あなたにとって理想の人生とはどんな人生ですか?


今回は、終わりの見えない不安を抱えている方の相談をもとに、皆さんが自分の力で自分の人生を切り拓く方法について解説させてもらいます。


Q. 社会人になってからどんどん視野が狭くなっています。終わりが見えないと不安になってしまうため、今25歳ですが30までに死ぬという仮の目標を立てています。

やりたいことは残り数年のうちに終わらせてしまいたいと思っていますが、とても甘えた考えで恥ずかしいです。

考え方を前向きにするにはどうしたらいいでしょうか?


人の死について考えることはとても良いことです。

自分がどう死ぬかということを考えることにより自己コントロール能力が上がったりします。


良いことではありますが、30歳で死ぬと考えるのはやめてください。

それは短期目標になってしまいます。

自分が90歳や100歳の頃に死ぬと考えて、その時に自分の周りにはどんな人がいて、自分はどんな人生だったと思いながら死ぬのかというように、超長期的な目標として死について考えると今の行動力が高まります。


以上がDaiGo師匠からのアドバイスでした。




自分の力で価値ある人生を切り拓く


ここまで認知行動療法の一種であるACTについてシリーズとして解説してきました。


人は幸せになろうとして、不幸やネガティブな感情を避けようとすればするほど、逆に不幸になっていってしまう幸福の罠と言われるパラドックスがあります。

そこから抜け出すための方法として、ディフュージョンやエキスパンション、コネクト・ウィズ・モーメントについて解説してきました。


人生をかけて追求したいことが見つからない理由

仕事でも趣味でもやりたいことが見つからないとか、人生をかけて追求したい目標が見つからない人は多いと思います。


理由その1 :ネガティブにとらわれているから

その原因としては、まず第一段階としてネガティブにとらわれているからです。

ネガティブな思考や感情にとらわれてしまうと、自分の集中力が全てそちらに持っていかれてしまいます

それによって、目の前の仕事や趣味、自分のやるべきことに没頭できなくなります。

没頭できないから楽しめないわけです。


特に、仕事も趣味もある程度上手になったりスキルを身につけないと楽しむことができません。

自分の成長を感じたりできることが増えてくると、そこにやりがいを感じたり楽しさを感じるようになります。

ネガティブにとらわれてしまう人は、その楽しさを感じるまで続けることができません。

だからやりたいことが見つからないわけです。

やりたいことがないのではなく、自分がネガティブにとらわれているせいで気付かずスルーしているだけです。


理由その2 :目標達成を人生の目的にしているから

人は何かの目標を達成することを人生の目的にしてしまうと、自分のやりたいことが見えなくなるし不幸になってしまいます。


ACTでは、バリュー(価値観)と言われますが、目標達成を人生の目的にするのではなく、自分の人生の価値を追求することを目的にすることで、幸せな人生を創ることができるということを教えてくれます。

ここでいう価値とは、心の中で最も深い欲望のことです。

人生を通して自分のやる気を高めてくれる概念です。


例えば、DaiGo師匠の場合であれば、人生の価値は「知識と体験の追求」です。

知らないことをもっと知りたいですし、経験したことがないことをもっと体験したいというのが人生の価値です。


人生の価値を目的にすると終わりはありません。

目標達成の場合には、いつかそれを達成したら終わりが来ます。

それを人生の目的にするべきではないということです。


まるでゾンビのように達成したら次の目標を考えて走り続けないと満足できなくなってしまいます。

目標達成を人生の目的にすると、達成するまでは、なかなか達成することができず悶々とした毎日を過ごします。

達成した時の喜びは一瞬で終わり、これから何をすればいいのかわからなくなります。


自分の人生を充実させたいのであれば、やるべきことを続けるためのモチベーションを一定に保つ必要があります。

そのためには、尽きることのないずっと持ち続ける人生の価値を目標にする必要があります。




「価値に導かれる人生」


ACTの重要な考え方である「価値に導かれる人生」というものは、困難な時期や辛い時期でさえも、豊かで満ち足りた人生として歩んでいくことができます。

自分の価値観をベースに生きている人生であれば、どんな状況でもやるべき行動を続けることができてパフォーマンスを一定に保つことができます

パフォーマンスが安定するから、いつかはそれが報われて成功するわけです。


目標達成を目的に生きていると、困難な時期が辛い時期になった時に自分を卑下したり追い詰めてしまいます。

価値に導かれる人生は、良い時も悪い時もパフォーマンスを一定に保つことができます。

それを続けていればいつか大きな成果に繋がります。


アウシュビッツ収容所を生き抜いた人

アウシュヴィッツ収容所の悲しい歴史について調べた研究を見ると、健康な人よりも、自分の人生の目的と繋がりを持っている人が生き残ったということが確認されています。

体が丈夫な人が生き残ったのではなく、苦しい状況の中でも自分のできることをやって生き抜くことを考えた人が、実際に生きてそこから出ることができました


強制収容所に入れられる苦しみというのは、僕たちではとても考えられないレベルの苦しみです。

それに耐えるだけのレジリエンスを鍛えてくれるし、人生を強く幸せにしてくれるのが価値の力です。


そんな死と隣り合わせの状況で強く生き抜いた人たちについて知りたいのであれば、有名な本ですがこちらがおすすめです。

なぜ彼らが苦しい毎日を耐えることができたのかが理解できます。

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夜と霧 新版


ニーチェも同じような言葉を残してくれています。

「生きる意味を見出した人は、大抵のことは耐えられる。」


自分の生きる意味を探すことが、価値に導かれる人生を歩むことです。

人生の価値は継続的な行動に結びつくけれど、目標達成を目的にするといつか挫折してしまいます。

自分の人生の価値を目的に生きていきましょう。


今回はそんな人生の価値を見いだすためのワークを紹介していきます。


ワークその1 :80歳になった自分エクササイズ

80歳になった自分を想像してみてください。

80歳になったら自分がそれまでの人生を振り返ります。


そして、それが1日で起きたことかのようにまとめてみてください。

イメージとしては、朝起きた時に生まれて、お昼ぐらいに20代や30代ぐらいの人生で一番脂が乗った時期に差し掛かります。

お昼から夕方にかけて、30代40代50代と進んでいき、もうすぐ寝る前で自分は80歳です。

1日の時間軸の中で自分の人生を振り返ります。


ちなみに、これは自分の人生計画を立てる時にも使える方法です。

短い時間で考えると、自分が無駄に時間を使っているところややるべきことが見えてきたりします。


今回は、エクササイズとして、人生を振り返って、それが1日のことであるかのようにまとめた上で、次の文章の空いている部分を埋めてください。


「私は◯◯を恐れるあまり、多くの時間を費やし過ぎた」

「私は◯◯のようなことに、ほとんど時間を使わずに生きた」

「もし時間を戻せるなら、今までやらなかった◯◯をしたい」


80歳になった自分が1日のことであるかのようにそれまでの人生を振り返っています。

そんな中でこの3つの文章をどのように穴埋めするか考えてみてください。

今のままあなたが生きて、いつか80歳になったとしたら、どう答えるか考えてみてください。


この文章の穴埋めをすると、自分が本当にやりたいことが見えてきます。

なぜかと言うと、「自分にとって価値がある行動」と「現実で皆さんがとっている行動」の違いが明確に浮き彫りになるからです。


このエクササイズは定期的に行ってください。

特に、自分のモチベーションが下がったり、自分のやりたいことがわからなくなった時などに行なっていただけると、見えてくることがあります。


ワークその2 :自分の価値を見つけるエクササイズ

これは毎日行なっていただいてもいいエクササイズですが、先ほどよりもう少し踏み込んだ内容になります。

次の4つの視点から自分の人生を分析して、価値を明確にするためのエクササイズです。

①人間関係

②仕事と教育

③個人的成長と健康

④余暇


元の研究内容に沿ってこのワークを行ってみたい方は、今回参考にしているこちらの本をチェックしてみてください。

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幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない: マインドフルネスから生まれた心理療法ACT入門 (単行本)


少し使いづらい部分もあると思いますので、使いやすいようにアレンジした方法を紹介しておきます。

紙とペンを用意してもらい、それぞれ質問に答える形で紙に書き出してみてください。


①人間関係

どんな関係を作りたいか?

その関係の中でどう振る舞いたいか?

どんな個性を伸ばしたいか?

理想の自分だったとしたら、他人にどう接するか?

自分の大事な人たちと一緒に、一生続けたい行動は何か?


当然ですが、自分の人生の中で自分でコントロールできるのは自分の行動だけです。

人間関係の悩みになると、あの人は羨ましいとか、あの人のあそこが嫌だとか、自分ではどうにもできない問題ばかりに目を向けてしまいがちですが、この5つの質問は人間関係の問題を全て自分の視点から考える内容になっています。


全てを自分の行動に置き換えて考えます。

それによって自分の大切な価値が見えてきます。


②仕事と教育

職場あるいは学校に自分のどんな資質を持ち込みたいか?

理想の自分だったとしたら、同僚や顧客にどう接するか?

職場や学校でどんな人間関係を作りたいか?

どんな知識やスキルを手に入れたいか?


注意点としては、自分の目標達成に関わる項目を書き出さないようにしてください。

自分が望む仕事やキャリア、学習レベルを自分が既に持っていたらどうするかという観点で考えます。


自分が今持っているけれど活かしきれていない資質、理想の自分だったら職場や学校でどのように接しているか、そこでどんな人間関係を作りたいのか、そして、自分が活かしたい知識やスキル、素養は何かということです。


③個人的成長と健康

どんな活動を始めたいか?(再開したいか?)

どんなグループや組織に入りたいか?

自分のライフスタイルをどう変えたいか?

これらの質問に答えると、自分の本当にしたいことが見えてきます。


④余暇

どんな趣味やスポーツに参加したいか?

どんな方法でリラックスして人生を充実させたいか?

なんでもできるとしたら、どんな活動に参加したいか?


おそらく答えやすい質問と答えにくい質問があったと思います。

ここまで答えてもらったら、そのあたりも踏まえてもらった上で、①人間関係②仕事と教育③個人的成長と健康④余暇ごとに、それぞれの書き出した内容を見ながら、10点満点で採点してみてください。

それぞれの項目ごとに、まだまだやってみたいけれど、手を付けることができていない活動があると思います。


そうすると、4つの項目のうち自分がどこにもっと取り組むべきなのかが見えてきます。

4つの項目ごとに人生の価値を分析した時に、自分にとって最も重要な価値や積極的に取り組むことができている価値が見えてきます。

それと同時に、これからもっと充実させるべき価値も見えてきます。

自分の人生で恵まれていること、人生で足りないことが明確になります。


自分の人生の価値を明確にするためのワークについて紹介させてもらいました。

それでも今ひとつ自分の価値を明確にできていない人もいると思います。

ここから先は、自分の価値が見つからない時に使える7つの質問と、自分にとって有効な行動を見つけるためのワーク、そして、より実践的にACTを使って人生を生き抜くための方法まで詳しく解説していきます。

ぜひ続きもチェックしてみてください。