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標題=過激床屋放談◇消費税とは何か
掲載媒体=GURU vol.2
発行会社=翔泳社
執筆日=1994/03/01
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現代が商品というメディアを媒介とする情報社会に進みつつある以上消費税の導入は妥当な選択であり問題はむしろ不要な役人よる税金の強奪構造である。
■地縁・血縁のしがらみから情報縁・問題意識縁の関係へ
消費税が騒がれたときに、私は「消費税」という考え方に好感を持った。それは、今進んでいる社会形態の方向性に合致していると思ったからである。私達は「地縁・血縁」のしがらみに縛られた共同体から「情報縁・問題意識縁」によって形成される情報社会に進んでいるのであり、旧来の直接税が具体的な土地や共同体に即しているのに対して、間接税はいわば情報共同体の会費のような考え方であるからだ。
商品はメディアであり、商品を購入するとは、その商品が形成している「情報社会」に参加することである。であるから「消費税」という言葉よりも「商品税」あるいは「商品メディア税」と言ってもらった方が私には分りやすかった。
消費税導入のゴタゴタは、こうした社会方向論を抜きにして行われたものなので、私は白けるばかりであった。竹下登は、消費税における徴収の効率性しか考えていなかったようだし、社会党は、税金そのものに反対のようであった(税金そのものに反対、と言いきるのなら、それはそれで理解することもできるが、どうもそこまで根性が座っているわけではなく、いわゆる当時の自民党・官僚の政策なんか信じられるか、という程度のものだろう)。官僚も、消費税が必要とされる社会ビジョンを示したわけでなはなく、単に先進国は消費税だから、それをテキストにして導入を計っただけではないのか。
■固定会費制か重量課金制かの選択
ア・プリオリに自分の所属する共同体を決められ、必然的に義務と権利が与えられ、その義務の最大のものが税金である。というのが、直接税の原理である。共同体という土地を与えられ、そこで得た利益のいくらかを年貢として納めるという思想である。
それに対して、間接税というのは、税金は会費であり、共同体に所属したくない人、消極的な参加をしたい人は、自分の意思で会費を削減することができる。商品を購入する人間は、より現代社会を肯定するものであり、そういう人はたくさん商品を買って税金を払えばよい。他方で、商品社会とはなるべく関係を持ちたくない人間も増えているわけで、間接税になれば彼らの租税負担は減る。
もっと分りやすく言えば、パソコン通信における料金体系と同じで、使っても使わなくても会費を取られる固定会費制がいいのか、使った分だけ請求がくる重量課金制がいいのか、ということである。パソコン通信の世界を必要とするかしないかは個人の選択にゆだねられるのである。
■ムダを生む構造が税金を強奪する
税金なんか払いたくない、と誰もが思うだろう。まして、その税金がロクでもないことに使われ、そのロクでもないことを使うことにすら膨大なロスが生じるような構造の中では。私は、悪徳政治家が税金からチョロまかす金なんて、タカが知れてるともう。それよ
りも、不要な役人が不必要な仕事をすることによって、合法的にかつ構造的に税金を強奪していることの方に遥かに怒りを感じる。
たとえば近所に公園ができる。センスのかけらもない意匠に満ちた恥ずかしいものだ。工事の途中で気が変わったのか、一度はりこんだタイルを平気でぶち壊し木材に変えたりする。こんなことを民間でやったら始末書じゃすまされない。都庁のゴミ袋問題も、袋が透明かどうかということよりも、事前のマーケティング調査もしないままテレビキャンペーンを行い、反対されたらドタバタするという、プロセスの無駄使いであり、そういうことが「仕事」として成立する役人がいるということが許せない、それらの強奪構造の頂点にいるのが官僚であり、この構造を崩すことしか、日本の将来はあり得ない。
しかし、税金を払いたくないという感情としかるべき将来の中でどのような税金徴収システムが妥当なのかを考えることを、混在させてはいけない。
繰り返そう。直接税とは、土地共同体の束縛の上での税のシステムであり、間接税とは、情報共同体の束縛の上での税システムである。問われるべきは、私たちの社会が進みつつある方向性であり、それはすでに漠然としたイメージではなく、具体的なシステム設計の段階に来ているということなのである。
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橘川幸夫放送局通信
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