能性もあります。
そして、皆さんが一緒にいて自分自身に価値を感じることができる相手の2種類の人物が社交の場に大切な存在だということです。
これが明確になっているだけでかなり人間関係が楽になるということもあります。
胸に手を当てて考えてもらいたいのはこの2つに当てはまる人物が皆さんの周りにいるでしょうか。
もしそれが思い当たらないと言うのであれば、それは皆さんが今までいかにこの基準を無視して社交してきたのかということがわかります。
3. 社交力を発揮するための導線設定
盛り上がるエリアとそうでないエリアを知っておくということです。
例えば、パーティーのようなイベントを観察してみると、会話が盛り上がりやすいエリアと会話が盛り上がらないエリアというものが実は決まっているということがわかっています。
個人の社交力もある程度は大事なわけですが、どこに立っているかによって話しかける率も全く変わってくるということです。
社交力の高い人は誰かれ構わずただ話しかけていると思っている人もいますが、実際にはそんなこともなく、必ずパーティーなどの場では会話が盛り上がりやすい場所と盛り上がりにくい場所があるので、それを事前に押さえておいてあらかじめどのように動くのかということを決めておくということが大事です。
会話が盛り上がらないエリア
会話をしづらいエリアとしては、人が素早く通り過ぎてしまう場所などになります。
例えば、会場の入口付近や料理のお皿が並んでいる場所などです。
入口の辺りに立っていても人は通り過ぎるだけで周りを見ていません。そうなると当然そこにいても誰も話しかけないわけです。
会場の壁際というのもあります。
これも同じで壁までわざわざ行く人はいないからです。
人通りが多い場所や人が溜まりにくい場所は避けるようにしてください。
社交の場やパーティー会場などに行くと、多くの人は知っている人はいないかと人を見ています。
知っている人がいれば安心するかもしれませんが、その人のところに行っても社交にはなりません。
もし知っている人のところに行くのであれば、誰か紹介して欲しいとお願いするようにしてください。
そうでなければ知っている人のところに行っても意味はありません。
会場に行ったら、まずは周りを見渡して盛り上がってる場所や会話が弾んでいる場所をチェックしてそこに行くようにしてください。
人が多く集まっていると行きづらいように感じるかもしれませんが、人が集まっている場所には必ずスーパーコネクターや他人を他人に紹介するのがやたらと得意な人がいます。
そういう人がいる場所に行くと、必ず誰か話しかけてくれて輪に入ることができます。
会話が盛り上がるエリア
これは見渡せばわかると思いますが、例としては、やはり周りに壁がない場所の方がいいです。
パーティ会場であればドリンクを配布しているエリアもいいです。
飲み物の場合は飲みながらも会話することができますし、ドリンクが空になって取りに行った時に出会った人と会話が始まることもあります。
愚直ですが主催者のいるあたりというのもいいです。
パーティーであれば主催者のところには必ずみんな挨拶に行きますから、メインになるような人物の近くに行くというのは結構いい方法だと思います。
親切な行為は断りにくいので、写真を撮ったりする場所など、気軽に親切な行為として声をかけやすい場所を選ぶというのもその親切をきっかけに自然と会話が始まるのでいいと思います。
その親切をするためには当然理由が必要です。
その理由を与えてくれるのが場所であり環境です。
ですから、僕たちは社交をするときに人ばかりを見てしまいますが、実際にはそれよりも事前の条件設定や場所や環境を理解してそれをうまく利用することが大切だということです。
ここから先はさらに具体的な社交スキルについて解説していきます。
ぜひ続きもチェックしてみてください。