あなたは、思いやりがある人とは、どんな人だと思いますか?
今回は、自分に思いやりや許容力がなかったために恋愛で失敗したという方の相談をもとに、思いやりのチカラについて解説していきます。
「Q. 付き合って1年で初めてのケンカで彼氏と別れました。自分の思いやりや許容力がなく彼を苦しめたのかと後悔の念に押しつぶされそうになります。吹っ切るためのアドバイスをお願いします。」
恋愛だけでなく、人間関係での過去の失敗をあれこれと後悔する人は結構いると思います。
「もっとああすればよかった」「こうすればよかった」と後悔するわけですが、「それを10年間続けることができただろうか?」と考えてみてください。
相手との関係の中で問題が起きるのは当たり前です。
ケンカすることもあれば、嫌なところが気になることもあります。
それを10年間続けることができるでしょうか?
10年続けることができると思えるのであればいいかもしれませんが、2年ぐらいの間に相手に変わって欲しいとか、今はできても10年は無理だというのであれば、仮に関係を戻すことができたとしてもおそらく続きません。
人間関係でも恋愛関係でも、長期的な関係で物事を考えると大抵は答えが出ます。
自分の思いやりや許容力がなくて彼を苦しめたのかと原因を探るのはいいですが、恋愛なんてケンカの原因はいくらでもあります。
ひとつの原因を潰しても他の原因が出てきます。
重要なのは、結果を長期間にわたって受け入れることができるかどうかです。
ケンカの原因はたくさんあります。それを10年経っても20年経っても受け入れることができるのであれば関係は続きます。
それが無理なのであれば諦めた方がいいです。
以上がDaiGo師匠からのアドバイスでした。
自分への思いやりを大切にしていますか?
皆さんも思いやりが大事だと言われて育ったと思います。
他人に対する思いやりももちろん大切ですが、今回は自分自身に対する思いやりの重要性についても解説させてもらいます。
最近の研究では、自分の未来に対する思いやりを持てる行動を取れる人は、成功する可能性が高くなると言われています。
無理をして自分をコントロールしたりストレスを抱える必要はなく、仕事でも恋愛でも良い方向に進みやすくなるということです。
自分への思いやりは、人間の素晴らしい判断と良い行動に結びついていくとされています。
実際に、自分に思いやりをもった行動をとる方がダイエットでも成功しやすくなるという研究があります。
ダイエットでは自分に厳しくあろうとする人は挫折しやすくなります。
自分に厳しい言葉をかけながらダイエットを頑張った場合と、自分に優しい言葉をかけながらダイエットを頑張った場合を比べると、優しい言葉をかける人の方が成功しやすくなります。
ダイエットに限らず、目標を達成したりやるべきことを習慣化することができない人は、失敗したり怠けた時に激しく自分を責める人が多いです。
今回は、自分への思いやりを高めて人生を変えるための方法についてです。
自分への思いやりを増やすと長期思考
VR の専門家のジェレミー・ベイレンソン氏と心理学者のハル・ハーシュ氏が行った研究があります。
老後の自分と面接できるという実験を行っています。
小部屋に入って研究者たちの質問に答えてもらいますが、その部屋には鏡があり、そこに映っているのは老後の自分でした。
参加者の顔をスキャンして、リアルタイムでその人の老後の顔を鏡に映していたわけです。
自分の姿が老けたような錯覚を感じる中で、研究者はさまざまな質問を行っています。
例えば、今月は将来のためにどれくらい貯金をするのか? 健康的な食事を週にどれくらい行うか? など、将来の自分のための行動をどれぐらい行うのか質問しています。
普通に鏡にいつもの自分が映る人と老後の自分が映る人を分けて実験を行ったところ、老後の自分が映る人の方が、未来の自分にとって得になる行動をたくさん行うようになっていました。
つまり、目の前の利益を避けて遠い未来の大きな利益を取る選択ができるようになっていたということです。
人は将来の大きな利益よりも目の前の小さな利益を優先してしまう「遅延割引」という性質を持っています。
この割引率はかなりの影響を与えます。
人が特に何も意識しなければ、1年後の1万円と今の1,700円が同じぐらいの価値になってしまいます。
この割引率が老後の自分が鏡に映ることによって下がります。
老後の自分が鏡に映ることによって、自分が歳をとってからの苦労や後悔を具体的に感じやすくなります。
実際に、この実験を行ったところ貯蓄率は2倍になったそうです。
老後の自分が鏡に映った人は、今の自分が普通に写っている人よりも、収入から貯蓄する率が2倍にもなっていたということです。
未来の自分への思いやりが正しい行動につながる
人は老後の事を考えたり将来の自分の事を考えると、自然と自分をコントロールすることができるようになります。
長い目で見た時に自分にとってプラスになるような行動を選べるようになるということです。
さらに、この実験では、1,000ドルあったとしてそこからどれだけ貯金するかを答えてもらいますが、たくさん貯金すると答えるほど、目の前の老後の自分の表情が明るくなるというゲームも作っています。
逆に、貯金額を減らせば減らすほど老後の自分の表情が暗くなります。
そうすると、当然ですが貯金額を増やす傾向がありました。
これはまさに未来の自分への思いやりです。
未来の自分が悲しい表情をしていると、そこに思いやりを感じて貯金額を増やすわけです。
未来の自分への思いやりを増やすことによって、人はより正しい行動ができるようになります。
当然ですが、目の前の小さなことにお金を使うよりも、将来のための貯蓄や投資に回した方がいいですし、長期的な視点がなければ 余計なブランドものを買ったりあっという間にお金を使ってしまいます。
このような散財しやすい性質も、未来の自分への思いやりを増やすと合理的な行動を取れるようになります。
未来の自分をできるだけ具体的に想像してください。
今目の前の欲求に負けて衝動的な行動を取る自分がいたら、未来の自分はそれをどう思うだろうかと考えてみてください。
そう考えていただくと正しい行動が取れるようになります。
自分への思いやりで人生変わる
もちろん、他人に対する思いやりも重要です。
それだけでなく自分への思いやりも鍛えることによって、人生は大きく変わるということをカリフォルニア大学バークレー校のジュリアナ・ブレインズ氏が明らかにしてくれています。
この研究では、正答率が30%から40%ほどにしかならない解くのが非常に難しいテストを学生たちに受けてもらっています。
人は正答率が50%を切ってくるとかなりやる気がなくなってきます。
これは余談ですが、皆さんが新しいことを学ぼうとする場合には、本やテキストを選ぶ時に半分以上は内容がわかるものにしてください。
半分以上がわからない内容になると、やる気がなくなって挫折してしまいます。
正答率がかなり低いので誰もがやる気がなくなってしまい勉強時間が減るはずですが、自分への思いやりを持ってもらったところ、勉強時間はかえって増えました。
今ここでは解けなかったとしても勉強すれば自分はきっとできるはずだと未来への思いやりを持つと、自然と勉強時間が30%も増えていました。
これは勉強だけの話ではありません。
人生での問題は簡単には答えが出ないようなものばかりです。
答えがない難しい問題に向き合って挑戦して、それを乗り越えることによって人生も収入も決まります。
簡単なことをいくらたくさん行っても意味はありません。
難しいことにどれだけチャレンジしていくかです。
「未来の自分への思いやり」を持つことによって、勉強時間が1.3倍になったように、新しいことに挑戦したり新しいスキルや技術を学ぶ力が自然と増えます。
未来の自分とのつながりを深める
これは成長マインドセットと同じです。
頑張れば自分は変わるという考え方を成長マインドセット、頑張っても自分は変わらないという考え方を固定マインドセットと言います。
当然ですが、人生で成功する人は成長マインドセットを持っています。
この成長マインドセットについて詳しく学びたい方はこちらの本を読んでみてください。
この成長マインドセットも未来への思いやりと密接に関わっています。
今努力したり目の前の欲求を抑えるのは面倒なものです。
努力が面倒でも今頑張れば、その努力は未来につながり、未来の自分が喜んでくれると信じることができるから頑張ることができます。
この感覚があるからこそ、成長するための努力を続けることができます。
ですから、未来の自分との繋がりを深めていくことが重要です。
実際に、自分が失敗したり怠けた時に自分を厳しく責める人ほど、本当に大事なことをどんどん先延ばししてしまうという研究もあります。
大事なことを先延ばししていては、当然収入も成績も下がっていきます。
自分に厳しく向き合うよりも、自分に対する思いやりを大切にしてください。
これはプロのアスリートやビジネスのような厳しい世界でも同じです。
プロのアスリートを対象にした研究でも、自分への思いやりがあるアスリートは、仮に失敗したとしてもその後の自発的な練習が自然と増えていたということが確認されています。
自分への厳しさを発揮する人の時代はもう終わっています。
長い目で見ると、自分への思いやりを発揮することができる人が、コツコツとやるべきことを続けて結果的に大きな成功を掴みます。
他にも、自分への思いやりを鍛えることで運動意欲が向上したり、禁煙の成功率まで高くなるという研究もあります。
自分への思いやりを持つことによってトライする回数が増えます。
これは失敗したり苦しい状況になったとしてもストレス反応が低いからです。
このストレス反応が低いから、もう一度トライしようとする意欲が出ます。
他人を助けると迷走神経が刺激される
自分への思いやりがピンと来ないという方は人を助けてみてください。
他人への思いやりも効果はあります。
ストレスを感じたり自分を責めそうになった時にはあえて他人を助けてみてください。
トロント大学の研究で、他人を助けることによってリラックスや休息や回復を司っている迷走神経トーンの働きが向上するということも確認されています。
ノースカロライナ大学の研究でも、圧迫面接を受けてストレスが増えているであろう状況下でも、自分への思いやりを持てる人は、ストレスの上昇を抑えることができて幸福感も増えていたということが確認されています。
面倒な人間関係のストレスを感じることもあると思います。
そんな時のためにも自分への思いやりを大切にする為にセルフ・コンパッションを鍛えてみてください。
これについてはこれらの本も参考になると思います。
セルフ・コンパッションを鍛えていただけると、面倒な人間関係があったとしても、そんな人に皆さんの大切な時間を奪われることなく自分の人生をより良い方向に変えていくことができます。
思いやりを大切にする人が成功する時代
自分を守るための自分への思いやりと他人への思いやりが大切です。
思いやりを持つことによって目標達成率も上がります。
目標達成につながる正しい努力をコツコツと続けることができるようになり、そこから感じる肉体と精神の疲労感は少なくなります。
目標達成のための行動は増えるのに疲労感は減るわけですから、思いやりを持てる人はどんどん成功に向けて進んでいくことができるわけです。
ちなみに、Google の人事部門が行った調査によると、管理職とチームの成績を左右する要素の第1位は「支援と思いやり」ということでした。
他人に対する思いやりと他人をサポートする行動です。
これが管理職の成績とチームの成績を決めていました。
専門知識はこの調査では最下位で、専門知識があるかどうかよりも支援と思いやりがあるかどうかの方がはるかに重要だったということです。
思いやりのような人間臭い感情は意味がないと思われてきました。
思いやりと言われてもピンとこないという人が多かったと思いますが、実際には、その感情が人間が合理的に成功するためには必要なものだったということです。
皆さんも思いやりを鍛えてください。
他人に対しての正しい思いやりと自分への思いやりを大切にしてください。
そんな思いやりの力を鍛える方法については、ぜひ続きもチェックしてみてください。